大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第捌拾捌話

 あの奇妙な騒動のあと。惟之は自身を律しようと腐心してみたものの、取り巻く状況はあまり変わらない。いや、むしろ、よろしくない事態に陥りそうでさえある。

 参謀本部にたびたび大城が訪れてくる。が、ただ徒に訪ねてきているわけではなく、適当にあしらえる相手ではないのが、悩みの種である。

 別にあれ以来、何かちょっかいを出してこない。その代り、笑んだまなざしを向けつつも、大城は時おり、穿つようなものを含ませて、惟之を見るようになっていた。その視線を、あえて気づかぬふりをし続けた。

 和胤の不安げな様子が、まったく解消されないことに対し、それはもっともだと頷いた。

 「大城さんはのう…、昔からああいう性質じゃけぇ。気に入った者がおるといつのまにか、つるりと掌中におさめる、ちゅうことをせるんじゃ。何とも、困ったおひとでのう」

 と、退庁して早々着替えもせず、自邸の居間、暖炉の火を前にして、暖かな絨毯のうえへのびのびと寝ころがっている。そうして和胤の膝枕に憩いつつ、ぼやく。

 何があろうと、惟之は大城に手懐けられるつもりは微塵もないが、またあのような際どい悪戯をされては、惟之も和胤も堪らないわけである。

 「どうしたものかのう」

 と、澄んだ丸い眼でじっと和胤を見上げて首を傾げた。その程度の仕草ですら、今や艶を含んでいて、和胤はおもわず生唾を飲みこむ。

 「どうにも、ならんでしょうな。惟之さんさえ、過敏に反応せるようなことをしなければ…大城閣下も諦めるのではありませんか。それでも、もしものことがあったら、黙っちょりませんが」

 「何が、もしものこと、じゃ。聞き捨てならん、おれがおぬしのほかに、からだを許すとでもおもっちょるんか。そげなこたー、断じてありゃァせんぞ」

 「あ、いや…けしてそがいな意味では―」

 雷鳴のような叱咤を飛ばすと、和胤は途端にうろたえて、惟之の手をぎゅっ、と両手で握りしめた。心底から懸念をおぼえているらしいのが、それでよくわかる。すかさず笑みを浮かべて、手を撫でてやる。

 「ちとからかっただけじゃ。わかっちょるけぇ、おぬしはそがいに心配せんでええちゃ」

 「もう、惟之さんは、おれの気も知らんで…」

 さっと膝から乗せていたあたまをおろして、代わりに座布団を押しこんで立ち上がってしまう。温もりが離れて、惟之はころん、と寝返りをうって俄かに寂しげな顔になる。

 「これ、怒るなちゅうに…おぬしは心配しすぎなんじゃ。それにおぬしが今じたばたしても、解決にならんじゃろ。それよりおれとの時間を、もっと大事にでけんのか」

 居間を出てゆこうとする足が、とまる。そのまま、しばらく間を置いて、和胤はくちを開いた。

 「確かに…そうですね。大城閣下のその噂をきいて以来、どうしたらいいかと…そればかりが占めていて」

 このところは惟之から求めるばかりで、そうして誘ってもことには至らず、上の空というよりも、このことが余程不安らしく、それどころではないという様子が見受けられていた。

 「おぬしに…その…、居ってほしいんじゃがのう…。近頃ちっとも相手にしてくれんし…おれァ寂しいちゃ」

 身を起こして、切ないものを隠さずに言った。姑息だとはおもったが、寂しいほうが大きい。こんな冬の夜、和胤が傍にいないのは堪える。

 ふう、と息をついて、和胤が振り返った。

 「狡いですよ、惟之さん…」

 「うん、おれもそうおもっちょる」

 けろッとして言うも、いつもの悪戯好きのする笑顔ではなく、やはりどこか寂しげで、相当参っているのがわかる。和胤はこの表情に弱く、放っておけなくなってしまう。

 「しかし、ここへ来てあの大城さんの態度は、何故かのう。おれァひと言どころか素振りですら、おぬしとのことは仄めかしたこともないんじゃが」

 目の前に跪く和胤の顔を覗きこんで、これもまた芯から悩み、疑っているようすで、くびを傾げる。

 「ことばや素振りで、大城閣下が気付いたのではありませんよ」

 「ちゅうことはやはり、気配みとーなものが出ようるのか。このところ、おぬしと閨を共にしちょらんかったけぇ、覚られんと踏んじょったちゅうに、いっこも変わりゃァせんよ?」

 「気配、ともまた違いますね」

 「なんじゃ。それじゃァ、やはりどこからか知られたとしかおもえんじゃーないか」

 ふてくされたように言って、胸へ手を伸ばされ、和胤の飾緒をつまんでチョイチョイと引いてきた。

 改めて冷静に惟之の表情をみると、そこには無垢で、悪びれてもおらず、何か腹に含むような、いやらしさなど毛ほどもない。だから、そこはかとなく漂う香が嫌でも目立つのだ。

 接吻を強請られているのはわかっていたが、和胤はそうしなかった。この無自覚さは危険すぎて、このままではどうにも落ち着けない。妙な言い回しにならぬように、和胤は慎重にその原因を、惟之に説明をしてゆく。

 「まったく…心外にもほどがある、と言いたいところじゃが…。あれだけのことを、毎晩のようにしちょりゃァ、そうもなるかもしれんのう。おぬしが、“どうにもならん”ちゅうた意味はわかった」

 と、甚だ腑に落ちぬ様子ではあったものの、案外あっさり頷いた。

 ほっと息をついて惟之と正面から抱きあう。みじかく、しかし想いをこめてやわらかく接吻をすると、惟之は安心しきってからだを預けてくる。

 「じゃがのう、和胤。これはおれが理解したちゅうても解決にならんのじゃないか?いっそのこと軍を辞めて、おぬしと郷里にでも引っ込みたいんじゃが」

 むろんそれは冗談であるが、多分に投げやりに言って深い溜め息を吐く。和胤はいま一度、惟之を抱きしめて、おもいを巡らせる。

 何か起こるまえに、大城へ明確に告げるべきだろうか、惟之を誰よりも愛している、命に代え難い大切な存在だということを。
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