大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  変わらぬ青空のしたで・第拾捌話

 そのころ、昼行灯と悪戯坊主はといえば、秘密裡の会談を済ませて、すっかり部屋で寛いでいた。

 「十一時になったちゅうに、迎えに来る気配がないのう。ちとあたまを働かせれば、おれがここに居るちゅうことは、すぐに分かる筈なんじゃが」

 それでも、じぶんから出てゆこうとしないのは、部下を試しているのか、それとも単なる悪戯の積もりなのか、惟之は長椅子に悠々と寝そべったまま、にやにやしている。

 「じゃっどん、杉サン。ちっとはニセんしを、てねんしてたもんせ」

 いつもと変わらぬ惟之の振る舞いを見かね、さすがに今日は状況が状況だけに、川上にしては珍しく忠告めいたことばを口に上せた。しかし言ったのはそれだけで、あとは黙って湯呑みを手にし、音も立てずに茶をひとくち含むと、ゆったりと執務机のまえに座って本の頁を繰っている。

 騒がしさの欠片も届かぬ静かな室内に、中庭から雲雀の鳴き声が聞こえてくる。

 「こうやって、壁越しに聞くと可愛ええもんじゃの」

 ひっきりなしに鳴く雲雀だが、届いてくるのは囁く程度の囀り。多分、梅の木にとまったり、苔石のうえでちょんちょんと跳ね回ったりして、絶えずお喋りをしている様子が浮かぶ。その雲雀の声が、眠気を誘った。

 長椅子のうえで、くあーっと大きな欠伸を漏らしたとき、雲雀の囀りを聴いていた惟之の耳は、遠くから響くふたつの靴音を拾った。

 「あァ、来おった来おった。しかしふたりとはまた意外じゃのー」

 言っているそばから、靴音は近づいてきて、川上の部屋の前で止む。コツコツと扉を叩く音に、川上は本を閉じて机に置くと、顔をきちっと扉へ向けて、ドーゾ、と悠長な薩摩なまりで声をかける。

 失礼します、といって入ってきたのは、恩田と和胤であった。傍からみても、―特に恩田が―突き刺すような気配を纏っているのはすぐにわかった。

 ふたりは川上に向かって、面倒ごとに巻き込んだことを詫びるように、頭をさげた。和胤は物言いたげな、頼みこむような眼差しを川上に、恩田は据わった目を惟之に、それぞれ向けている。誰も、ひとことも発しなかったが、そのやりとりだけで充分だった。

 「よかか、おはんら。杉サンもいろいろと、事情はあるじゃろから…てげてげにしやんせ」

 ちらりちらりと、長州の二人を交互に見遣りながら、穏やかな言葉をかける。かれらの上官が単純に遊びに、ここへ転がり込んできたわけではないのだと、川上はいっそ擁護してやりたかったが、肝心の本人が相も変わらず泰然としているものだから、それは止した。

 そもそも惟之は、人の弁護などを期待するような性格ではないし、今日に限って悪戯にひっかかった部下をからかう軽口が、ひとつもその口から出ていない。いつもと違うその様子に、擁護は不要、と川上は判断をつける。

 「いっとどま、階上へ行くでごわす」

 ここは長州の三人だけにしておいたほうが、無難におもえた。

 丁度昼時であるし、すこし早いが昼食をとりに行ってしまおうと、それを内心の口実にして、のったりとした歩みで三人の脇を通り過ぎてゆく。長椅子に半身を起こしている惟之の華奢な肩をひとつ、熊のようにぶ厚い掌で包むようにぽすん、と叩き、

 「てげてげにしやんせ」

 とそれだけ再度、念を押して出て行った。
→【7話】 →目次へ戻る

web拍手 by FC2

| 変わらぬ青空のしたで・11―20話 | 14:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/23-87cc70d9

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。