大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰弐拾陸話

盟友の集い、の当日を迎えた。

このようにして、”余興”の全容を知っているのは城内のみで、鷲頭は嵩利がどのような美妓に変貌したか、まったく知らないでいる。

先刻、赤坂にある那智の別宅を一緒に訪ねたあと、鷲頭は盟友たちを迎えにゆく為に、嵩利は余興の為に、途中でそれぞれ道をわかれた。

準備がありますので、これで、と言って去ってゆくときの、海軍士官の身形でいる嵩利の華奢な背を、鷲頭は何気なしに見送った。

その背が、襟を抜いた匂いたつ香をそなえた、芸妓のそれに変わるだろうというのを、鷲頭はうっすらと予想しているが、如何せん第二種軍装の身形から、それをありありと想像するのは至難のわざであった。想像をめぐらせるのは楽しかったが、あえてそっと蓋をしておく。


―青山の自邸へ帰るなり、置屋から来て支度を整えてくれていた芸妓たちが、半刻足らずで嵩利たちを芸妓へ仕立ててくれる。

今日は嵩利と山科だけが余興に出るのではない。置屋から五人ほど綺麗どころを招んでいる。いずれも城内に惚れている妓ばかりである。

余興の意図を酌んで、皆まで言うなといわんばかりの気風のよさを見せてくれている。

”春千代”が纏うのは目の覚めるような天色の着物。

しかし裾にゆくにしたがって色は次第に、漆黒へうつりゆく。そこへ金糸と色糸とで桜花と花吹雪が惜しげもなく刺繍されている。まるで深い海か空のようなそこに、清楚な黒地の桜花が散った帯を柳結びにして、帯を挟んだ濃紅の帯揚と紅絹が艶めかしい。

水化粧に際立つ黒い双眸は、見ているだけで吸いこまれそうである。

元々の童顔に島田の鬘が初々しく、鷲頭が果たして、これが嵩利であると見抜けるのかどうか、と”春千代”を姿見の前でつくづくと見てから、”清光”はちいさく首を傾げた。

一方の”清光”はといえば、紫黒のしっとりとした着物である。

その袖と襟、裾などにポッと芙蓉が咲いている。ちらちらと天の川のように金銀が散りばめられてい、小さくあしらわれた結び熨斗の月白の帯を角出しにしている。

化粧を施した切れ長の目許と紅をひいた唇は、硬質の美貌と言えばよいだろう。はっきり言って本物にも引けを取らないのではないか、という程の色がある。

「どこまで演るんですか、ぼくたちは」

城内がこっそりと部屋を訪ねてくるなり傍へ行って、嵩利は扇で口許を隠しながら、すかさず小声で問いかけた。悪戯好きのする笑顔を浮かべて、即答しないということは、何かまだ考えがあるのだろうか。

「場を見計らって、うんと驚かせてやりたくはないかい?…こんな綺麗どころが君たちだって知ったら、きっと大騒ぎになるに違いないからネ」

実際今日同席する中にもふたり、半玉からあがったばかりの妓がいるということで、ふたりを同じ立場ということにするらしい。これなら本職の”姐さん”たちの後ろにかばわれるし、他の妓に混じって同じように口を利かなくても、まず不審がられることはない。

「ひとつ、よろしく頼むヨ」

軍務のときとさして変わらぬ口調で言って、城内は”春千代”と”清光”の肩をポンポンと叩いた。舞を終えて、一通り酌をして回ったあとあたりだろう、と見当をつけておけば間違いなさそうだった。

やがて何も知らない盟友たちが、鷲頭邸へ順次到着して、揃い踏みの美妓に対して目を瞠ることになるのだが、その視線が間違いなく”春千代”と”清光”にも確り注がれているのがわかる。

全員を迎えに行って、最後に座へ姿を現した鷲頭だが、嵩利の予想に反して居並ぶ芸妓たちには、ちらりと一瞥をくれただけだった。しかし、却ってその視線が嵩利の気を引き締めさせたのだが、鷲頭はそれを知らず、いつもと変わらぬ難しい顔をして、席へ着こうとしている。
→【14話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・121―130話 | 01:38 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

桜芙蓉~

連投お邪魔いたします。
着物の描写が堪りませぬ~~~~
いちいち吃驚なさらない城内閣下は、さぞかし綺麗どころに目が慣れてらっしゃるんでしょうね…

| misia2009 | 2010/10/28 20:30 | URL |

NoTitle

うわあああ、わくわくする(笑)
 
 misiaさんのおっしゃる通り、麗しいお二人の描写がとってもとおっても美しかったです~(*^^*)
 島田を結った嵩利…嫁 に 来 い(黙れ)

 それにしても「今生の別れになるかも」って、嵩利さんは真面目にふざけているみたいだけど、城内首相はたんに面白いからやらせているように見せるのですがこれは人生の貫禄というやつなのでしょうか。(これを大人の余裕と言ふ)。

 ここの描写が華やかな分、来年以降はシビアになるのかな。そう考えると寂しいので、今は次回を楽しむのみにします!!
 襲っちゃだめよ!那智さん!

| kanayano | 2010/10/28 22:46 | URL |

コメント返信です

着物の描写、三十分くらい悩みました。

城内は大そうモテる男なので、男女ともに綺麗どころは見慣れていますね。

| 緒方 順 | 2010/10/29 23:53 | URL |

コメント返信です

大正三年を控えた作者の現実逃避が、そのまま城内の悪ノリになりました次第です。

明日はどうなるか分からない、という事態があるだけに、こういった突拍子もない企画もありかなと。

| 緒方 順 | 2010/10/29 23:57 | URL |















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