大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰捌拾捌話

内心で激しい葛藤と闘っているということにも気付かぬまま、鷲頭は嵩利を他所に、持ち出してきた椅子を元の小部屋に仕舞いに行ったあと、薄暗くなってきた室内の照明を調達している。ゆったりとした歩みを進めながら、壁に設えられているスコンスを燈してゆく。

壁面の一角に暖かな色が燈ると、室内に漂う薄闇が存在感を増した。

僅かに翳り始めた陽を報せるように、洋館を囲む深緑からは蜩の鳴く声が聞こえてくる。和と洋の美が調和を成すこの華麗な空間に、侘び寂びを想起させる粛々とした蜩の声が流れて違和感もなく溶け込み、今度はまるで相反する閑寂な趣が立ち現れてくる。

そのなかに立つ二人の男は、少しの間を置いて対峙した。

改めて嵩利を頭からつま先までじっくりと眺め、自然と浮かぶ笑みを堪えようともせず、手近な長椅子に腰を下ろしながら嵩利へ視線を送り、隣へ来ないかと誘ってみる。

「…まだ、怒っているのか?」

訊いてはみたが、判じかねた。

剣呑な色にも似たものを滲ませて、じっと鷲頭を見詰め返している伴侶は相変わらず黙ったままで、ともすると本当に誰か知らぬ男のようにも見えてくる。概ねそれは、口髭の似合う逞しい面構えになった所為もあるのだろう。

「ん…」

長椅子の上で身じろぎをしたとき、左の脇腹が疼いた。寝込みを襲われたときだな、と鷲頭はそこを軽く擦った。からだの動きを封じ込められまいと、少し無理に捻ったのだ。

「きみがあのような真似をするとは…」

背凭れにからだを預けながら言う鷲頭は嵩利から視線を外すと、物憂げな声音を響かせた唇から、ほうっと微かなため息を漏らした。口許へ遣る手の動きは緩やかで、指先がゆるりと口の端を撫でてゆく。

その緩慢な動きにさえ、艶かしい匂いが漂う。

己が与えた毒の甘さを思い出したから、というだけでは最早ない。そもそも先刻からして―否、そうではない。もう既に、あの侵しがたい寝姿を以って、その匂いがあったのだ。そう嵩利は結論付ける。

おそらく、己の変化に鷲頭は気付いていない。言葉ではとても表せぬほどのものだのに、それを嗅ぎ取ったのが果たして、伴侶である嵩利だけに留まっていたのか、どうか。

「本当に…あれをぼくだけに見せていると、言い切れるのですか?」

とてもそうは見えぬと、こちらを振り向く鷲頭の困惑した表情を認めながらおもい、嵩利は窓辺を離れて長椅子へ詰め寄った。

「凡そ長官らしからぬ振る舞いだと、言いたいのだな?公邸で転寝など、あれが初めてだ。もうせぬと誓って言う。だから―」

もう怖い表情はするな、とそう継ぐ筈の言葉は響かなかった。前触れもなく唇を奪われ、蕩かされるくちづけによって果敢なく、尽きる。

抱きすくめられ、そうしながらゆるゆると傾れこんで椅子に横たえさせられたからだの、軍衣の隙へ手指が忍び込んで探ってゆく。それらに含まれるのは、噎せるほどの甘さを含んだ蜜だ、と鷲頭はおもった。知らず、ぞくり、とからだに戦慄にも似た震えがはしる。

確かに、伴侶の―嵩利が与えてくれる甘さには違いなかった。それは疑いようがない。それでも、どこか獰猛な飢えを滲ませた行為は、ともすれば鷲頭をいいように弄びかねぬような、荒々しさを孕んでいるように感じる。

濃い情欲の匂いを紛々と放って憚らぬ伴侶の、逞しい顔つきは凄艶としか言いようがない。首筋に吸いつかれて離れたときの横顔を認めた鷲頭は、そうおもって思わず呻いた。

ここに居るのは鷲頭の知らぬ嵩利だ。

それにしても怪しからん、と戒めを心で呟くも、半ばで掻き消す。夜の帳がおりる今、二人を隔てる力は存在しない。此処は疾うに、二人だけの時と場所へと密やかに音も無く入れ替わっている。

―きみがどの様に変わろうとも、それは些細なことだ。死を以ってしても別てぬ愛を与えてくれたのは、きみだ。委ねることに何も躊躇いはない。これで私は、漸くきみの半身となれる…。

無上の喜びを感じながら、嵩利の愛撫に応えてゆく―。


本当にこれで、余人に覚られていないと言い切れるのだろうか、と嵩利は腕のしたに組み敷いた鷲頭をみて思った。

このような公務に就く場所で、分別の無い行為に耽っているというのに、甘さを含んだ叱言さえ、鷲頭は口にしていない。充分にその隙を与えている積もりだ。

その匙加減もそろそろ怪しくなりかけているが、それもこれも、鷲頭が原因であると言いきっていい。

海軍大将の身形を疾うに暴かれ、愛された証を遠慮なく肌に刻まれ、からだを拓かれつつある鷲頭には、やはり変わらぬ、落ち着いた艶と色香が匂っている。

けれども、嵩利の為すがまま、抗わずに快楽に応える様をみせるのは、いま、これが初めてのことだ。

「あ…ぁ…ッ」

未だ嘗て、これ程までに甘く鳴く声を聴いたことはなかった。嵩利の与える蜜の毒に酔うことはあっても、溺れることはなかった。どこかに必ず自制を残していたのに。

慎重に解した後孔へ、指をふたつ根元まで挿しいれて内壁を探り、押し上げて掻くようにじっくりと愛撫を続けている。

「あ…あ、また…だ…。あぁ…ぁ…ッ」

頃合を計って、突き込むようにしながら手首を返し、裡へ沈めた指を翻して内壁を擦りあげた。鷲頭のからだが、びくっびくっと大きく跳ね、後孔が収縮して指を締め付ける。

鷲頭の一物は、半勃ちになったままだ。それでも今の行為で達したかのような快楽を得ていた。鷲頭は熱に浮かされたようになって嵩利の首へ腕を回して縋りつき、浅く早い呼気を漏らして息を整えている。

からだが漸く弛緩したところで、やさしく抱き返すと、甘えるように肩に頭を預けてくる。

「落ち着きましたか…?」

「ああ…少しは、な」

やはり和館へ戻ってからでないと、存分に行為に耽ることはできぬと思ったが故、思案した結果なのであるが、鷲頭の反応が余りにいじらしい。どうかすると、理性と常識が彼方へ飛んでゆきそうになる。

「まさかとは思うが、これで仕舞いなどと言ってくれるなよ」

不意に、耳に触れる程に唇を寄せられ、低く囁かれた言葉に、嵩利は己の中で何かが切れる音を確かに聞いた。
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