大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰拾捌話

仮寝のために延べたやわらかな寝床のうえで、分かたれることのないひとつのもののように、那智と新見は抱き合っている。那智はそうしてひとしきり、新見のぬくもりに甘えて、随分と軽くなった心に目を細めていた。風が強くなってきたのか、時折、設えられた書院造りの丸窓が、かたり、と鳴った。

温もりと息遣いを感じながら、黙ってそれらを堪能していたが、どちらともなく顔をあげて見合わせる。自然と近づく唇を流れに逆らわずに重ねるとき、綺麗に整えている新見の口髭がそっと口の端を撫でた。那智は久しぶりのその感触に、思わず微笑を漏らす。

「…暢、我慢しなくていいンだぜ…?」

深いくちづけを終えて、那智はそう囁きかけながら、細面の輪郭を掌で包みこむ。指さきで頬を掻くようにかるく撫でて、眼を覗きこむ。静謐な湖水の如く波打たぬその眼に、小波がたつ。逡巡と、抑圧している熱意。

「暢…?」

薄い唇が、きゅっと結ばれる。一度開けば、明快な言葉を紡ぐ業物のようなそれ。こうしてふたりきりで居るとき、那智の眼にはそのようには映らない。おそろしく欲のないこの男が、那智にだけみせるひたむきな情熱。さきほどのくちづけが、新見の心情を全て語っていた。

「なかなか点かぬ火打石、風に煽らりゃなお点かぬ。そも暗がりで、なけりゃ灯りは役立たず、か?…あっちィ行くかい?」

あっち、というのは言うまでもなく閨のことである。妾宅として使われていただけに、あの小ぢんまりとした空間は、そのようにつくられている。書院造りのある、端正なこの場所は、想いを晒すにはあまりに不似合いで、新見はこくりと頷いてみせた。

「じゃ、おいらを連れてってくンなィ」

首を傾いで、たっぷりと艶の含んだ流し目をおくる。新見の自制を溶かすものとして、これほどのものは、多分、存在しない。

「たぶん…、今夜は源さんを放しませんよ…?」

「おゥ、遠慮すンな」

横抱きにされるや、するりと首に両腕を絡めて、臆面もなく許諾する。鳴かせるのも鳴かされるのも、特に境界というものはない。そのときの昂ぶった想いを交感しあうだけだからだ。

やがて、そこへ辿り着く。

わざわざ堅框から上下の桟、組子に至るまでを、表は黒味がかった朱、裏は黒の漆で仕上げてある。なまめいた艶を帯びている、ぴたりと一分の隙もなくあわさったその堅框は、まさしく秘めたる所だった。そこへ触れて開くときの、那智の指さきの動きを目で追いながら、新見は己の内に只ならぬものが燃えているのを、はっきりと自覚していた。

友禅の扇や花のちりばめられた、緋色の上掛けが、寝台を覆っている。金銀と、あらゆる明暗を含んだ緋の氾濫。点したランプから漏れる光に、和と洋の入り混じった室内が妖しく浮かび上がる。

寝台へと運ばれて、那智はつくづくと新見を見上げた。微笑みかけながら、つと手を伸ばして、指さきにブリッジをひっかけるなり、その貌から眼鏡を取り去った。銀の細縁が鈍いランプの光をはじいて、かれの眸を隠す。それが嫌だった。

「もう…源さん、困ります…」

「見えねェってほどじゃねぇンだろ?ま、どの道、この暗がりじゃァ同じだ。おらァ、その、ちょっときつくなる眼が好きなんだ。色っぽくて、な」

ふ、と息を吐きながら言う那智の目許のほうが、余程妖しげな色を湛えている。新見は、くっと鋭く眼を細めながら那智へ覆いかぶさった。再び頬に触れようと伸ばしてくる那智の手をそっと掴み取り、唇へ誘う。

手の甲へくちづけ、指の間の、やわらかな肌を舌先で擽ってやる。袂を押しやり、すらりとした腕を露わにしてゆきながら、唇を這わせる。端々も疎かにせず、じっくりと愛撫してゆくのが常で、新見の尽きぬ愛情の全てはこうして、那智の心身に刻まれてゆくのである。
→【6話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・111―120話 | 22:18 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

美意識。※やはりケータイから

いつも叫んでますが、やはり叫ばせてください。

きゃあああああ!!!新見さん好きすぎる\(^o^)/

ところ構わずではなくてちゃんと場所選ぶとか、お姫様だっことか、お姫様だっことか…!!くはああたまらんっっ(>_<。)そしてここで次回お預けなんて読者にツンすぎますよ緒方さん!!(泣)
眼鏡、端正、ですます口調。ドンぴしゃですよ新見さん!床の間の描写が美しすぎます。見てきたように正確ですね…!この文章能力と知識量。本当にうらやましい!

最近、どっぷりBLにはまりたくて本屋を物色してますが、鷲頭さんと新見さんに適うもんは無さそうなので明日から本屋行くのやめます(^_^)/

| kanayano | 2010/10/20 22:35 | URL |

コメント返信です

穴があったら入りたい。そんなにほめていただけるほどのものではないですよ!
描写なんてもう妄想の結果です。こんなだったら面白いだろうな的な。

続きなんですが、いやもうこれ以上書いちゃうと冗長になりそうなので、切っちゃおうかなと…悩んでいます。そもそもこのふたり主役じゃないですしねえ。どうしようかな、もうちょっと書こうかな、う~ん。

明治大正期舞台の、しかも純粋に陸海軍でBL作品て、ないですよね~。ないなら書こう、とおもってこれ書いてるんですけど、そういう作品があったらわたしも是非読みたいですよ。

| 緒方 順 | 2010/10/20 23:17 | URL |

このまま…

番外編として突入してほしいであります…涙がにじみました、あまりに嬉しくて。

黒漆と朱の塗り框、きた…あらゆる明暗を含んだ緋の氾濫…
もう全文を引用して、ここも好き、この文も好き、と申し上げまくりたいです。

新見さん、お髭あるんだ…泣ける、嬉しくて…
この年齢層のキャラクターで、これだけの下準備をして書いているBL(に限らず)って無いと思います。
一路進軍なさって下さい。
小旗ふって応援します。帝國万歳。
源さん素敵。

| misia2009 | 2010/10/21 11:21 | URL |

コメント返信です

那智×新見を愛でてくださって、ありがとうございます。

書き手冥利に尽きます!

でもこれはあくまでも本編ですので

番外編でふたりの話はきっと書きます。

それにしても、何でこんなに文面を褒められるのか。穴があったら入りたい!恥ずかしい(////)

| 緒方 順 | 2010/10/21 15:21 | URL |















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