大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  変わらぬ青空のしたで・第伍拾漆話

 過ごす日々のなかに、ふたりだけの甘い時間が加わったという以外は、惟之も和胤も何ら普段と変わらない。片や療養、片や軍務と、特に惟之は以前にも増して、からだを気遣うようになっていた。

 それでも職務復帰が間近になってくると、惟之は自宅で軍務の書類を引っぱり出して、睨みつけることも始める。惟之がひたすらに武人、という性格もあるが、復帰したら引き続き陸軍次官―口喧しい“尾木の爺さん”の女房役―もつとめねばならないからして、面倒がないように今のうちから情勢や対策を知っておくべきだからだ。

 私生活に公の仕事を持ちこむ、というより、公の仕事に私生活がついでのようにくっついている、という認識でいるから、これまでまったく顧慮したことがない。

 が、いまは和胤が傍にいて、そのかたちも変わろうとしている。

 公務に集中しているころを見計らって、和胤が惟之の部屋へやってくる。そうして持ってきた何冊かの本を小机のうえへ置いて、一、二時間は長椅子に腰をおろして読書に耽る。だいたいこれが慣例になっている。

 初めのうちは惟之のほうが、一時間もするとちょっかいを出しに和胤のところへやってきて、遠慮なしに後ろから抱きついたり、読んでいる本を取り上げたり、膝へ座るようなことをしていた。

 だがそれもはじめの五、六回で、最近は和胤が本の後ろから目を覗かせて、そっと様子を窺うことのほうが多くなった。概ね真剣な面持ちで筆を走らせ、また忙しく本や書類の束の頁を繰っているから、とても抱きしめたりすることなどできる雰囲気ではない。

 「和胤、茶ァいれてくれんか。喉がかわいた」

 些細な頼みごとをするのでも、惟之はきちんと顔をあげて、そのひとを見つめて言う。これは、どんなに忙しかろうが、例えば戦場の総司令部において修羅場のまっただなかにいようが、変わらない。面をあげると、つい一瞬前まで真剣だった表情はなく、いつものくるりとした眼の、あかるい顔である。

 「はい、淹れてきます」

 そういって微笑みを返したが、内心では惟之に触れたくてしかたがない。寝ても覚めても、というほどではないにしろ、時間がゆるせばいつまででも惟之とくっついていたい、と常々おもっている。

 もともと寂しがり屋だから、きっとこれからも自分に甘えてきてくれるだろうとおもいきや、深い仲になってからは、意外と淡白になったことに拍子抜けしている。そんなわけで近頃はとみに、切ない気持ちを抱いているのだ。

 階下へいって茶を淹れているあいだに、すくなからず邪まな考えが浮かぶが、水底から湧いて水面ではじける泡のように、それらを消してゆく。

 部屋へ戻ると、執務机に惟之のすがたはなく、先刻まで和胤が使っていた長椅子へ腰をおろしている。

 「もう、ええんですか」

 「うん。ちと休憩じゃ」

 湯呑みと急須を据え、自然と空いている隣へ座った。順に茶をつぐと、すこし温くいれたそれを、惟之はゆっくり味わって飲んでいる。

 隣にいるのだから、今すこしくらい抱きしめてもいいだろう。すこしでいい、と傍にからだを寄せるが、惟之は微塵も反応をみせない。寛いだ顔はしているが、何か考えているように、眼をときどき宙にやる。おもうところがあるのだろう。それに構わず、からだに触れるところまで近寄って、上体をかたむけると、惟之の肩へあたまをのせてしまう。

 「…これ、離れんさい」

 珍しく年上らしい叱り口で窘められるも、和胤は甘えかかってからだを寄せて離れない。ふと惟之の脳裏に、小太郎のすがたが浮かんだ。

 ―飼い主と違ってよう甘えると思っちょったが…、やはり似るもんじゃのう。

 「明日が何の日か、忘れちょるんか。おぬしゃ手を出したら、仕舞いまでせんと気が済まんときちょる。…今日はいけん。まだやらにゃならんことがあるんじゃ、ええな」

 「惟之さん…」

 そう言って宥めるようにあたまを撫でてやってから、離れようと腰を浮かせかけた。和胤はそれを引きとめたくて、遠慮がちに肩へ腕をまわしてかるく抱きしめる。

 「しかたないのう、ちっとだけじゃぞ。守らんかったらとうぶん、指一本触れさせんけぇのっ」

 内心では嬉しくあったが、やれやれ、と惟之はため息をついて、ぶっきらぼうに言った。

 「はっ、はい」

 和胤はしおらしく言ったものの、ここしばらく夜を共に過ごしていないから、途中で手をとめられるか甚だ自信がなかった。

 長椅子にすわったまま、愛撫に身をまかせていた惟之だったが、案の定、和胤は我慢ができず、袴のうえから臀を撫でまわす手つきが、もどかしげなものになってくると慌てて身を捻った。

 「この、あんつくもんがっ。ちっとだけちゅうたじゃろ…!」

 「あ、いや…つい」

 「ついもくそもあるか!おれァ明日、軍務に復帰じゃぞ。副官のおぬしが、こうもだらしがなくてどうする」

 「す、すみません。惟之さん」

 これで袴の紐を解かれたら、十中八九、あっさりと攻めこまれてしまうだろう。和胤の愛撫は汲んでも汲みきれぬ愛情の発露であり、惟之もそれはわかっていた。

 この甘い時間は、何にも代えがたいものであるが、それもこれも、国を守る軍人としての本分があってこそのものである。惟之の認識としては、ひとりの人間であるまえに軍人であるから、己を戒めることを常としている。

 「まァ、このままほうたるのも、ちと酷じゃ。これ以上手を出さんちゅうなら、今夜は一緒に寝てやってもええぞ」

 見捨てられた仔犬のような眼で、和胤にみつめられれば、さすがに居心地が悪い。咳払いと共にそう提案することで、妥協をはかった。

 寝台にはいれば、今度は惟之のほうから和胤へ抱きついて、ねむるまで甘えた。やはり、公務があたまにあるとはいえ、この触れあいは惟之の支えのひとつになっている。節度さえあれば、惟之とてこうしていたいのが本音である。
→【2話】 →目次へ戻る

web拍手 by FC2

| 変わらぬ青空のしたで・51―60話 | 17:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/62-648e54a7

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。