大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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千尋に届く波の音・第拾伍話

 暢生が蒙った高熱は、三日で少しずつ下がり始めた。

 築地へゆくこともなく、城内の邸で養生することを許され、離れの奥の部屋で手厚く労わりを受けている。熱病に罹るなどは、少年の頃から数えても二度程しかない。

 陽のあるうちには薬も効き、熱はぐっと下がる。

 床を離れ、裏庭に面した縁側へ出て行って、書を読み耽ることもできるようになった。籠の中の鳥も同然の身であることも知らずに、城内の好意を素直に受け取っている。

 登庁したあと、自邸にひと晩ふた晩帰って来ないことなど珍しくない城内が、それをしない。病を得た部下を置いて、茶屋待合と遊び歩いているというのは、体裁が悪いのだろう、というのが周囲の考えだった。

 しかし、それは違っている。

 離れの部屋に居る暢生に、そういった意味で手出しをすることはないが、寝衣を着替えさせ、体を拭いてやったりと、暢生を決して家人の手に触れさせなかった。

 酔って戯れる時と違い、他意を含まぬ触れ方も城内の思惑のうちであった。それには暢生があまりにも無防備に過ぎ、伸ばす手を躊躇ったというのも、少なからずある。

 そんな折に、横浜の連泊研修へ行っていた那智が帝都へ戻ってきた。

 耳に暢生の状況がきこえてくる。病を得たこと、手厚く扱われ、養生していることなどである。

 城内の邸に暢生が滞在していると聞いたときに、那智は怒りを覚えるよりも先に、戸惑いを覚えた。自身の心を震わせた衝撃というのが、思いのほか強かったのと、その衝撃の元というのが、はっきりと掴めなかったからである。

 前のように変わらず海軍省へ出仕することとなり、翌朝、那智は城内と顔を合わせた。相変わらず城内は、ふわりとした微笑を浮かべている。

 「鎮守府長官にお墨付きを頂いたそうだね」

 「へッ、大したことじゃねェ」

 朝の光が射す回廊を並んで歩きながら、城内は那智の肩を抱き寄せるようにして端へ導いた。城内を見上げながら睨みつけるが、微笑を浮かべたまま那智の耳へ囁きかける。

 「新見くんのことだけれどね…」

 ぴくり、と掌のしたで那智の肩が震えるのがわかる。いつもならば間髪入れずに、癇癪玉のように寄るな触るなと喧しく言うのに、黙ったままである。城内はふっと、内心でほくそ笑んだ。

 「あの子はとてもきれいだ。無垢というよりも透き通っている。ぼくはね、新見くんを守ってあげたいと思うようになってきたよ。出来るならずっと、あのまま傍に―」

 「そうかい。遊び半分に弄ぶ気なら許さねェところだが、それが本気で、手前ェの遊蕩がおさまるンなら良かろうよ」

 言葉を遮って吐き捨てたが、言ったことは本音である。この放蕩息子が落ち着くのならばそれでいいと思った。城内の腕を振り払い、足早に廊下の角を曲がって去る。

 ―本当にあいつが新見を大事にするってンなら、おらァ…別に構わねェさ。

 暢生の心根を指して、無垢というよりも透き通っている、と言った城内の言葉は那智の思いそのものであったし、城内が暢生をよくよく見ている証拠でもあるとおもった。

 胸へ抱いた淡い気持ちを仕舞って塞いでしまおうと、那智は心に決めた。

 しっかりと養生をし、二週間の後に暢生は城内邸を辞した。海軍省へ出仕するようになっても、別段変わらない様子から見るに、城内との間に何かがあったとは思えず、那智はそのことに僅かな安堵を覚えた。

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| 千尋に届く波の音 | 18:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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