大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第佰漆話

参謀総長の音頭で陸軍士官学校を始め、将校を育てる方針を厳しくとってい、遅ればせながら海軍も教育機関に力を注ぐことの要ありということになった。

海軍省局長クラスの会合のあと、海軍大学校校長のお鉢が、鷲頭へ回ってきた。

中将に進級してひと月も経っていない。鷲頭自身、艦長時代に特に何をしたという記憶はないのだが、人を育てるについて人後におちない、と周囲に推されてのことだった。軍務局長の職を後任に託して、海軍省を去ることとなった。

このころ嵩利は既に先任副官の職から完全に解かれて、大学校の教壇に立つことに専念している。

こうして築地まで鷲頭父子は通うこととなり、行きも帰りも一緒、昼食も鷲頭校長に呼ばれて相伴という状況になり、それはそれで嬉しかったが、嵩利はこっそり嗜んでいた釣りへは通えなくなり、大学校の隠れ品書きから”江戸前海鮮料理”が姿を消してしまった。

嵩利の釣果を密かに楽しみにしていた学生は少なくない。そんな大学校内での些細な変化でさえ、鷲頭は敏感に察していた。であるから、それらが嵩利に起因していることに辿り着くまで時間は掛からなかった。

「講義の空き時間に、釣りへ行っているのか」

昼食をとっているとき、前置きも何もなしに訊かれ、嵩利は手にしていたフォークを危うく取り落としそうになった。

咎めているわけではないというのは、鷲頭の声音が穏やかであることからわかる。何故そのことが鷲頭に知られたのか、鳩が豆鉄砲を食ったような表情をしつつ、そっと皿のふちにフォークを伏せる。

「隠している積もりはなかったのですが…」

「いや、咎める気はない。学生の指導に不備さえなければ、構わないぞ。…それにしても変わらないな。いつかの、きみが学生だった時分を思い出す」

懐かしげに眼を細めながら言う鷲頭を、嵩利は照れくさそうに見返し、眉をさげて首を竦める。どこか幼さと無邪気さを持った”奇行多し名士候補”の大尉であった頃と比べたら、落ち着きと海軍士官らしい鋭さを具えて、随分と頼もしくなっている。

鷲頭校長から許可を得たことで、空き時間のなかで余裕が出来ると、嵩利は釣竿を担いでふっと風のようにして大学校から居なくなる。

築地は海軍用地であり、その施設は他に軍医学校、海軍経理学校がある。軍服を着たまま平日の昼日中にうろついていても、咎められることはない。

一度釣りをしに出てゆけば、必ず釣果を持ち帰ってくることには驚く。

もし軍人の道を選んでいなかったなら、嵩利はひとかどの漁師になっていたことだろう。あの腰越で、面倒見のいい顔役として漁団を率いるほどの海の男になれた筈だ。と、そんな戯れめいた想像をしつつ、鷲頭は昼食や夕食に時折饗される”江戸前海鮮料理”を旨そうに食べている。

明治の頃と違い、今では海軍兵学校でも大学校でも、学ぶべきことが増えている。校長を始めとする、明治初期?中期のころ教育を受けた中堅以上の士官は、校長や教頭、教官という肩書きを戴いているが、新しい知識を得るために講義に出ることも厭わない。学生同様にして日々精励している。

海軍の気風として、階級の上下なく、正しいと思ったことに関しては、意見のぶつけ合いをしても構わないというところがあった。ゆえにこの大学校でも、校長から学生までがそのようにして研鑽に努めている。時には横須賀や呉の造船所や工廠へ見学に出て行きもし、書物や計算式にばかり埋もれているようなことはなかった。

こうして学び、得ることが増えると、俄然生き生きとしてくるのが人間というもので、海軍はこの教育改正によって、瑞々しい印象を取り戻すことに成功しつつあった。
→【19話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・101―110話 | 09:11 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

NoTitle

まさかの学園生活。
それにしても「江戸前海鮮料理」はおいしそうですね。

漁師として船頭をとる嵩利も勇ましくて素敵ですね。

| kanayano | 2010/10/11 12:39 | URL |

コメント返信です

教育第一。

軍事の技術は日々進歩していますので、日本海軍の未来は、精鋭たちの双肩に掛かっているのです。

穴子とか鰈も釣れるそうなので、お刺身から蒲焼まで揃っています(笑

海軍へ行かなかったら、生業は魚河岸か漁師と、本人も考えていたらしいです。

| 緒方 順 | 2010/10/11 22:43 | URL |















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