大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第陸拾捌話

 とは言え、惟之の愛撫は和胤のそれとくらべて、やや強引さがあるぶん、余計に引きずられる傾向がある。このまま、なす術もなく与えられる快楽に溺れるしかない、と和胤は観念して覚悟をきめた。

 衝動を抑えきれず、切れ切れに喘ぐ。飲みなれぬ酒に喉を灼かれたか、すこし擦れた声で、それが妙に艶かしくもある。

 「嫌だの、やめろだのと言っても、ここは正直じゃのう、和胤。ん…、しっかり硬くなりようるぞ」

 下腹に跨っていたのを、臀を擦りつけながら脚の間に腰を据える。ごり、と臀にあたる硬い感触をさして、惟之は意地の悪い笑みを浮かべて顔をのぞきこむ。上に着ていたものは剥ぎ取ったが、まだその細縞のズボンは脱がせていない。惟之は礼服をひとつも乱さずにいる。

 「はて、どうしたものかのう?」

 今度は無邪気に、にこにこ笑みながら胸のうえに寝そべって、先刻噛みついた鎖骨と首すじのあたりを指さきで円をえがくように擽りつつ、試すかのような視線を向ける。潜んでいた嗜虐心が頭を擡げたとみえて、惟之はあきらかにこの状況を楽しんでいる。

 「惟之さん…っ」

 羞恥の頂点に至っても、からだに力が入らず、立場を逆転するどころか抵抗すらできずにいる。追い詰められて、ちいさく悲鳴にも似た声をあげた。


 しかし、意外なところから、救いの手はやってきた。

 就寝中の札をさげた扉を、遠慮がちに叩く音がして、惟之は軽く頬を膨らませる。和胤への拘束を解くと、寝台をおりて、何事もなかったような顔をして応対に出る。小声で何か話しているのが聞こえたが、内容まではわからなかった。

 寝台のうえへ、大儀ではあったが、のそりと半身を起こすと、脱ぎ散らかしたシャツを掴むなり袖をとおす。そうしながら、あらためてからだを見ると、あちこち吸われて鬱血した痕があったが、それよりも噛みつかれた痕のほうが多い気がした。

 「なーんじゃ、ええところじゃちゅうに。…おお、起きたんか。それなら、挨拶だけは顔を出せちゅうとるけぇ、行こう」

 やりとりを終えて戻ってきて、そんなことを言う。けろりとした惟之の顔を、恨めしげに見つつ、礼装を着込んでいく。下腹に凝りかたまる熱を煽られはしたが、この程度なら我慢できる範疇で、内心安堵する。

「先に戻っちょるけぇ、早うせえよ」

 生殺しにしておいて、何ともおもっていないのか、惟之はそう言い置いて身軽に部屋を出ていってしまう。ずいぶんと身勝手なことをするものだ、と苦くもおもう。

 何とか体裁を取り繕って、テラス伝いに夜風に当たりながら階下のホールへ戻るころには、酒と愛撫とに火照っていたからだも、すっかり熱が引いていた。頭が冷えたところで、夜会を半ばからすっぽかしていた事実に気づき、冷や汗をかきながら同期の輪に顔を出した。事情を知っているごく数人から、肘で小突かれはしたが、それだけだった。

 「山口君、酒豪の武官に付き合わされて、ひっくり返ったらしいなあ。気炎をあげるのは結構だが、せめてどこに居るか、ひとこと言い置いておかんといかんだろう。心配したんだぞ」

 最後の挨拶の音頭をとるのは吉田中将で、もともと温厚な性格のうえ、いまは程よく酔いがまわっていたから、その程度の注意で済み、ホールの隅でその様子を見守っていた惟之も、ほっとする。

 ついでに、葡萄酒の壜を片手にさげて、杯を手にしたままゆっくり大階段を上って、一番うえに腰をおろした。
それを目ざとく見つけた和胤がそちらへ顔を向けると、惟之はその視線をからかうように壜を振ってみせ、立ち上がると奥の廊下へ姿を消してしまう。

 挨拶が終わると、夜会も終盤に近づいて、それぞれ帰路につく者や、引き続き他の部屋に招かれて懇談会を開く者など、ホールに人影がちらほらとまばらになった頃、和胤は惟之のあとを追った。

 「誰ぞ、つかまっちょったんか?」

 と、さきほどの部屋へ戻ってみれば、惟之はテラスに出て、石造りの張り出しに腰かけながら、ちびちびと葡萄酒の杯をなめていた。

 「いくら夜会ちゅうてもいけません、飲みすぎです。そのまま、そこへ置いてください」

 いまはもう、冷静に身構えている。和胤がいつもの口調で言うのを惟之は閉口しきったというような、うんざりした顔で一瞥すると、飲みさしの葡萄酒をひと息に干してしまう。

 「置きゃァせん、今日は気がすむまで飲むんじゃ」

 壜ごと取り上げようと、伸ばしてきた手をかいくぐって、テラスの扉へ素早く身を滑りこませると、硝子のむこうで振り向いて舌を出している。

 「こげなところで、遊んじょる場合ですかっ」

 呆気にとられていた一瞬の隙に、惟之は扉に施錠をしてしまっている。これでは廊下から回りこまねば、部屋に入ることもできない。そんな和胤の反応をみて、ひとり長椅子のうえで笑いころげる。相当酔いが回っていることを表していたが、構いもせずに、葡萄酒を注ぐ。酔ってはいても、頭の芯はひどく醒めている。

 まったく会わなかったのがひと月だというのに、それが何年にも感じるほど、和胤との時間が懐かしかった。今、改めてそれを手にとってみると、持て余しかけていることが歯痒い。先刻、あのままの勢いで、双方が酒精に酔っているなかで和胤を襲ってしまえたなら、どれだけ距離を縮められたか知れない。惟之にはそうしたい理由もあった。

 「おお、来よったな。案外早かったのう」

 扉を開けて入ってくるなり声が降ってきた。後ろ手に閉めつつ、惟之に見えぬように施錠する。完全に和胤をからかって面白がっている様子は、いつもの悪戯小僧そのものであるように見えた、が…。

 「そげな怖い眼つきで睨むものじゃーないぞ。何じゃ、先刻はあがいに可愛えかったのに。あれァ、なかったことにはでけんぞ」

 普段は狼同然のおぬしが仔犬みとーに鳴くのを、おれはもっと見たいんじゃがのう、とひくく言ってくびを傾げて、視線に擽るようなものを含ませる。そこに嗜虐的なものすら感じて、和胤は大いにたじろいだ。

 その隙に椅子を離れるなり、距離を詰めて眼前に近づくと、和胤の襟を正しているタイを、指さきに絡めとりつつ強く引いた。上体が傾ぐのを狙って唇を奪い、強引に舌を捕らえてしまう。一度つかまえてしまえば、惟之の徹底した攻めの姿勢に抗える者はそういない。

 唇を塞がれたまま、手とタイを引かれて促され、ゆっくりと後ろ向きのまま寝台へさがると、なだれ込むように白い寝具のうえへ押し倒される。

 息をつく暇もなく、熔かされるような接吻が続いて、その間に惟之は礼装を脱ぎすてて、そのうえ器用にも和胤の礼服を暴いてしまっている。剥いだ衣類を、枕元や寝台のまわりに放り出して、剥き出しにした肌へ指を這わせると、ようやく唇を離す。

 「このひと月、たったひと月離れたのが、まるで何年にもおもえた。これから、半年以上は離れるんじゃ。ええか和胤、傍に居られぬおれを、その身にしっかり刻んで連れてゆけ」

 きっぱりと言い切られて、和胤は顔が真っ赤になるのを自覚していた。それに次いでことばが出てこないのも、どうにも対処ができなかった。

 「今夜はおぬしに乗り尽くすけぇ、そのつもりでおとなしゅうしちょれよ。途中で手を出したら只じゃおかんぞ、ええな?」

 半ば脅すように囁く声音も、いつもと違う甘さを含んで、和胤は耳からして侵食されてゆくような錯覚に陥り、血が逆流しそうなほどの甘い毒気に中てられ、とてもではないが、惟之を襲い返すまねはできそうにない。

 小悪魔的な惟之の微笑みと肢体のうごきに、陶酔すらおぼえたし、与えられる快楽は惟之のなすがままで、その強引さは嗜虐的ですらあったが、嘘のない確かな愛情があるだけに強い媚薬のように和胤を酔わせる。

 ひと月ぶりに顔を合わせることに感じていた、あらゆる不安など杞憂にすぎなかった。むしろ惟之に対して猜疑心の塊になっていた心を、見透かされていたようでもあった。

 ―これはその罰でもあるのか―

 惟之の体内に捕らわれて、和胤は征服されつつある。なんとも奇妙な感覚であり、倒錯した快楽が絶えず訪れる。夢うつつに意識が浮きあがり、その境界がわからなくなるまで続いて、和胤はじぶんが何の不安もない、惟之の暖かな愛に包まれていることを、身を以って思い知らされた。
→【5章・1話】 →目次へ戻る

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| 変わらぬ青空のしたで・61―70話 | 15:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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