大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第肆拾弐話

 一陣の風のように去っていった上官を見送り、若手参謀たちは演習場を離れて佐倉方面へ繰り出していった。件の旨い牛鍋屋は、どちらかといえばかなり佐倉寄りで、雪景色に染まっているなかでも、しっかり店をひらいていた。

 大日本帝國陸軍御用達、などという大層なものではないが、店はやはり軍人に知られていて、ひそかに人気があるようだった。今日の演習をどこからか伝え聞いたらしく、若い将校が十人余りで押しかけても店主に驚いた様子はない。

 和胤を先頭に、座敷へ案内されるとめいめいに寛ぐ。竹内の隣に腰を落ち着けると、座卓についていた参謀らが、何か言いたげにしているのがわかった。

 「何じゃ貴様ら、そげな顔で。どうしたんじゃ」

 「いやァ…、あのな。おれたちは、貴様が羨ましくてならん。というのも、今日のことはそこにあるからさ」

 「羨ましい?」

 「ああ。杉閣下は、貴様を心底頼りにしておられる。以前まで居た副官とは、接し方がまるで違うからな。もともと貴様は、面倒見がいい。おれたちも何度世話になっているかわからん」

 「悔しいが、あの閣下をお世話できるのは、陸軍広しといえどもたぶん貴様だけだろう。おれたちは、貴様よりながく杉閣下のしたで働いているから、これだけは断言できる」

 あの瓢気た、悪戯好きで愛嬌のある上官は、ここにいる参謀たちだけでなく、第一局のだれもが慕っている。作戦に関して天分があるにもかかわらず、天才にありがちな独断的な行為を押し通すようなまねはしないし、部下を育てることに心を砕いている。

 そんな上官に、安心して寄り掛かられている和胤が、羨ましいという。しかもそのことで、何か軍務上有利に計らってもらうなどという、見え透いたものなど一切ないから、尚のことだ。

 「羨ましい、羨ましいと貴様らは言うが、療養の身でおられるちゅうことを、お忘れになったような振る舞いをやっさるけぇのう。お諌めすること日に何度あるか…」

 弱りきった顔で言うが、自身の上官に対する想いというものが、かれらのそれと比べて位置を異としていることを改めて思い知る。

 「そんなぼやきで隠せるとおもったら大間違いだぞ、和胤。毎日定刻になると嬉々として帰るくせに。そういうことでだ、閣下の拠り所が貴様なら仕方がない。おれたちは遠巻きに見守ることにしたのだ」

 「いや、その…それはだな―」

 「こいつ、覚られとらんとおもっとったのか。高をくくられておったとは、おれたちも甘くみられたものだ」

 そう言って、あたまやら胸やらを小突きにかかる友人らを前に、和胤は珍しくたじろいだ。というよりも、羞ずかしさのあまり、ことばが出てこないでいる。

 「貴様だけではない、杉閣下のことは、みんな愛しておるからな。…しっかり頼むぞ、和胤」

 軍務外での惟之とのやりとりを思い返すまでもなく、ただの上官と副官という線を、既に超えていることまで、かれらに言いはしなかった。言いはしなかったが、たぶん、かれらはそれをも察しているとみていい。

 こそばゆい心持ちをどこかに残しつつも、ひさしぶりに牛鍋をつついた。そうしながら、今頃上官は何をしているのだろう、とおもいを巡らせる。
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