大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第拾陸話

 上官の部屋に施錠をし、それで警告をしたつもりでいたが、あの悪戯っぽい不敵な笑みをみれば、十中八九脱走するだろうことは、想像に難くない。

 「げに、困ったおひとじゃのう」

 郷里ことばで呟いて、執務室へ戻る。

 すぐに大机を覗きこみ、所狭しと広げられた地図を見てゆく。そのどれもが、様々な作戦の展開を示しており、ひとつとして同じものがなかった。

 杉惟之といえば、陸軍の智嚢と周囲に知れ渡っている。地図をひとつひとつ揃えながら、和胤はその片鱗を垣間見たおもいがした。しかし感心ばかりもしていられない。和胤とて参謀であるから、任された仕事にさっそく取りかかる。

 皆が出勤して来る前に、託されたこの地図をもとに、幾つかに提案を絞らねばならない。案を選るのも、参謀の腕が問われるものだ。

 漸く暁光が窓にさしこむころ、和胤は椅子のうえで大きく伸びをした。半刻はかかっただろうか、何とか体裁を整えた書類が出来上がり、野暮ったい黒の板紙に挟んで綴じこむ。

 幾らもしないうちに、隣室の第一局室に人の気配が増えてきて、朝から賑やかな話し声がきこえてくる。まだ始業前だけに、昨晩の宴会の話でもしているのだろう。頻りに笑い声があがっている。

 昨晩の話題には触れられたくない部分もあり、和胤は始業の頃合いを見計らって腰を上げると、綴じこんだ書類と地図の束とを持って、隣室へ入っていった。

 「お、山口。…杉閣下はどうした?」

 第一局の副局長とも言うべき恩田大佐が、すかさず声をかけてくる。現れたのは和胤だけで、副官の前に立っているべき、第一局長のすがたがない。部屋にいる参謀連中は扉の前に立つ和胤を見ると、こぞって首をかしげた。

 「それが実は―」

 昨夕に届いていた電文があったこと。それが満州に関する重要な問題であること。そのために杉少将は宴席から参謀本部に詰めて、夜通し策を練っていたこと。その疲れから、いまは階上の個室で睡眠をとっていること。など、簡潔に話すと、こちらにもある大机のうえに、地図と書類とを見易いように広げてゆく。

 「杉閣下は、第一局の全参謀に対し、本日正午までに、議会を納得させる具体案を出せ、との命令であります」

 背筋を伸ばし、和胤は上官のことばを伝えた。部屋に響く明瞭な声。第一局の面々はにわかに真面目な顔つきになる。と、同時にどこか、この状況を楽しんでいるような気配すらある。

 「ひとりで無茶することはねえのによ、あの栗鼠は。絶えず走り回っちょらんと気が済まんのは、今に始まったことじゃーないが」

 大机の前で、恩田は僅かにほろ苦い笑みを浮かべ、ぶっきら棒だが、どうやら上官を労わっているらしきことを呟く。周りも、全く困ったひとだ、と言わんばかりの表情で頷いている。

 「…おう、それじゃあひとつ、この大仕事にとりかかるとするか」

 恩田のひとことで、その空気が切り替わる。参謀本部の連中―特に第一局参謀―は、伊達に金色の参謀飾緒を帯びているわけではないのだ。前線の作戦本部にでも居るかのような真剣さが、永田町参謀本部の一室に満ちてゆく。
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| 変わらぬ青空のしたで・11―20話 | 23:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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