大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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千尋に届く波の音・第拾壱話

 帝都の中心―霞ヶ関へ異動になってからというもの、並ならぬ忙しさの中へ、暢生たちは放り込まれていた。

 軍事部準備室はまるで、嵐の吹き荒れているような状況で、毎日退庁したあと其々の下宿先には、文字通り眠るために帰るのみであった。

 それでも、暢生は吉永との約束で、毎週金曜日の午後に築地の海軍病院へ欠かさず通院をしていた。そうして診察室へ来ることは来るが、その度に窶れていくような様子の暢生をみて、主治医の吉永は別の意味で呆れている。

 そのうち、脚気の症状が再発するのを予防する為に診察するのに加えて、過労で倒れないように処置をすることになったからである。

 「新見くん、耳鳴りや頭痛が強くなったら直ぐにここへ来るんですよ、いいですね」

 と、真剣な顔つきで念を押されて診察室を出される。吉永には真剣な眼差しを向けられて注意をされたが、実は漸く激務から解放されようとしている。軍事部の土台を作るにあたり、目途がたってきたのだ。

 帰り道には必ず宿舎の前を通るのだが、ここを出てから―即ち艦隊勤務から離れて、もうひと月半が経とうとしていた。

 宿舎の前で、ふと海のほうへ顔を向ける。脚気に罹ったとき、病院を抜け出して行った突堤が見えた。

 ―那智大尉はどうしているかなあ

 いまは館山沖へ出ているらしい肇敏の艦影が、築地の突堤から見える筈もないのだが、暢生はそこへ行って暫く沖のほうを窺ってみた。頼もしい教官であった那智の飄々とした物腰や、威勢のいい江戸ことばが蘇る。

 短気で喧嘩っ早い、手のつけられない男かと思えば、暢生が病に罹ったときに深い配慮をみせるなど、その振る舞いは自然で嫌味がない。

 海軍省へ行ってから、暢生は城内のもとで軍務に就いている。

 かれの指示や働きぶりは申し分ないし、頼れる上官であることは確かで、城内に対して不満があるわけではない。しかし、こうして那智の存在を思い返してみると、天性のものとは言え、城内の惹きつけられるような魅力よりも、那智のまっすぐな心根のほうが好ましく感じられる。

 ―何を考えているんだ…ぼくは。城内大尉と那智大尉を比べるなんて、どうかしている。

 軍帽を被り直すと、暢生はぐっと眉を顰めて沖を見つめた。

 今日はこれから、夕刻に件の”上野精養軒”で海軍省軍事部準備室の士官たちと、所謂”ディナー”を共に囲むことになっている。

 海軍省では既に洋食を取り入れていて、暢生は脚気の再発を予防するという意味もあったが、概ね新品少尉たちは上官の勧めで週に一、二度は、手にナイフとフォークを持ち、食事の作法を身につけることにしていた。

 まだこの時、海軍に於いて正式にテーブルマナーの様式が決められていたわけではなく、食堂の昼食で”フル・コース”が出てくるわけでもない。そうして身につけた作法が、果たして”上野精養軒”で通用するのかどうか、甚だ疑わしい。

 しかし、ともかくも今晩はそういうことになっている。半ば講習のようなもので、暢生はどうにも緊張を拭いきれなかった。


 その頃、那智は館山沖に浮かぶ肇敏の艦上で、操帆訓練の指揮を終えて、艦長室を訪ねるところであった。

 帝都へ行った城内の部下としてついたという、少尉たちのことを日々案じている。その度合いは心の隅へ留めている、という言葉では片付けられぬ程で、帝都へゆける機会があるのなら、直ぐにでも行きたい位であった。

 それに、那智が指導した暢生と鷲頭からは、とりわけ繊細なものを感じ取っていた。あの毀れ物のようなふたりが、城内に振り回されるのだけは止めたいとおもっている。

 海軍兵学校の生徒だった頃から、大尉の今になっても、城内の遊蕩ぶりは一向におさまる気配がない。

 兵卒の指揮、他の軍務に於いても優秀極まりなく、人望もある。どうしようもなくだらしのない男だが、那智は見捨てたくなかった。何としてでも、かれの目を覚まさせてやりたいと思う。それも城内を友人と認めているからである。

 「艦長、お呼びでしょうか」

 「那智くん、きみに辞令が届いているよ」

 扉を敲いて入室すると、有賀艦長がそこに待っていた。象牙色の封書を手にしている。有賀は複雑な表情で那智と封書とを見て、ちいさく溜め息を吐いてから言った。

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| 千尋に届く波の音 | 18:39 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

その辞令や、いかに!?
新見も陸勤務を続けていると、なんとなく潮風に当たりたくなってくるのではないでしょうか。那智と城内を思い浮かべたのは、彼らに対する心象の微妙の変化なのかそれとも。。。
フルコースを前に、慣れないながら一生懸命マナーを行使しようとする鷲頭さんを思い浮かべて、愛しく思いました。上野の夜。一波乱ありそうな、予感?

| kanayano | 2011/01/30 18:54 | URL |















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