大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰拾伍話

このころ日本海軍は、嵐の前特有の波に漂っているような状況のなかで、その舵をとっていた。ざわざわとして落ち着かぬ、気持ちの悪い揺れを生む波に揉まれているも同然であった。

それを素直に、船酔いしました、と宣言して下船できれば言うことはないのだが、と、新見は赤煉瓦の食堂で味気ない朝食をとりながら、詮無いことを思い浮かべている。そんな思考を漂わせていられるのも、ごく僅かである。

始業前だというのに、もう副官が呼びに来る始末で、あたたかい牛乳を啜る間もない。開戦して交戦中ならまだしも、これでは先が思いやられるな、と新見は首を振りながら呼び出された先―海軍次官室へ向かった。

主要艦隊の司令長官たちを帝都に招んで、新艦隊編成の会議を開くらしい。その膳立てをしろというのだろう。今の海軍次官は、以前人事局長だった三上で、いわば新見とはツーツーの間柄である。

「新見、一昨日”小松”で那智長官が随分荒れたそうだ。詳細は知らんが、気を悪くした長官も居るようで、その、困るんだがなァ」

と、第一声がこれであった。

那智の手綱を握れるのは新見しか居ない、というのを三上は知っている。余り気の強くない性格から、このように婉曲な言い回しをするしかない。故にその語尾に”頼むから、なんとかしてくれよ”と付いているのを、新見の耳はしかと聴き取っている。

「さすがに長官全員だからねえ。新橋はごった返すとおもうが、そこは迅速にな」

と依頼され、艦隊司令長官たちの上京の手筈を、新見は一手に引き受けたのだった。


翌日、朝早く、新見は赤坂の家を出た。今日の手配は抜かりなく済ませてあるから、あとは駅頭で長官たちを出迎えるだけなのだが、ひどく落ち着かない。

ひとつは、この赤坂の家にその理由がある。

ある大店のあるじが、七年ほど前まで構えていた妾宅だったもので、譲渡されたか、どういう経緯か知らないが、那智が好きに使っている”隠れ家”のひとつである。

妾宅、というだけあってつくりは一々艶めかしい。那智が最も気に入っている場所だから、帝都滞在の折は、殆どここを自宅のようにして、ふたりで過ごしてきた。付け加えて言うと新見は普段、官邸住まいである。

小松で”イモ掘り”をやりかけたことや、立場に応じて自重せぬ相変わらずの振る舞いに対して、どう叱言をぶつけてやろうか、その方面に思考を傾けてみるが、それにはかなりの努力を要した。

―私としたことが。こんなことならきちんと官邸から来るべきだったな―

と、脳裏に那智の人を食ったような笑顔を思い浮かべて、ぽっと目許を赤らめながら、呟く。普段は那智の”べらんめえ”を厳しく諌めている新見だが、今回ばかりは、論旨鮮やかな説教が出来る自信はない。

それというのも、大正に改元されてから発令された辞令のもと、陸と海とに別れて以降、一度しか顔を合わせていないうえに、外海近海問わず、各艦隊に於いて事故が非常に多発していた時期もあり、事故の報が舞い込んでくるたびに痩せ細るようなおもいをしてきたからだ。

幸い、那智が率いる第三艦隊には事故は発生しなかったのだが、説教ができるのも、ひとえに無事に生きているからこそである。あのような事故だのという事態が頻発していたのを思えば、叱る文句も減ろうというものだ。

だから、那智が横須賀の料亭で多少のやんちゃをしたくらい、実は新見にとってはどうでもいい問題なのであった。寧ろ、普段と変わらぬそういった素振りをみせているについて、嬉しくさえおもっている。

もうすぐ、あの声が聴けるのだと思うと、自然と笑みが零れてくる。列車から降りてくるときも、いつもの粋な身ごなしで現れるのだろう。そうして無造作に、ひょいと敬礼をして寄越すに違いなかった。
→【3話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・111―120話 | 23:04 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

しまった!うっかり

すんません、3連続でコメントトップバッターとらせて頂きました…(反省)

新 見!!お預けじゃないですが、久しぶりにかの那智さんにお会いできるわけですね!!やあぁ~、冷静な中にも高ぶる新見さんのお気持ちが伝わってくるようでした(きりっ)公認なんだなぁ(^o^)わくわくどきどき☆

やはりケータイから失礼しました。

| kanayano | 2010/10/18 23:33 | URL |

コメント返信です

いや、もう読みに来てくださってホント嬉しいです!

いつも、お早いお越しありがとうございます。

那智×新見

番外編書く前に、本編で描ける場面ができたので、スポッと入れてみます。

鷲頭と嵩利に負けず劣らず、深い絆で結ばれているんですよー、とお伝えできるようにがんばります。

| 緒方 順 | 2010/10/19 00:02 | URL |

パインでイモ堀り♪

前回を拝読して、お、喧嘩だ喧嘩だ~♪ と一瞬嬉しくなった不埒者であります。
二種軍装でドツキ合い。やっぱ見てみたかったな!w
そして新見さんにう~んと叱られて♪
新見さん…面白ェ…紅くなってる…閨の壁が朱塗りだったりするんでしょうねぇ、赤坂の家。そんなところで独りで寝てたら寂しすぎ。
ではこれより次回を拝読に参ります。敬礼。ふふふふふ。

| misia2009 | 2010/10/19 21:23 | URL |

コメント返信です

いや~、那智のあまりの振る舞いに、一発喝を入れてやろうかと思ったのですが、できませんでした(泣

ちょっとビンタじゃ済まなさそうだな~、と。そういう描写苦手でしてねぇ…。

でも、やっぱりちゃんと描写しておくべきだったかなあ、と思いました~。

| 緒方 順 | 2010/10/19 21:57 | URL |















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