大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰弐拾話

昨夜の甘露滴るような刻は夢だったのか。

あのときの顔はどこへ行ったのか、とおもうような、いつもの端然とした海軍士官の形でいる新見を、那智はつくづくと見上げながら、咥えていた煙管を指に挟む。

甘い吐息まじりの煙をふっと吹き流して、脇息に肘をつく。ことの名残の熱と湯上りと、寝不足とで、しまりのない態度でいる那智とは豪い違いである。

藍白をした麻の単を着流しにしてい、そこから覗く肌が、まだ心なしか火照りを持っているように映ってしまうのは、褪めたような単の色の所為なのだろうか。

昨夕居た書院造の部屋で、寝そべるような恰好で居るも、如何にも物憂げなその姿勢に、新見は息を飲みつつ、同時に、まだ渇きを訴えている欲を抑えこむ。

何でもないような表情をしていた新見の眼に刹那、色が閃くのを見て、那智は悪戯っぽく微笑みかけた。煙管を煙草盆へ伏せると、指さきでかれを招く。逡巡―というより羞じらい―をみせている新見が傍へ膝をつくのを待つ。

そういう部分が可愛らしく、かれだからこそ、那智は全てを預けたいとおもう。

「登庁するまえに、今晩の約束をして置かねェとな」

「何があってもきちんと、退いてきます。これでもう五回目ですよ、あ―」

からだを傾けて、間近に顔を寄せるなり、唇を奪った。白い軍装を纏った肩を抱くようにして、身じろぎもさせない。容赦なくその縁へ引き摺りこむ。熔かすようなくちづけから逃げる術を、新見は知らない。

これから海軍省へ出仕する身である人事局長は、隠し切れなくなった艶を目許に浮かせて、那智の行為をゆるした。但し離れたときに、かれの頬をひとつ抓るのを忘れない。

「ふゥん、そうやって、小憎らしい真似しゃァがるかィ」

にやり、と不敵な笑みを浮かべながら、首根っこを掴んで新見を引き寄せる。唇を耳へ触れるほど近づけて、ゆっくりと囁く。

―いま、瀬戸際まで、拘束してやってもいいンだぜ―

びくっ、とからだを強張らせる新見。昨夜の濃厚なひと時を、ずるずると尾を引かせずに線を引いて、きっぱりと切ったつもりだった。それはひとえに軍務の為と、今夜の為である。しかし、こうして突かれただけで、あっさりと崩れはじめてゆく。

「そ、それは、困ります…」

「じゃ、勘弁してやらァ。但しその代わり、帰ってくるまでその厄介な物をしっかり抑えて温めとけ。それと―、帰ってまだツンケンしてたら承知しねェからな」

「う…、はい」

落ちかけた眼鏡を指さきで戻しながら、熱を帯びた顔を漸くあげた。昨夜、散々鳴いて新見を受け入れた那智と、とても同じとは思えぬ。ふてぶてしい笑みを向けられて、背筋がざわついた。あの媚態が嘘のようである。眼前で凄絶な色香を纏わせている那智には、とても逆らえない。

「よゥし、行ってきなィ」

ぽん、と背を叩かれて、新見はうっ、と呻いて顔を顰めた。行為の最中、昂ぶったものの発露として、那智に抱きつかれている間、血の滲みそうなほど幾度も爪を立てられた。今朝、軍装を纏うのにも相当苦労したのだ。傷をつけた本人が、それを知らぬ筈はない。玄関まで見送りに来た那智へ、端正な敬礼をして、家を出た。

「行って参ります」

新見とて寝不足である。何とか、自分なりに自制をきかせようと、確保しておいた余地へ那智の侵略をゆるしてしまい、果たして赤煉瓦に着くまでに態勢を立て直せるか、とまだ熱い頬をぴたりと叩く。

僅かに浮いたような足取りで、赤土の坂を上り下りしてゆく。やがて荘厳な庁舎の並びが見えてきたが、甘い空気はいつまでも纏わりついて、離れてくれそうになかった。

赤煉瓦へ入ると、真っ先に食堂へ向かう。ひとりでテーブルに就いたが、ふと、向かいの空席を眺めて苦笑を漏らした。今ここに鷲頭が居なくてよかった、と思ったからだ。

いつか那智を新橋まで見送りに行った朝。あの朝を迎える前の晩、これでもかという程深く那智に愛されていた。それを自分では隠しおおせているつもりでいたが、鷲頭にひと目で看破され、顔から火が出るようなおもいをした。

「まったく…、今晩、どんな目に遭わされることやら…」

ぼやきながらも、甘い予感を心待ちにしていることを認めている。しかし、それに浸れる猶予もあと僅かだった。始業を境に、人事局長として、昨日に引き続き艦隊編成会議の席に着かねばならないのだ。
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| 綿津見の波の色は・111―120話 | 16:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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