大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第陸拾参話

 長いくちづけは、確かに嵩利のからだを疼かせはした。だが徒にその欲を煽るような、そんなものにはならなかった。唇を離したときには、言葉はなくとも、まるで幾千の会話をし尽くしたかのようで、心へ溜まりに溜まった澱が、溶けて消えている。

 ―もう、大丈夫。

 腕にゆるく抱かれながら、いつもの明るい笑みを浮かべてみせるが、鷲頭は何故か眉を顰め、苦い顔をして首を振る。

 「私の前で無理をするな」

 お見通しだと言わんばかりに、乱雑に頭を撫でられ、嵩利は観念して、ふっと肩落とす。麻の白い軍服に包まれた厚い胸へ掌を添えて、そこへ憩うように頭を凭れさせた。

 幾度も頬ずりをして甘えながら、鷲頭の名を呼ぶ。それには、うん、と喉の奥にこもるような低い声で答えただけで、あとは黙って、嵩利を両の腕に閉じ込める。

 そうしながら、幾らか痩せたらしいことを確かめる。立襟に少し隙が空いていて、えりあしから項を、指さきで掻くように擽ってやると、くぐもった声をあげた。

 衝動を堪えつつも、労わるようにして華奢な肩をさする手つきは、しなやかな背筋に沿って腰までを、幾度も撫でるにつれて、僅かずつ変わる。

 その緩慢な愛撫は、嵩利の鋭敏な感覚を刺激するには充分で、腕の中で弛緩しきっていたからだが跳ねて時折くねる。耐えかねてか、身震いをして吐息を漏らし、ただ凭れていただけの胸元を、きつく掴まれた。

 「春美さん、だめ…」

 軍務に就いている姿のままでいる鷲頭に、このような振る舞いは相応しくない。そうおもって、腰をさぐる手を押しとどめながら、からだを離す。

 半年の間、ずっとこのひとの温もりに餓えていたのだと、ささやかな愛撫にすら、反応をみせてしまう自身を羞じる。芝生のうえに立って、一歩そこからさがった。

 「何故、拒む」

 叱咤するような声に振り向けば、鷲頭は姿勢よく佇んでいる。軍帽の庇のしたから、鋭い眼に射抜かれて、どきりとする。後ろめたさから、そのような意図で触れたのではないのだぞ、と憤慨しているように見えた。

 「ぼくに触れるとき、今までそのような身形でいたことはないでしょう。軍務に就かれているときの姿で、こんなことは―」

 「きみは、私の何なのだ。養嗣子ではあるが、私にとっては伴侶に等しい。いわば半身へ触れるのに、それもいまは二人きりで居るというのに、未だそのようなことを気にせねばならんのか」

 「―っ!」

 憚らず睦みあえる間柄になってから、陸と海に別れ、半年以上もひと目も会えずに居て、嵩利を想い焦がれていた身にとって、身形などという観念はとうにない。

 だが、それでまったく分別がなくなったわけではない。厳格極まりないといっても、鷲頭とて箍が緩むときがあるのだ。

 でなければ、半ドンで軍務を切り上げた士官たちが、大勢繰り出す横須賀の街中を、少将参謀長の身形で人目を憚らずにセカセカと歩き詰め、処構わずに愛しい者を探すような真似などしない。

 それを聞いて、嵩利は逆上せたように真っ赤になっている。この場でへたりこむ前に、脱兎の如く、テラスから室内へ駆け込んでしまいたかった。
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| 綿津見の波の色は・61―70話 | 23:59 | comments:1 | trackbacks(-) | TOP↑

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| | 2010/08/04 10:04 | |















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