大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  綿津見の波の色は・第佰弐拾肆話

どういう経緯か知らないが、あの計画の真相が那智に詳らかにされたのは、ほぼ間違いない。取りも直さず、那智を蔑ろにしていた新見の行状が暴露されたということでもある。

だのに、その意を酌んで、何も見聞きしなかったことにして、飲み込もうとしてくれていたのだ。であるからして、那智が昨夜―というよりも、つい先刻まで―あのように振る舞ったのは、ごく当たり前の結果なのである。

あのまま本心を偽って、心の深い場所に秘密を抱きながら那智の腕に甘えても、むなしいだけに終わったに違いないし、それが為に、那智との距離が離れてゆく虞も、無論あっただろう。結果的には、これで良かったのかもしれない。

と、新見はこれまでを顧みて、こんなことを脳裏に浮かべてみるのだが、殆ど意味を成していない。酔った感覚のなかで津波の如き快楽に飲まれ、抗えぬ引き波に攫われるようにして、理性を手放したのは、いつだったか―。

ふくふくとした寝具のなかで、新見は寝返りをうちながら、ぼんやりと考えた。

穏やかな朝の陽が障子にさすのを、見るともなしに眺める。書院造りの丸窓が淡い光を透して、室内は清廉な色の明るさに満たされてゆく。もうとっくに、登庁すべき時刻を過ぎている。

昨夜は夜通し”腰も立たなくなる位”抱かれて、その証拠に、いま微熱を発している有様である。肌のありとあらゆる場所に刻まれた痕は、痺れるような痛みを訴えているが、その疼痛すら、いまは愛しくおもう。

廊下から那智のかすかな足音がして、新見は枕へ顔を埋めて隠した。那智が傍へ屈みこむのがわかる。

「まァだ起きてンのか。暢、お前ェさん、これまで碌に休暇も取っていなかったらしいな。…赤煉瓦に連絡したが、十のうち二も言わねェうちにゆっくり休んでくれって言われたぜ」

そっと髪に触れる手の動きはやさしかった。昨夜の行為が嘘のようである。閨からこの部屋へ運んでもらってからというもの、まともに那智の顔が見られない。

「渡りに船たァ、このことだな」

隣に並べて延べてある床へ潜りこみながら、那智は悪戯っぽく含み笑いを漏らした。自身の肌に刻まれた痕を思い返して、新見はほっとする。とてもではないが、一両日で跡形もなく消えてくれるような代物ではない。寝具と枕の隙から眼を覗かせて、漸く那智を見つめた。

「さ、せめて昼までは眠らねェと」

おずおずと伸ばしてきた手を、那智は確りと握り返しながら微笑をむけた。いつもと変わらぬかれの表情に、新見は長く息を吐いて瞼をとじた。ねむりの淵へ落ちていって、書斎をかねた瀟洒な居室は静けさにつつまれてゆく。


―握っていてくれたはずの手がそこにない。

目覚めて触れたかったひとのぬくもりが消えている。ふと隣へ眼をやると、上掛けが半ばまで捲れているだけで、那智の姿はなかった。ごろりと転がって那智の居ない寝具へ潜りこみ、占拠してしまう。やや慌しげな足音が聞こえてくるも、眠りに落ちかかった耳には、それすら心地よく響く。

「暢、風呂に入れてやるから、起きなィ」

すっと襖を開けて那智が眼にしたのは、そのようにして眠っている新見の姿であったが、残念ながら、微笑ましくいつまでも眺めているというわけにはいかない。

「嫌…、あとで…」

「そうは問屋が卸さねぇンだよ。…しょうがねェなァ…。よっ、と」

那智は宥めるようにやさしく起こしにかかるが、寝床を占領したまま、新見はそれに従う様子はない。手を拒みながら、もう少し寝かせてください、と言う。眠気の篭る声で甘えられて、那智は上掛けを剥がそうと伸ばした手をひいた。

「鷲頭が、今晩夕食を一緒にどうだって誘いに来てるンだが、断るか…?お前ェさんがこんな様子じゃ、あいつらきっと、目ン玉剥くだろうしなァ」

「いえ…、断らないでください。皆が揃う機会は、これから暫くなくなりますからね。偶には、明るい席にしましょう」

「ふゥん、そうかい。それじゃァお招きにあずかるとするかィ。と―、あのことは、あいつらにも暴露するからな。城内の野郎がどんな面するか、今から楽しみだぜ」

と言いつつも、那智としては思う壺で、艶っぽい新見を見せびらかせる、またとない機会であり、内心ではほくそ笑んでいる。それに、城内と新見の二人が企んだことを暴露するといっても、酒の入る席になるのだし、笑い話にしてしまえる。

「その件は、源さんにお任せします。…でも、あと少しだけ…」

「おゥ、わかったよ。あいつらを帰すまでだからな」

「はい…」

安心したように瞼をとじ、ふわりと微笑んだまま、寝息をたてる。那智はつくづく寝顔を眺めながら、こんな風に眠る新見の顔を見るのは、随分久しいことなのだと気づく。海へ出る前にもう一度、今度はやさしく抱いてやりたい、と切なくも温かなおもいに満たされてゆく。
→【12話】 →目次へ戻る

web拍手 by FC2

| 綿津見の波の色は・121―130話 | 19:56 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

NoTitle

こんな素敵なまどろみ、かつてあったでしょうか。
新見さん、悩んでいるだけに却って那智さんのこの優しさが辛いというか、でもきっと嬉しいですよね。こんなに思いやってもらえるなんて。
今夜は一見するなり、鷲頭さん辺りに「この二人、昨夜も…」と思われちゃうのでしょうか(笑)
鷲頭さんも人のこと、言えないくせに(笑)久しぶりのお二人、楽しみにしています。

| kanayano | 2010/10/27 19:31 | URL |

夜も寝ないで昼寝して♪

激しさと優しさを兼ね備えた那智閣下、
明鏡止水の底から湧き上がる艶っぽさ。
長いこと仄かに匂うようだったお二人の魅力を堪能させて頂きました。
鷲頭親子の目をむいた顔はすでに目に浮かぶようです♪
城内閣下の微苦笑も。
ああ粋な帝國万歳。

| misia2009 | 2010/10/27 20:04 | URL |

コメント返信です

那智と新見の甘々が台無し。

じぶんの異次元みたいな思考回路のせいで、次話から大変なことになりそうです。

一応、鷲頭と嵩利に戻っています。戻っていますが、なんだー、うわー。

| 緒方 順 | 2010/10/27 22:35 | URL |

コメント返信です

BL小説で侘び寂を醸そうと、四苦八苦した結果があれです。

もうかれこれ、二十年以上連れ添っている那智と新見だけに、鷲頭たちのような濃い!愛!嬉しはずかし!というようなのとは別の描きかたをしてみたかったのであります。

何とかお伝えできたようで、ほっとしています。

| 緒方 順 | 2010/10/27 22:54 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/269-88d8469f

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。