大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第拾漆話

 ふと時計を見上げれば、午前十一時をまわっている。

 作戦会議は大詰めで、これで説得できるだろう、と一同が概ね頷けるほどの案は出来上がった。そんな状況のなか、局長の惟之は一度もこの第一局室に姿を現していない。和胤は天井を―階上に上官は居るのだろうかと―見上げながら顔を曇らせた。

 「山口、そろそろ杉閣下を起こしに行くとしよう。多分、午後いちばんで議会に行くつもりだろう」

 ちと、この作戦について腹蔵なく言い添えたいことがある。ついては閣下の癇癪玉が炸裂せんように、貴様に宥めて貰いたいのだ。と一緒に第一局室を出て廊下を歩きながら、恩田が小声で言ってくる。

 いま出来たばかりの案は、板紙に綴じられた姿で、恩田の小脇にかかえられている。和胤は、上官の癇癪を抑えられる自信は甚だなかったが、苦笑いを漏らしながらハイ、とひとことだけ返答をした。

 四階に昼間ひとが居ることは、まずない。そもそも有事でもない限り、個室を使用する将官はあまりいない。それをよく知っている恩田は、上官の個室のまえで扉を叩きながら、

 「惟之、寝る子は育つちゅうが、なんぼ寝てもそれ以上育たんっちゃ。とっとと起きんさい」

 などと郷里ことばを丸出しにして、からかいたっぷりに声をかける。和胤は思わず頬が緩みかけたが、ここはかれの副官である手前、堪えた。

 ―少しの沈黙のあと。何の気なしに恩田が扉の杷手を握って捻ると、それはすんなりと開いた。

 「ああ…っ、やっぱり脱走しやっさーた!」

 和胤は思わず、恩田の後ろであたまを抱えて、うっかり、郷里ことばで口走った。

 恩田は一瞬目を丸くして振り返り、和胤をみつめる。かれからしてみれば、和胤がなぜ狼狽しているのかわからない訳で、すぐに我に返り、昨夜からのことをかいつまんで、この部屋に上官を放りこんだ経緯を恩田へ説明した。

 「よいよ、おぬしゃ恐いもの知らずじゃのー。おれでもそがな真似はせんっちゃー」

 開いた口が塞がらないような顔をして、恩田はますます目を丸くした。一度ひねくれ出すと修正しない、利かん坊主のような上官を、階級の上下を飛び越して叱り飛ばしてやりたいとおもったことなど、恩田とて一度や二度ではない。

 あのこどもじみた悪さ、としか言いようがない行動に振り回されれば、こちらとてその報復として、相手が小柄なだけに、ひょいと小脇に抱えて尻のひとつでも―実際は百回でも足りないのだが―張り飛ばしたくもなる。

 その気持ちを副官に打ち明け、そうしながら段々と目が据わってくるのが、じぶんでもわかった。

 「さーて、どこに隠れちょるんかな、悪戯好きの栗鼠は。…あれじゃ、さすがに今回はがちまんでけんっちゃ。見つけ出したら、おれがやいとすえるけぇ、おぬしは見て見ぬふりをしちょれ」

 この重要なときに姿をくらますなど、もし他所の部署、また他の上官がやったとしたら、大問題に発展するところなのだが、第一局に限っては、それでも上官が持つ才能と、一種の人徳、その愛嬌に部下連中が負かされて、最終的には容認してしまう。だから、こんな事態になっても「尻を百回張り飛ばす」程度なのである。

 「見て見ぬふりというより、見守らせていただきます。自分のかわりに、やいとすえてつかーされ」

 和胤は呆れきった顔で、開いた扉とその奥のからっぽの室内を改めて眺め、恩田に全て託した。
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| 変わらぬ青空のしたで・11―20話 | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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