大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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千尋に届く波の音・第伍話

 暢生たちが姿を消すのを見届けると、那智は城内へ向き直った。やおら胸倉を両手で掴んで、力任せに引き寄せる。那智の表情は嫌悪と怒りに染まってはいたが、そこに幾らか案ずるような色が浮かんでもいる。

 城内に対して怒りをぶつけても、あくまでその性癖に対してだけであって、那智は城内自身を嫌悪し、蔑むことは一度もしていない。どうしようもない放蕩息子だが、友として認めているのだ。

 「―きみはどうして、ぼくを見捨てないんだ?」

 今にも拳が飛んできそうな状況であるのに、城内はまったく平然としている。

 そうして如何にも腑に落ちないといったように、心底から不思議そうに訊いてくる。間髪入れずに、馬鹿野郎、と那智は眼を剥いて叱りとばした。耳を劈く雷のような音声だが、まず城内に効き目はない。

 「手前ェのことなんざ、これっぽっちも案じちゃいねえ。言いてェのはな、優秀な候補生が、手前ェの気紛れに振り回されるのだけは我慢ならねえってことだ。おいらン所の候補生を誑しこみやがったら只じゃ置かねェぞ」

 「誑しこむって、那智くん。ぼくは今まで一度も、相手に対して無理強いなんてしていないよ」

 「そういう問題じゃねェ!好色漁色も大概にしろって言ってるンだ。陸で何やらかしたンだか知らねェが、手前ェなァ…このままだと碌な死に方しねえぞ」

 秀でた額に血管が浮いているのを認めて、城内は笑みが零れるのを禁じえなかった。胸倉を掴まれたままだというのに、気にも留めていない様子である。那智は眦を吊り上げて、何か言おうと口を開きかけた。その唇から言葉が出てくる前に、城内は遮る。

 「それは、ぼくを案じているのではなかったら、何なんだい?」

 ニコニコしながら訊かれ、那智は面食らった。その瞬間に生まれた隙を城内は見逃さず、つと腕を伸ばして那智の豹のような体躯を閉じ込めて、抱きとめた。体格だけでなく、腕力に於いても那智を凌いでいるだけに、逃れようが無い。

 しかしそうして城内の抱擁を受けても、那智は不思議と嫌悪をおぼえない。

 その触れ方が、色好みの遊蕩者の戯れや、からかいではないことがわかるからだ。もしかしたら、もう少し那智が城内の心に踏み入れさえすれば或いは、のらりくらりと振舞っている城内の中に潜むものを、掴むことができるかもしれない。

 そのような気もするが、この人を食った態度だけはどうにも我慢ならなかった。多分これからもそれは変わらず、那智がそこまで至ることはないのかもしれない。

 「おいらはただ、クラスから碌でなしを出したくねェだけだ!」

 「嘘が下手だね、那智くん。素直じゃないのは、今に始まったことじゃあないけれど」

 愛しい者へ囁きかけるような仕草で、那智の耳もとへ唇を寄せた。忍び笑いが那智の神経を逆撫ですることもわかっているが、堪えられない。そうして笑っている城内の腕が緩んだのを見計らって、那智はするりとそこから抜け出した。

 「煩ェ…!陸は兎も角、海のうえで色沙汰めいたこと起こしやがったら、承知しねェってだけだ!憶えとけッ!」

 この悠揚とした色男には、まったく効き目がないとわかっていても、言わずにおれない。城内の好色というのは大袈裟に言ってしまえば、めしを食うのと同じようなもので、意識せずにしていることなのである。たとえ本人が自覚していても、自身の意思で控えない限りは何を言っても無駄である。

 城内を見捨てることができないのは、那智の性格、気質に他ならない。友として認めている者を、見捨てることなど那智にはできないのである。

 それを、城内はありがたいと思っている。那智はクラスで唯一、こうして本音をぶつけてくれる存在であり、だらしのない私生活を諌めてくれる親友でもある。こうして他愛もない悪ふざけをしただけで、真剣に叱りつけてくれる。

 ―ぼくは、きっと何時までも、きみに甘えてしまうんだろうな

 肩を怒らせて去っていく那智の後姿を見送りながら、城内は微笑を浮かべた。

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| 千尋に届く波の音 | 02:31 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

城内閣下

腕力もお強いのですねw ちょっとビックリしました。べらんめェな那智もそうとう型破りだと思っていましたが、どうして根は真面目なのですね。ここ、お互いに甘えあっていたのですねぇ…過去話、とっても楽しいです。

| misia20009 | 2011/01/23 14:17 | URL |

那智は真面目というか情に篤い

同じ釜のめしを食ったクラスメートである、というのもありますが、那智が城内の美点を認めていたから、というのが大きいです。

そんな那智を、城内はありがたい存在だと思っていますが、若気の至りで放蕩三昧はやめられないようです。若い頃の城内は、今と逆で、那智に思いっきり寄り掛かっていますね。

| 緒方 順 | 2011/01/23 16:03 | URL |















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