大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第捌拾弐話

 厳密に言えば、はっきりと任務内容の決まっていない辞令に不安はあったが、嵩利は司令長官である那智と、高木参謀長の連絡役のような、副官のような位置に就いて、栗鼠さながらに艦内を往き来している。

 忙しさはひとかたではなく、いつか赤煉瓦に居た頃を凌ぐようなときもあったが、やはり海へ出ていることもあり、格段にいきいきとしながら励んでいた。

 「おゥい副官、便りが届いたぞ。おらァ、いま暇なんだ。直ぐ来ねェと駄賃代わりに読んじまうからな」

 那智のからかう声が、隣室から聞こえた。どうやら、通信長から直接手紙を受け取ったらしい。司令長官公室に設えた、続きの間になっている控え室で、ちょうど手の離せぬ書き物に専念している。嵩利は口許を緩めて、隣室へ顔を向けた。

 「いいですよ。手が離せませんので、読みあげて下さると助かります」

 声に笑みが含むのを隠しもせずに、言う。

 「けッ、こまっしゃくれたこと言いやがって。人様の恋文を読む奴が居るかィ。おらァ、じぶんので腹一杯だ」

 と、那智は臆面もなく言いながら、控え室へやってきた。二通の書状を携えていて、嵩利の向かいへ無造作に腰をおろす。

 「…いつまでも、そんな野暮なものを広げてるンじゃねェよ」

 煙たそうな声で、那智にしっしっと払う仕草をされる。言われてみれば午後の茶をたしなむ時刻でもあり、嵩利はいそいそと店をたたんだ。

 受け取った鷲頭からの書状を開くまでもなく、裏書にまず眼を瞠る。差出人住所が赤坂区青山、とある。官舎であれば麹町区霞ヶ関の筈である。首をかしげながら、それを開いた。


 ―きみに先ず、詫びねばならぬことがある。文を開く前に気付いただろうが、実はこの度、居を構えた。貸家ではなく、私ときみが住まう為に土地を得、家を建てたのだ。

 私自身は今まで通り、生活を変える積もりはなかったのだが、やはりきみという家族が居る以上、鷲頭家の主としては最低限の体裁ということだ。

 と、ここまで偉そうに認めてみたが、実は藤原大将と城内大将に、散々喧しく言われての結果だということ、土地建物に関しても、殆どお二方に任せきりだったことを、きみにだけは正直に白状しておく。

 私がもたもたしていなければ、揃って新居で幾ばくかは共に過ごせたかもしれぬとおもうと、大いに悔やまれる。新居に独りで居ることに一層の寂しさを感じる故、この愚痴はもうこぼさぬことにする。

 今回の信は報告書の如き味気無いものになってしまったが、先ずきみに伝えねばならぬ事項故、我慢してほしい。時を空けずに次信を書き送る、待っていて呉れれば幸いだ。

 五月九日 春美より


 「…どうしたィ、何かあったのか?」

 さほど長くもない文面を何度も読み返しているし、眸は丸く見開かれたままであるのを認め、那智は訊かずにいられなかった。

 あれだけ端から端まで厳しい鷲頭がと、確かに驚きはした。しかし、かれの傍らに居て四年が経つ。物や金銭に執着がない性格だけに、ある意味では非常に鷲頭らしい振る舞いと言える。

 嵩利がまなこを丸くしているのは、こうして突如、公然としたふたりきりの居場所ができたと、それについてである。

 「その…青山に家を構えたそうです」

 「ほぉ、奴さんやっと腰をあげたか」

 那智はそれだけ言うと、嵩利の表情を酌んで、にやにやしている。内心まで見抜かれているようで、つとめて平静を装ってみても、嫌でも頬が火照っている。
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| 綿津見の波の色は・81―90話 | 21:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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