大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第漆拾参話

 着慣れぬ海軍の礼装が落ち着かない。まるで正月か節句に晴れ着で飾ったこどものように、居間へ出て来てもじもじとしている嵩利を、鷲頭は呆れながら見遣った。

 しげしげとあたまからつま先まで眺め渡して、その着こなしを厳しく確かめる。

 今日は大将に進級した藤原を祝う催しが帝都にて開かれるのだ。招かれているのは、かれの知己だけあって錚々たる顔ぶれである。だからと言うわけではないが、曲りなりにも帝國海軍士官の身で、礼を欠くようなことがあってはならない。

 「少しは落ち着きなさい。まったく…、海にばかり遣っているのも、良い事ばかりではないな」

 海に出ると、まるで郷里の腕白坊主のようにいきいきとして職務に励む様子は、みていて誠に気持ちのよいものだが、いざこうして陸にあがると、慣れぬことが多すぎて、つい地金が出る。

 確かにその点は、何も言い返せない。“船乗り”だけに、陸より海にいる方が格段いいに決まっている。こういった集いや何かというのは、嵩利にとっては場違いもいいところで、最も苦手としているものだからだ。所謂、不調法者の類に入るのかもしれなかった。

 「こら、襟紐が捻れたままだぞ」

 厳しい眼差しが、一点を定めて止まる。間近に詰め寄られて、くっ、と耳を抓りあげられた。

 「遣り直し」

 ぴしりと短く言い渡す鷲頭の礼装姿は、非の打ち所がない。さすがに踏んできた場数が違う。身に漂う紳士然とした匂いが、言わずともそれを物語っている。

 海軍士官としての礼節や軍紀は心得ていても、嵩利には洗練といったものは備わっていない。しかも、もうそういったものを備えていても、おかしくない年齢であるのは本人もわかっている。どうにも、取り繕ってみせているようで、いっこうに身につかないのだ。

 その代わり、いかなるときでも、天衣無縫の純朴さを全身から醸している。それが嵩利の最大の魅力になっているから、何事にも厳しい鷲頭だが、それについては口喧しく、場慣れしろなどと指摘しないし、殊更に躾ようともしていない。

 叱られた仔犬のような眼差しで、チョッと上目遣いに鷲頭を見て、嵩利はくるりと背を向けた。一歩、部屋へ戻りかけたのを、腕をとって制する。

 「身形は正しくあらねばならん。次からは一度で、きちんと着るように」

 振り向かせて襟紐を解きつつそう言ってから、我ながら甘くなったものだと、怒ったような顔のまま、内では苦笑を漏らしている。手早く蝶に結わえ直して顔を覗きこむと、嵩利はまだ、恥入ったような表情で瞼を伏せている。

 「すみません」

 「うむ」

 顎先に指を添え、押しあげて上向かせて眼を合わせる。もう鷲頭は表情を和らげている。いつも嵩利にだけ向けている微笑を含んだ眼である。何か言いたげにしている唇がいじらしい。紅い花弁のようなそれを、鷲頭はそっと包みこむようにくちづける。

 たまに、こうした小さいながらも大事な所でへまをやらかすが、けして二度はしないのだ。この、“海の子”は何よりも鷲頭の誇れる伴侶であり、恋人であり、副官である。

 「今夜は私の傍に居なさい。慣れぬ場で必要以上に気を遣うことはない」

 「…はい」

 過保護だと笑われるかもしれないが、肌に合わぬことを無理にさせなくともよいと、そう鷲頭はおもっている。それに下手に出て行けば、招かれた来賓のいい玩具にされるのは目に見えている。それが最も我慢ならない。

 いまは嵩利の宿舎にもなっている、横須賀の別宅を出て、列車に揺られて帝都へ向かう。山の手の穏やかな丘のうえにあるという藤原の邸が、祝賀の会場である。
→【24話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・71―80話 | 21:27 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

読みました!

 いつもお騒がせします。kanです。

 「綿津見の波の色は」アップ分をすべて読ませていただきました。
とうとう嵩利くん鷲頭さんのとこに御嫁入りなんですね・・・!艦内でもどこでも節操無く・・・ではなくて、鷲頭さんが部をわきまえて(シチュエーションを計算済みで)ちょっかいを出すのがたまりません!!同じところを何度も読み返しています(鎌倉の海辺のシーンとか、東京での着衣行為シーンとか)

 2人の恋路(違)を応援する人、邪魔したい人それぞれ魅力的な人物で、今後の展開が気になります。個人的には山科さんの動向が気になります。遅れましたが、鷲頭閣下の少将進級おめでとうございます。

 またお邪魔します♪

| kanayano | 2010/08/27 11:04 | URL |

いつもありがとうございます

鷲頭がこれほど人気が出るとは思いませなんだ。

厳しくけじめをつけてこそ、箍が緩んだときが萌える、とおもっています。鷲頭は軍務にも嵩利との私的な時間にも、真剣一途です。

これからも見守ってやってください。進級祝いありがとうございます。

| 緒方 順 | 2010/08/27 21:58 | URL | ≫ EDIT















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