大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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千尋に届く波の音・第漆話

 病院へ連れ戻すとなっても、城内の歩みは相変わらずゆったりとしていて変わらない。暢生のほっそりとした肢体を腕に預かっていることを、楽しんでいるというのもあったが、何に於いても城内は、”急く”、”慌てる”、ということを知らぬ男であった。

 「きみさえよければなんだが…、時々訪ねて行ってもいいかな」

 穏やかな笑顔を向けて、気遣うように訊いてくる。城内の言葉を退ける理由はなく、暢生はこくりと頷いてみせた。城内はちょっと悪戯っぽく眼を笑ませて、

 「難しい本ばかり読んでいるようだから、もっとやわらかいものを持ってきてあげるよ」

 などと、露骨にからかうようなことを言う。暢生がそういった方面に免疫がないことを、疾うに見抜いている。物腰の落ち着いた、年齢にそぐわぬ態度の奥に隠れている純情な部分を擽ってやる。

 「それは…その…」

 「海の男になろうっていうのに、そのくらいで赤くなってどうするんだい」

 内心で暢生に対して食指が動いていることなどおくびにも出さず、城内は穏やかな顔を向けて、くすくすと声をあげて笑った。羞じいっている暢生が可愛くて仕方がないといった風で、その笑みに嘲るものは微塵もなく、耳に心地よくきこえるのが不思議であった。

 「―ああ、ほら。那智くんが怖い顔をして待っているよ」

 まったく悪びれていない、というよりもむしろ、あからさまに面白がっている城内の声に促されて眼を向けると、休日だというのに、病院の門前に白い夏軍服を身に纏った那智が、端正な塑像のようにして立ち尽しているのがみえた。全身から尋常でない怒気を発散させてい、暢生は竦みあがった。

 「この通り、新見くんは、ちゃんと見つけてきたよ」

 歩調を変えることなく城内は那智の前まで進み出て、ニコニコしながら報告する。那智は軍帽の庇のしたから、じろッ、と城内を睨みつけるのみで、何故か暢生には一顧だにしない。

 「…おゥ、手間ァ掛けさせたな。厄介者は預かるぜ。こっちへ寄越しなィ」

 「―ウン、そうだね。でも那智くん、ひとついいかな」

 「何でェ」

 「新見くんを叱らないでくれないか」

 「そンなこたァ、おいらが判断すらァ。いいから寄越せってンだ」

 苛立ちを滲ませた不機嫌極まりない声音で、吐き棄てるように言うと、城内の腕におさまっている暢生を奪うようにして抱きあげた。那智はくるりと背を向けて、足早に病院内へ入ってゆく。

 「…新見、そんなに縮こまって怖がるこたァねえよ。おいらは叱る気なんざこれっぽっちも持ち合わせちゃいねェ。…さ、顔をあげな」

 と、存外穏やかな声がして、暢生はおそるおそる顔を向けた。普段と変わらない那智の、軽やかに笑んだ眼が暢生を見つめている。

 「その…すこし外に出たかったんです」

 「そうだろうよ。若ェ者が、幾日も病室に閉じ篭ったままで居りゃァ、抜け出したくもなるってもンさ。おいらだって同じことすらァ。軍医にゃ叱られるかもしれねェが。ま、気にするなよ」

 寝台へ寝かされながら、そっと耳打ちされる。

 「お前ェさんよりも、叱るのはあいつらさ。あの馬鹿どものせいで、こんな騒ぎになっちまいやがってよゥ」

 「…みんな…?」

 幾人かの足音がして、暢生が居る病室に、鷲頭、加藤、有元が揃って入ってきた。暢生を探し回って帰ってきたところらしかった。どうしたのかと問うまでもない。那智に容赦ない鉄拳を一発見舞われた証拠に、心持ち頬を腫らせて、しおたれた様子で立っている。

 「ほれ見ろィ、この通りぴんしゃんしてらァ。ただ海辺に行って、陽ィ当たってきただけだとよ」

 しかし暢生は友人たちの気持ちを無碍にしたくなかった。呆れたように言う那智の袖を掴み、軽くひいた。ふたりの上官に励まされ、気持ちを入れ替えたとはいっても、やはり暢生の心には、一抹の不安が拭いきれないで残っている。

 「那智中尉…、私にも非があるんです。もし…このまま、後遺症が残って海軍に居られなくなったら、と…。思い詰めていた私を、かれらはずっと案じてくれていたのですから」

 「お前ェさんたちの眼は節穴かィ。どこをどう見りゃァ、新見が将来を儚んでおっ死ぬようなタマに見えるンだよ?こんなに胆の太え奴ァ、そうそう居ねェってのに」

 面倒をみて貰ってから今日まで、一年にも満たない上官から呆れ顔でそう指摘され、三年も一緒に居る友人たちは、恥じ入ってますます小さくなる。

 那智の言葉をきいて、暢生も同じように顔を赤くしたが、その意味合いはかなり違っていた。何の疑いもなく、那智はまっすぐに暢生を信じている。何もかもを通り越して、那智が暢生の心の底を直截敲いた瞬間であり、言葉ではとても表せぬ想いが、暢生のなかに芽生えた瞬間でもあった。

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| 千尋に届く波の音 | 18:41 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

そのまま

掻っ攫ってくれてもいいのに城内中尉ーー!!と叫んだのは紛れもない私ですが何か!!(黙れ
ああもう、ことごとく御姫様の新見殿をああしたいこうしたいと変にこねくり回している私の思考を何とかしてください那智!むしろ私 を 叱 っ て く だ さ い(本日2回目の黙れ
元気でた。明日も頑張れる。

脚気って、手足の痺れなんですね。今日もお勉強させていただきました。先日麦飯男爵にけっ躓いてちょいっと調べていたのですが、深刻な病気のようですね。

| かん あやの | 2011/01/25 00:17 | URL |

そのうち浚われます

城内には近いうちに浚われます。千尋に~はBL色濃くするつもりなので(笑

脚気ですが、乾性脚気だと、末梢神経障害ということなので、下肢に痺れが来ることから「脚気」っていうらしいですが、症状が進んだり、人によってはもしかしたら、手まで痺れたりするのではあるまいか、と勝手に想像して書きました。

あの時代の脚気は結核と並んで、かなりヤバい病気だったようです。

頑張らなくていいから、無理しないでね!

| 緒方 順 | 2011/01/25 01:10 | URL |















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