大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰弐拾玖話

春千代と清光はその一夜限りの艶姿を、夢の刻が終わりを告げると共に脱ぎ去った。

一刻の後には、それぞれ海軍中佐の夏軍装と、三つ揃いの麻背広という姿に戻って、ひょっこりと座に戻ってくる。

すっかり酔いの回った上官たちは、嵩利と山科を矯めつ眇めつ、妙な目つきで眺めまわして、笑みを浮かべている。その輩のなかに鷲頭と城内も、漏れなく含まれていることは言うまでもなく、仕掛けた飛び切りの悪戯が成功に終わったのを喜んでいる。

ふたりは末席に連なったが、あからさまなそれらの視線に忽ち頬を染めつつ、初めて杯を干した。羞じらっている姿が、そこはかとなく麗しい美妓の面影を追わせる。早く酔ってしまえれば幾らか楽だったのだが、それも難しい。

しかし上官たちは、振る舞いをあげつらって、それ以上玩具にしなかった。慈父のような心持になっていったのは、かれらの真摯な振る舞いを思い返してのことだった。

「それにしても、今日はいい思い出になったなァ。…でも最後に皆にひとつ、暴露しなけりゃならねェことがあってよゥ」

更けてゆく夜のなかで、穏やかに酒を酌み交わしていたところに、那智が据わった眼でじろりと城内を睨めつけて言った。傍らの新見を促すと、酔っている割には確りとした足取りで座の真ん中に腰をおろす。

相変わらず泰然としている城内は、那智と新見の顔を交互に見やって、にこにこと相好を崩した。そうして悪びれずに口をひらく。

「やっぱり、那智くんの耳目は誤魔化せないネ」

と、意外とあっさりと認め、”極秘計画”について白状する。盟友たちは城内の珍しい態度に拍子抜けしたが、かれの真意を酌もうという空気も場に漂って、那智の予想通り剣呑な状況にはならずに済んだ。

「おゥ、そりゃァな。まあ、今日はあいつらに免じて、説教は勘弁してやらァ」

あいつら、というのは美妓を演じきった、健気な青年士官と敏腕秘書官のことである。酔漢と化している橘田と三上に引っぱられて酒を注がれ、なかなか抜け出せなくなっている嵩利と山科だったが、やがて見兼ねた鷲頭が間に入り、酔いが回ってきた様子の嵩利と山科をさりげなく救出して、席へ連れて戻る。

「さて―、そろそろお開きにしようかネ」

その城内の言葉に、座の和やかな雰囲気に一抹の侘しげなものが漂ったが、そこに触れる者はなかった。山科は、城内の大柄な背に寄り添うようにして立ち、そっと座敷を出た。

まだまだ飲み足りぬといった様子の有元と三上は、座敷の真ん中に残って陣取り、一升瓶をあけはじめた。浅田も橘田も、今晩は鷲頭邸へ泊まることにしている。帰路につく盟友たちを見送り、中庭を囲んだ部屋へ思い思いに移ると、邸内に静けさが漂った。

庭の草陰から松虫の鳴く声が届く。思いのほかその声が響いていたことに気づき、夜気と一緒に流れ込んでくるそれは、しんと心を沈ませた。艶やかな美妓が集い、笑いさざめいた宴席の場面が、それぞれの胸中に刻まれてゆく。

「それにしても…今日は、良い思い出になりましたなあ」

酔いの残った赤い顔を笑ませて、橘田はしみじみとしながらも無邪気な口調で呟いた。

「あと半月もしたら、お互い艦上だな」

「ええ」

長く海軍次官をつとめたことのある浅田は、陸へ残される鷲頭や新見をおもって、ため息をついた。今回は鞍馬から、第二艦隊旗艦、周防に司令長官として座乗するが、ほとんどが軍政畑に居た将官である。

しかし、陸へ残ろうとも、海へ出てゆこうとも、盟友たちの心境はそう変わらない。海軍不戦をとなえるかれらは、不穏な戦の気配が野火のようにして広がるのを見つつ、それを止められなかった悔しさと、不本意な戦へ出されることについて、もはや表立って何も言うことはなかった。

軍人は戦をせよと言われればする他ない組織であって、国防の全てを担うものではない。それは本来、政府が国際社会との外交を以って折衝、吟味し、良くその意図を操縦すべき事項なのである。

日露戦争後から既に、国防に関する意識が崩壊しつつある。ひたすらに、ひたむきに前を向いて国の勃興の為に働いてきたという、傍目には美々しく、凛々しく見える姿勢の裏には、このような影が潜んでいる。
→【17話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・121―130話 | 20:36 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

救出!

こんばんわ~~。 すっきりさっぱり着替えた若い二人が恥じらう様子が逆にたまりません。二人を酔漢から救出に向かった鷲頭さんの仏頂面が目に浮かぶようで笑いを禁じ得ません♪

那智さんと新見さんの内緒話も描写がないからこそ読む者が脳内で補う楽しみがあるので、いつも「文章は美麗なのに描写そのものはそんなにクドクない」という緒方さんの世界に楽しく遊ばせて頂いております。

| misia2009 | 2010/11/03 19:55 | URL |

コメント返信です

>いつも「文章は美麗なのに描写そのものはそんなにクドクない」という緒方さんの世界に楽しく遊ばせて頂いております。

misiaさんの優しさに惚れた。まさに「全俺が泣いた」状態です。でもがんばって精進します。

この文章、じぶんで書いていてどうなんだ?と思うくらい、味気も色気もないし、状況描写ばっかりで淡々としています。もっと登場人物の葛藤とかやりとりを入れるべきところを、あっさりテイストで読者様に脳内補完させているという体たらくであります。でも今更なおせないネ!(開き直り)

| 緒方 順 | 2010/11/03 22:04 | URL |















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