大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第玖拾漆話

今夜決行せんとする戦略を練りがてらの散歩から帰ってきた嵩利は、玄関に鷲頭の短靴があるのを認めて、目を丸くした。今日が土曜日だというのをすっかり忘れていたことに思い当たって、ひょいと居間を覗く。

鷲頭は濃紺の端正な軍服を纏ったまま、ぽつんと座っていた。

「春美さん」

名を呼ぶが、こちらに背を向けていてまるで嵩利に気づいていないようであった。障子を半ば開けて、昼の陽があたる暖かな毛足のながい敷物のうえに、脚を投げ出して腰をおろしている。

傍らの丸い小机には軍帽が置いてあり、机の端を脇息のようにして腕を置き、一見寛いでいるように見えたが、嵩利から僅かに覗える顔には沈んだようなものしかない。

もう一度、前より少しばかり声を大きくして呼ぶと、ぴくりと体を強張らせるのが分かった。振り向いた鷲頭の表情は、不機嫌そのものに見えたが、ひどく淋しげなものを漂わせている。

練りに練っていた戦略は一先ず置いておくことにして、嵩利はその顔を見つめた。いま自分があまり温和とは言えぬ表情でいるということは自覚していたが、座り込んで動かずにいる鷲頭の傍へ、詰め寄るようにして近づく。

ほんの僅か手を伸ばせば触れられるところまで来たとき、くっと白絣の袂をつままれて引かれる。意に応えることを刹那躊躇ったが、催促に逆らわずその場へ膝をつくと、鷲頭は何も言わずにゆっくりと上体を傾けて、嵩利の胸元へ顔を埋めた。

こうも甘えかかるような仕草をされては、邪険にはできない。鎮守府でも同じことをしたなと、あのときの桜花の淡いいろと香を思い返して、目を細めた。

「―言って置きますが、ふた晩ひとりきりにしたこと、これで帳消しにはなりませんよ」

労わるように背をさすってから肩を抱き、且つ、髪を撫でながら耳のうしろを掻くようにして擽る。やさしい触れ方とは裏腹に、冷たいとさえ言える声音で囁きかけた。

「これでいて、怒っているんですからね、ぼくは」

返事の代わりにしっかりと抱きついてくるのを、いじらしくおもったが、いまはそれよりも嵩利自身の募りに募った欲求をぶつけるほうが勝った。拒むように肩を掴んで引き離すと、両の掌で頬を包み込んで顔をあげさせる。

眉を寄せているが、いつもの厳しさは微塵もない。赦しを乞うような切実ないろが、眼に揺れている。その眼を暫し鋭く見詰め返したあとは、への字に曲げたままの鷲頭の唇を、すかさず奪い取った。抵抗を示す気配を察し、両腕をするりと首へ絡めて圧し掛かりながら敷物のうえへ傾れ込む。

もう、はしたないとも、浅ましいとも思わない。

嵩利は想いの丈を籠めて、唇を深く交わらせ、欲望を剥き出しにして口腔を余さずに貪った。そうしながら、跨った下腹を腿でぐっと締めつけ、円を描くようにゆるく腰を動かして擦りつける。

濃厚なくちづけと、挑発同然の嵩利の飢えた姿態に、さしもの鷲頭も酔わされた。押さえ込んだ鷲頭のからだは嵩利の行為に反応を示し、ぴくりと跳ねて震える感触を伝えてくる。

それだけで、獰猛に昂ぶった感情が、からだを内側から根こそぎ舐めあげるようにして這い上がってゆく。嵩利は堪え切れず、まるで獣のようにぶるッと身震いをする。

伴侶を放っておいたことが、こんな事態を招くとは鷲頭の想定外であった。常に意に沿って従順で、淑やかといっていいほどの従容さで鷲頭を受け入れていた嵩利が、こうも烈しいものを表すとは。ここまできては、何を説こうが無駄であろう。

旨酒に酔うという言葉があるが、酒には一向に酔った例のない鷲頭にとっての”旨酒”は、目の前で妖艶な色香を滴らせている嵩利に他ならない。かれの振る舞いに酔わされ、瞬時にして理性を奪い取られていった。

「あぁ…」

これこそ、どう受け止めてよいか。きつく眉を顰めて息を吐くが、それと共に唇から漏れる掠れた声は、ひどく甘いものを含んでいた。
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| 綿津見の波の色は・91―100話 | 14:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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