大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰弐拾漆話

先ず披露された姐さん芸妓の色っぽい舞に、さしもの海軍の精鋭たちも見入って、その間は誰も、口を利く者はなくなる。

続く春千代と清光の舞も、粛々としたものを時折含みながら、無事に終える。笑いさざめく声もやんでいたが、舞台にしている続きの間から、芸妓たちが進み出て近くへ侍ると、和やかな歓談に移ってゆく。

こうなると、美妓の繊手から杯に注がれる酒精の味も香も、一段と堪えられないものになるらしかった。

ひととおり、作法を覚えたとはいえ、何処かぎこちないのは隠せない。春千代も清光も、姐さん芸妓の辰吉に伴われて、将官の前で慎ましく手をついて頭をさげて回っている。

紹介するのは姐さんで、春千代たちはひとことも口を利いていない。半玉あがりの芸妓といえば、まず初めの座敷は大抵がこういった扱いで座を退くのだという。

「辰ちゃん、今日連れてきた妓たちは肝いりかい?みんな随分大事にしているみたいだネ。でも、ちょっと離れてこっちでお酌してくれないかなァ」

と、城内がさも恨めしげな―というよりも、恋しげな―まなざしを辰吉にむけて言った。無条件で、うんと言ってしまいたくなるのをぐっと堪えて、辰姐さんは城内の催促をかるくいなした。

「だめですよ。寄らせたら、今度はこの妓たちが城内さまの傍から離れませんもの。そしたら、あたしの居場所がなくなっちゃうわ」

「ぼくの隣はチャンと空けてあるよ、辰ちゃん。ネ、ちょっとだけでいいから」

「いーえ、ご挨拶が先です。海軍さん選りすぐりの、好い殿方が揃っているんですもの、今日はこの妓たちを、しっかり覚えていただかなくちゃ」

と、にべもなく断ってみせるが、この会話も計算づくである。城内は白けたような顔をすると、向かいの席に座っている鷲頭を目で指して、不貞腐れた声を出す。

「ふゥん、確かに好い男といえばそうだけれどネ。でも、そこの鷲頭くんは、酌したって面白くもなんともないヨ。座敷遊びもしないし、うわばみだから杯の数を競うったって、勝てやしないからネ」

「まあ、酷いこと仰って。鷲頭さまは箏もお上手だし、寡黙だけれど素敵な方なんだって、あたし、よぅく知っているのよ」

行くわよ、と目顔でふたりを促して進み出て、辰吉は鷲頭の傍へ侍るようにして膝をついた。滅多に座敷に顔を出さない鷲頭だが、それだけに印象が強いようだ。

難しい顔をして、黙って杯を傾けているだけだが、何となく朴訥な温かい人柄が滲み出ているらしく、何故か芸妓らに人気があるという。

春千代―嵩利からしてみれば、”鷲頭さま”がそのように人々に知られて慕われているのは、当然だと言いたいことである。

しかし、辰吉のような美妓が傍に居ても、眉ひとつ動かさないというのは、ある意味で女心を刺戟するものなのかもしれないな、と嵩利は心中で冷静に考えを巡らせて、妙な感心をしている。

そうしながら表面では芸妓の春千代として、しおらしくしている。辰吉姐さんに促されて、侍る位置を入れ替わると、春千代は鷲頭の手中にある杯へそっと酒を注ぐ。

酒精の匂いがふわりと広がって、ふと、心配が過ぎる。放っておいたら、このひとは今晩どのくらい杯をあけてしまうんだろう、と、春千代は徳利を傾ける手をとめる。

「…そう、心配するな。どうあろうと、きみとの約束は守るぞ」

瑠璃色の袖から覗く手を迷わず掴み取って引き寄せ、春千代の耳へ囁く。鷲頭の仕草は、いつもの嵩利へ触れるそれと全く同じであった。どこでどう見ていたのか、もとの面影もない芸妓の春千代が嵩利であるのを、鷲頭は確りと見抜いていた。

「春美…さんッ」

「あの舞は良かったな。…後で、私の箏に合わせて演ってみないか」

頬が触れるほど顔を近づけている。春千代は驚きを隠せず、囁き返したが、鷲頭はまったく平静な態度である。杯を膳に置いて、美妓を軽々と膝へ抱き上げると、共演を誘いかけた。

まるでしなだれかかるような恰好で、最愛の人の腕におさまった春千代は、羞恥のあまり、白い水化粧をほんのりと染めるほど、頬を熱くしている。
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| 綿津見の波の色は・121―130話 | 23:39 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

鷲頭クンにしては大胆な

と、周囲の皆さんが驚いている顔が目に浮かぶようですw
閣下のこういうときのふてぶてしい魅力が全開ですね。
ああ春千代の美しいこと…

| misia2009 | 2010/10/30 19:30 | URL |

コメント返信です

こういう悪戯とか、策略大好きですからねー、城内は。

乗った姐さん方も、かなり楽しんでいますし。

ひとまず成功、というところでしょうか。

| 緒方 順 | 2010/10/30 21:06 | URL |















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