大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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千尋に届く波の音・第拾玖話

 「…困るな、これは大事な一冊なのに。きみらしくもないことをして、どうしたんだい?」

 すぐ近くで聞こえた声に、暢生は慌てて顔をあげる。城内は拾い上げた本の表紙を指さきで払いながら、そっとテーブルへ置き、暢生のすぐ隣の椅子へ腰掛けた。柔らかな微笑を浮かべたいつもの表情で、己の眉間を指さしてみせる。

 「鷲頭くんみたいにここへ皺を寄せて、随分と怖い顔をしていたけれど、悪い夢を見てうなされでもしたのかな」

 「いえ…何でもありません」

 「そう、と言いたいけれど、何でもないようには見えないなァ」

 恥じつつ、翳りのある顔を伏せるようにして言った暢生へ手を伸ばし、細い下顎のラインを掌で包みこむと、城内から顔をそむけようとするのをとどめた。

 触れた手は引かずにいて、ゆっくりと頬を撫でてゆく。こちらを向け、と促しているが、暢生は顔をあげられなかった。

 「ぼくの傍に来る子はたくさんいるけど、その中できみは少なからず、ぼくのことを真面目に受け取って考えてくれている…そうだよね?」

 「…はい」

 「鷲頭くんと喧嘩したんだろう、ぼくとの付き合いのことで」

 「…はい」

 「どうするの?新見くんはこのまま、ぼくと一緒に居てくれるのかな?」

 頬を包んでいた手が離れて、俯いたままの暢生の頭へ触れ、指が髪を撫でてゆく。慰めるかのような優しい触れかたに、瞼を閉じて預けた。

 「ぼくが…大尉とお付き合いをしようとおもったのは、始めは大尉を詮索する積もりでいたというのもありました。悪い噂があんまりにも酷くて…、それがとても嫌だったから。あなたが噂通りのひとなのか、そうでないのか見極めたくて」

 陰口を叩くよりも、余程下劣なことをしてきたのかもしれません、と呟いて、暢生は暗い気持ちになった。

 「馬鹿だな。そんなこと、正直に言わなくていいんだよ。真っ直ぐな気持ちでぼくと向かい合ってくれているきみの思惑が、汚いものだなんて微塵も思っていない」

 「城内大尉…」

 さりげなく肩を抱き寄せられて、城内の肩口へ頭を預ける格好になる。顔を伏せようとしたところを、今度は強く遮られる。顎先を指で捕らえられて上向かされ、城内の唇が頬へ触れそうなほど近くにある。

 「ぼくはね、きみが好きだよ。きれいな心を持っているきみを大事にしたいとおもっているんだ…。こうして傍に居てくれたら、ぼくはもうフラフラとあちこち他所へは行かずに、きみの隣で落ち着けるかもしれない」

 間近に覗く眼にも、いつものような甘くからかうようなものはなく、真剣な光があった。城内の言ったことの意味は、理解できた。顔が熱で火照り、動揺に心が大きく揺さぶられる。

 「ぼくじゃ、だめかな…?」

 「いえ…大尉…」

 「あぁ…、これでも、堪え性があると自負してきたんだけどなァ…」

 頬どころか耳まで赤みが差して、羞じ入りながら眼を逸らせようとする暢生の振る舞いを認めて、城内は深く溜め息を吐いて首を振った。

 すッと細めた眼に含まれた強い意志を認めて、暢生は打たれたように身を竦めた。城内が暢生の唇を奪い去るのは、その瞬間だけで充分だった。

 「―ッ、ん…」

 温かくやわらかな感触のあと、熱い舌になぞられて唇が震える。僅かに開いた唇を割って、滑らかに舌が差し入れられる。先刻まで髪を撫でていた指と同じようなゆるりとした動きで、舌先が口腔を探ってゆく。

 唇を塞がれ、息を継ぐのは鼻腔からであったが、ここを訪れたときから今まで全く感じられなかった藤の花の芳香をいま、暢生は嗅ぎ取っていた。

 淑やかな花の香のする、溶かされるような口づけが、女の手に触れるのすら避ける程の、まったく無垢な暢生の身に染みとおった。

 思考を麻痺させる程の力が具わった城内の口づけに酔わされずに済むはずがなく、唇が離れるか離れないかのうちに暢生は椅子から抱き上げられて、離れの部屋へ連れて行かれる。

 「あんまりいじらしくて、これ以上、我慢できそうにない」

 体から力が抜け切ってい、抵抗らしい抵抗もできずに、陽の匂いのする寝台のうえに寝かしつけられ、身につけた軍服を脱がされながら、城内の囁きを聞いた。上衣も軍袴も取り払われて、亜麻のシャツを暴かれつつ艶めかしい手つきで体を探られ始める。

 「…や…、やめて、ください…大尉」

 「違うんだ…、いつもの戯れだと思わないでくれないか。きみを弄ぶつもりなんかない、きっと大事にするよ」

 「城内大尉…ッ」

 長身ながら、ほっそりとした暢生の肢体が、城内の長く逞しい腕の中に抱き取られ、寝台へ沈みこむ。首すじのとおった綺麗な線をなぞるようにして唇を這わせ、時折くちづけながら胸へと辿ってゆく。暢生の身はさながら、清水に棲む魚のような瑞々しさと、底深い碧い湖水を覗きこむかのような犯し難さに満ちている。

 「綺麗だ…新見くん…」

 「あ…ぁ…!」

 やわらかな肌を食む度に、ぴくぴくと震える。唇から漏れる羞恥に染まった声は快楽を与えるほどに、苦しげなものから、悩ましげなものへと変わってゆく。からだを拓かれてゆく頃には、暢生は快楽に溺れる自身のはしたなさを羞じることすら、できなくなっていた。

 常日頃の、見境なしの悪戯ではない、暢生を辱めようとも、弄ぼうとも考えていない、という城内の想いが、行為に如実に表れていたからだ。その想いを受け取ろうと、暢生は与えられる愛撫に素直に応えていった。 

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| 千尋に届く波の音 | 04:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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