大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰肆拾話

参謀本部へ泊まりこんで三日目の朝を迎え、いつものように食堂へゆくと、テーブルについて嵩利を待っていたのは、山科ではなく鷲頭だった。

「おはようございます」

「おはよう」

ごく普通に挨拶を交わしたが、今日の会議のことで埋め尽くされていた嵩利の思考が、鷲頭の寛いだ様子を目にして、緩やかに解れてゆく。

「…そがいな難しい顔をせるのは、始業時刻になってからでええ」

嵩利が席へ腰をおろすと、普段から難しい顔をしている鷲頭が、ぼそっと郷里ことばで言って、たしなめる眼を向けた。しかしそこには労る色が浮かんでい、嵩利はすこし可笑しくなった。こそばゆくなりながら、鷲頭の眼を見返してすぐに伏せた。

「朝食は私と同じだが、構わないだろう」

「はい」

嵩利には、二度も約束を反故にした後ろめたさがある。

畏まっている伴侶へ身を乗り出し、鷲頭は向かいから腕を伸ばして、くしゃくしゃと髪を撫でる。そうしてやっと顔をあげた嵩利の顔をじっと見つめた。

「…今日は、何があろうと家へ連れて帰る。その積もりでいろよ」

微笑を浮かべた唇が囁いた言葉に、自身が宣言したことを思い返す。嵩利は顔に熱が上がるのを隠せなかったが、鷲頭の砕けた口調は包みこむような穏やかさに満ちていて、笑ませた眼にも、不埒な色は浮かんでいなかった。

これまでの鷲頭の傾向を顧み、会議を控えている身であり、さすがに自重したのだろうか、はたまた、それでいて心の奥でどんなものを抱いているのだろうか、と嵩利は思わず裏を読んでしまう。

「あ…、春美さん」

給仕が運んできた朝食を、席を立って鷲頭手ずからテーブルへ揃えてゆく。

「せめて朝くらい、自宅に居るように振る舞ってもよかろう」

温めたカップへスープをよそう、丁寧な手つきを眼で追いながら嵩利は鷲頭の言葉をしみじみと聞いた。こういうとき鷲頭は嵩利に何もさせない。ちょっとでも手伝いたそうな素振りをみせるだけで、睨みつけられる。席へ戻って、かれがフォークを取り上げるまで、嵩利は膝のうえへ置いた手をあげられないのだ。

食堂にはまだ誰も居ない。しんとしたなかに、ほんの微かに食器が触れあう音と、細雨の降りしきる音だけが響く。秋晴れと秋雨が交互に帝都の空を塗り替える日々が続き、今日はしっとりとした雨の日である。

朝食が今日はことのほか美味しく、嵩利は身内に力が湧いてくるのを感じていた。

「…ありがとうございます…」

含羞んだ笑みのなかに、ちらりと覗く精悍さが、鷲頭の心を擽ってやまない。そうした頼もしい伴侶の姿に癒されているのだから、礼を言うのはこちらである。

への字に結んだ唇からは、それらの思いが言葉として出てこない。鷲頭は種を除いた葡萄の果肉を、小さなフォークにさして嵩利へ差し出す。それを躊躇せずにちょっと身を乗り出して、ぱくりと食べる。果実を覆うみずみずしい果汁が嵩利の唇に触れて濡らす。滴り落ちる前に鷲頭は、フォークを持った指先を伸ばして拭い取った。

「時々、こどものように油断するな、きみの唇は」

不意にみせた鷲頭の、僅かに色を含んで細めた眼は穏やかなまま。そこに餓えたような獰猛さが微塵もないのが、却って内に抱く思いを匂いたたせているのに、嵩利は漸く気づく。

「今日は大事な会議だ。確り頼むぞ、先任副官」

もう一度、唇を指さきでなぞりながら、鷲頭は厳しい面持ちに戻ると、低く囁くようにゆっくりと念を押した。
→【11話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・131―140話 | 13:27 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

きゃ~~

こんばんわ。お邪魔しております。ご無沙汰いたしました。
これから寝ますっていう時間じゃないのですが。
読みに来て良かったです~~
ジタバタしながら読みました。「あ~ん」してる~~♪
浮いたり沈んだり色々あって、やっとここまで辿り着いて、ラブラブ真っ最中ですねぇ…秘めたる鷲頭さん、とても素敵です。腹の中は不埒が煮えくり返っているのでしょうけどwww
嵐の前のひとときの幸せと思うから尚ひきたちますね。

| misia2009 | 2010/11/23 04:32 | URL |

コメント返信です

お返事遅れてすみませんでした^^;

もう鷲頭の我儘大爆発中です。

次(佰肆拾弐話)あたりでちゃんと話を動かそうと思っています。

| 緒方 順 | 2010/11/27 12:49 | URL |















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