大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第捌拾捌話

 橘田中佐の体調が思わしくない。

 かれを濃やかに労わりつつ、英国在勤の武官たちともうちとけて、嵩利は自然、職務に追われるかれらの頼りとされ、愈々ここへ残るべきだという意志を固めた。宿舎へ帰ると、このところ毎晩の恒例のように那智の部屋へ直訴にゆく。

 「那智長官、なぜ残ってよいと言ってくださらないのですか」

 「認められないものァ、認められないンだ。何度言わせりゃァ気が済むんだィ」

 病身の橘田から、嵩利が来てくれたおかげで少しでも療養の時間がとれて有難い、というような電話が那智のもとへ掛かってきたのは、つい数日前だった。

 いつどんな場所へ行かされても、懸命な働きをみせる嵩利には、那智もいたく感心している。艦隊から離れて、ひとり置いてゆくことに何の憂慮もなければ、残ることを承知せぬ上官は、まず居るまい。それは那智とて例外ではない。

 そうして悩んでいるところに、今朝、帝都から那智宛てに、城内の手による早急の書簡が届いた。山科が鷲頭へ秘密を包み隠さず打ち明けてから五日後のことだったが、その頃には第三艦隊の面々が英国で過ごし始めて、既にひと月が経っている。

 当然だが、もうその間に嵩利は何度も纐纈と顔を合わせているし、その軍務をたすけてもいる。

 聞くところによれば、かれの執務室へ度々入り浸ることもしてい、纐纈の蒐集した希少な書籍を借りうけて読み耽っているらしい。知らぬとはいえ嵩利は、ふらふらと宿敵の懐へ温まりにゆくような真似をしているわけだ。

 纐纈がどういう意図で部屋へ招じ入れているのか知らないが、いくら知識を得られるからといっても、以降は嵩利を敵陣へ行かせるわけにはゆかない。那智は城内からの書簡を読んで、背筋がつめたくなるのを感じた。それを思い返しながら、眼前で端正な佇まいをみせている鷲頭の愛息子を、めずらしく厳しい眼つきで捉える。

 「この命令を出しているのは、みィんなお前ェさんの上官なンだ。どうしても上官の命令に従えないのなら、即刻強制帰国のうえ、軍法会議に出頭させるしかねェぞ」

 脅しめいた言葉を投げかけた。あくまで嵩利が言い張るのならば、本当にそうしてもよい、と那智はそこまで考えている。だが、その真相を知らぬ嵩利からしてみれば、これほど不条理な押さえつけはない。

 ぐっと唇を引き締めるだけに留めてはいるが、内心では怒りに燃えていた。

 軍務に忠実に励んでいるなかで、病を得てしまった橘田先任武官を、本国の上官たちは労わろうともしないのか。いくら海軍に人員が不足しているといっても、この扱いは非情ではないのか。

 「不平満々、てェのが答えみてェだな。…ま、無理もねェか」

 那智はあくまでも、居残らせない理由をはぐらかすつもりでいたが、嵩利が纐纈のすぐ傍に居るいま、真相を打ち明けねばこの事態はいつまで経っても収まらないだろう。

 「そンじゃ、お前ェさんにその理由を教えてやるから、明日の朝ンなったらここへ来い」

 「はい」

 「一所懸命やってくれてンのは、ちゃんと分かってるさ。な、そう、いつまでもおっかねェ面してるンじゃないよ。別嬪が台無しだぞ」

 そう言って器用に片方の眉を跳ね上げて見せた那智は、明らかに態度が変わっている。嵩利は訝ったが、相手は他でもない鷲頭の盟友である。腹に煮えていた苛立ちを抑えて、体に漲らせていた力を、ふっと抜いた。

 漸くいつもの可愛げのある、くるりとした黒い眸を向けられ、那智は思わず頬を緩ませた。

 それと同時に、小面憎い纐纈の澄まし顔がちらりと過ぎる。あともう少し、城内からの便りが遅れていたら、那智の知らぬところで嵩利は、纐纈の毒手に触れられていたに違いないのだ。
→【39話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・81―90話 | 18:56 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

NoTitle

「別嬪が台無しだぞ」

きゃーーー!!!(絶叫)
ああもう、最近那智さん大好きです!鷲頭さんから脇目にそれる人が現れるとは・・・!!嵩利、気持ちはわかるけど、親父さんの気持ちも分かってやれよ~ 分かってるけど橘田さんが心配なのもわかる… どうするんだろ。

| kanayano | 2010/09/24 20:30 | URL |

自分がこんなに

がんばってるのに認めてくれない~って事を言うんじゃなくて、一途に先任武官を気遣う嵩利くん、じつに彼らしくて良いですね♪

| misia2009 | 2010/09/25 22:10 | URL |

コメント返信です

登場人物を愛でていただいて、嬉しいかぎりです。

ちなみに那智のモデルは、初代海軍卿の勝安房(海舟)です。

嵩利はそろそろ、庇護されていることに歯痒さを感じて、妙な反抗期に突入しそうです。

| 緒方 順 | 2010/09/26 11:48 | URL |

コメント返信です

ありがとうございます♪

じぶんのことより、他のひとのほうが気になってしまう性質ですね。

大変な状況を見ていると放っておけない、ついつい頑張っちゃう。

この性格は良くもあり悪くもあり…。

| 緒方 順 | 2010/09/26 11:52 | URL |















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