大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第参拾漆話

 雪洞のなかに残された惟之は、傍らの和胤を見あげて澄んだ目を瞬かせる。しっかり朱色の装備を身につけた出で立ちでいる副官の顔を、右へちいさく首を傾げて覗きこむ。和胤もそれにつられて目を合わせた。ただ、黙ってそうして暫く見つめあっていたが、ふいに和胤はハッと顔を強張らせた。

 「おれがいま、なにを考えようるか、わかったんじゃろ?言うてみい」

 にやにやしながら副官を見つめ、小机に寄りかかると、そのうえに肘をたてて頬杖をつく。和胤は一転して厳しい顔になると、膝をたててにじり寄って惟之との間を詰める。

 「閣下、まさかとはおもいますが…、ここから逃げ出すおつもりでありますか」

 「おっ、ようわかったな。おれァ、別に拉し去られる件についちゃ、くびをたてに振っちょらんけぇのう。ひとことも、あいわかった、ちゅうとらん」

 まるで詐欺師のような言い回しだが、事実そうである。和胤はことばに詰まったが、ちらりと雪洞の入口へ目をやって、それからまた惟之を見る。

 「外はもう、朱軍で固められよります。容赦なく飛んでくる雪玉に身を晒して、逃げ切れるとお思いですか」

 「やってみなけりゃァ、わからんじゃろ」

 確かに宴席でみせたあの逃げ足といい、すばしこさには定評のある惟之が、こうもさらりと言えば、見事に逃げ遂せそうな気もしてくる。しかし、外は五十人からの小隊がうろうろしているのだ。はたしてその中を無事に逃げ切れるというのだろうか。

 それに、川上へ惟之の軍帽と外套を預けてしまったのは和胤である。そうしてしまった以上、もう惟之に与するわけにはいかなくなっている。

 「…それで、自分が“はい、そうですか”ちゅうて外へ出すとお思いですか」

 「おい、おぬしゃ、おれの副官じゃろ。合戦まえに、上官がこがいな目に遭いようるちゅうのに、助けてやろうちゅう情けはないんか。さっきは、帰してくれようとしちょったじゃないか」

 案の定、痛いところを突いてくる。本当は首をたてに振りたかった。しかも、一心にじっと見上げてくる眼が心に刺さって、ほとほと困り果てた。耐えかねて、視線をわずかに逸らすと何度もかぶりを振って、ことばを紡いだ。

 「外の連中は冗談でなしに容赦しませんよ。閣下が雪玉で叩きのめされる姿など、見たくありません。頼みます、ここでおとなしくしちょってください」

 「いやじゃ。この薄情者め、おぬしの言うことなんぞ聞く耳もたんわい」

 膨れ面で言って、惟之は肩から掛けていた毛布をとると、それを素早く和胤のあたまにかぶせる。惟之はこの一瞬の隙だけで、充分逃げ出せる算段でいた。

 しかし和胤は、それを許さなかった。いま惟之が外に出たら、雪玉にしこたま叩かれるのは目に見えている。かれが療養中の身であることも、忘れてはいなかったから、雪まみれになったあとのことを考えたら、いまここで取り押さえてしまうほうが、余程ましである。

 上官をおもうその気持ちもないまぜになって、和胤は雷光のようなはやさで毛布を引っ掴むと、かなぐり捨てて、雪洞をくぐりかけている惟之へおどりかかった。

 「こらァ、離さんかっ!」

 うしろから抱きすくめられ、中へ引き戻されると、そのまま横倒しに投げ出されてうえから押さえ込まれた。こういうときだけは、じぶんの体格のちいささを呪いたくなる。

 「無理にでも、ここに居っていただきます」

 和胤は、惟之を強引におとなしくさせてしまおうと、非常手段に出た。要するに擽り倒すのである。以前も実行しかけたが、今度は徹底的にやってしまう積もりでいる。

 「うぁ~っ、何ィしようる!やしいぞ、おんどりゃァ」

 軍服の裾から手を差し入れて、柔らかい亜麻のシャツのうえから、躊躇わずに脇腹を鷲摑みにして、擽りまくった。ほぼ組み伏せたうえでしているから、惟之は殆ど抵抗ができない。確かにずるいと言われれば反論のしようがないが、あとで怒鳴りつけられようとも、それでも構わないと居直って手を止めない。

 上体の柔らかなところへも手を伸ばして、徹底的に擽りまくられ、惟之は身悶えして喚き散らした。喚いても擽ったさに耐え切れなくなってくると、ぽろぽろ涙がこぼれてくる。一向に緩まぬ苦しさの逃げ場がないと、自然と生理的な反応でそうなってしまう。

 「おぬしなんぞ、はあ、副官解任じゃ」

 抗う力もなく、くるりとからだを毛布のうえでひっくり返され、仰向けになる。組み敷いている和胤を恨めしく見上げて睨みつつ、喚き疲れたか細い涙声で惟之は呟いて、ぐすっと洟をすすりあげた。

 「今は朱軍の参謀ですけぇ、それとこれとはまた話が違います」

 和胤は表情を引き締めてきっぱりと言うと、脇の下へ手を伸ばしてそこを指さきで擽りだす。惟之は堪らずに肩をすくませ、身を捩じらせる。それから、和胤を押しとどめるような格好でかれの胸元に両腕をつっぱる。そうしながら、ぎゅう、と軍服を掴んだ。

 「もう、やめい…っ、降参じゃ。参ったわい、ここに居るけぇ…っ」

 負けず嫌いの惟之が、とうとう音をあげて降参の意を示すと、漸く和胤は手を止めた。少しやりすぎたかとおもうほど、惟之のからだからはすっかり力が抜けている。

 和胤の胸元を掴んでいた手が離れると、敷き詰めた毛布のうえに落ちる。その腕をとって半身を引き起こした。

 散々刺激したせいで、感覚の鋭敏さが増しているのだろう。乱してしまったままの着衣を元に戻すのに、そっと触れただけで惟之はからだを竦めてしまう。

 「よいよ、おぬしゃァ…おれに遠慮がなくなってきたのう。こがいになるまでやられるとは、思っちょらんかったっちゃ」

 と、怖いものでもみるような目つきで和胤を見つつ、手もとに手繰り寄せた毛布を、さっとからだに纏って丸くなる。もうこれ以上擽られては堪らない、と言わんばかりの仕草だ。和胤は苦笑いを浮かべつつ、あたまを掻いた。
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| 変わらぬ青空のしたで・31―40話 | 22:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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