大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第漆拾話

 風呂からあがった浴衣すがたで、嵩利は庭を臨めるテラスへ出した籐椅子へ、気怠けに身を凭せ掛けて、艶の浮いた物憂げな眼を、空へ漂わせている。

 背後から鷲頭の手が伸びて、無造作にあたまを撫でる。振り返ってみれば、またきっちりと夏の白軍服を身に纏った姿でいる。その出で立ちに訝しく眉を顰めると、鷲頭はほろ苦く微笑み返す。

 「これから鎮守府へ行って来るが、すぐ戻る。それと、後で少し煩くなるぞ」

 「何です…?」

 「うむ、色々と荷が届くだけだ。そのまま楽にしていなさい、戻る頃には、何か食事を見繕ってくる」

 「春美さん、待って」

 「ん…」

 袖を引いて、唇を強請る。物欲しげというよりも、その表情は寧ろ、置いてけぼりを食う仔犬のような、寂しげなもので、鷲頭はやさしくそれに応えた。舌を蕩かす接吻が済むと、嵩利は満ち足りた微笑をみせて、椅子へ凭れた。

 その様をみて、鷲頭はごく、と喉を動かす。即座に寝台へ運び込んで、その項から味わいたい衝動に駆られもするが、そこは抑えに抑えて、そそくさと家をあとにする。

 昨日、嵩利が鎮守府長官宛てに持参してきた封書の中に、嵩利の異動通達が挟まっていた。肩書きが、

 “横須賀鎮守府参謀長、鷲頭春美附属、海軍省軍務局出向相談役、兼副官、期間不問”

 とかいう、有元のほくそ笑む顔が浮かんでくるような代物で、鷲頭は半ば苦笑いしつつ、それを有り難く頂戴したのだった。

 鎮守府に着くと、長官官邸につとめに来ているボーイが車の傍で待っていた。例の辞令を懐へしまうと、鎮守府に届いていた荷を車に乗せて、家へと戻る。その途中、行きつけの老舗小料理屋へ寄って、食事の手配も忘れない。

 荷を運び入れるのを手伝ってくれたボーイが、再び車に乗り込んで帰路につくのを見送ってから、静寂の戻った室内へ入る。テラスへゆくと、嵩利は無垢な寝顔をみせて、籐の椅子へ憩っていた。

 「まったく…、襲えと言わんばかりだな」

 清浄にした身ではあるが陽灼けした肌には、いたるところにくっきりと紅色の痕が浮いている。鷲頭自身でつけておいておかしな言い草だが、この寝姿はまことに目の毒である。いま少し眺めていたかったが、陽の翳ってきたテラスに、ひやりとした風が流れてくる。

 熟睡している嵩利を寝台へ運び、寝かしつけた。カーテンを引いて暗くした寝室をあとにして、運んだ荷を解きはじめる。すべて帝都から届いた、嵩利の所持品である。それらを仕舞うべき場所へ収めているうちに、日が暮れる。料理の包みが店から届いて、それらを支度し、整えた後、嵩利を起こしにかかる。

 「おかえりなさい…」

 寝惚けたようなふわりとした声が唇から漏れ、眠たげに瞼をこする。浴衣の襟元がはだけて、浮いた鎖骨が垣間見える。その程度肌が覗くだけで、嵩利の身から匂いたつ濃厚な色香に、鷲頭は密かに息を吐く。そっと襟元を整えてから、抱きあげて隣室へ連れてゆく。

 「さあ、これが証拠だ。きみが城内長官宛に届けた封書に入っていたものだ。この筆跡に見覚えがあるだろう」

 食事のあと、茶を啜っている嵩利の眼前へ、象牙色の封筒から取り出した異動の辞令を広げてみせた。嵩利はじっとそれに見入る。それは軍務局長である有元の筆跡だった。

 「では、ここから鎮守府へ出仕すればよいのですか?」

 「うむ。そうなるな」

 無邪気に首を傾げて訊く仕草さえ、どこか蠱惑的である。今朝まで続けた行為の影響が、まだ残っているか、鷲頭自身がまだ、嵩利を味わい足りぬとおもっているか、恐らくどちらも当て嵌まるだろう。

 辞令の発効は、七日後である。それをおもい、こうして嵩利を目の前にすると、抑えても怪しからぬ感情が湧いてくる。
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| 綿津見の波の色は・61―70話 | 08:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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