大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第伍拾玖話

 守本は自身の信念と友情から、嵩利を守ることに徹してくれた。そしてあの会合のとき、新見に対して頭を下げた鷲頭の意図を知って以来、上官達を信じていたから、嵩利は今までの間に何が起きていたか、一切訊ねることはしなかった。

 約束通り、夜には守本が再びやってきて、連れ立って上野へ繰り出し、不忍池の料亭“鳥鍋”で、松茸入りの親子丼をご馳走になり、程よく酒精にも酔ったあとは浅草の仲見世へも足を伸ばした。

 電燈も眩しい、ずらりと並んだ赤煉瓦の軒先を、嵩利は如何にも物珍しげに眺めている。海軍に入ってから、暇さえあれば帝都に居ても釣り三昧、名所見物にそぞろ歩く、といった趣味はなかった。

 「なんだ貴様、浅草がそんなに珍しいか?」

 「うん、もしかしたら初めてかもしれない。陸にいても水辺にばかり行っていて、街には余り出ないから」

 「そうか。実を言うと、おれもこのあたりまで来るのは、久しぶりなんだ」

 凌雲閣をひやかしたあと、上野へ戻る路を歩きながら、守本が不意に声をあげた。

 「―ああ、そうか。思い出した。海大に居た頃の貴様のことだ。逸話になっているらしいとか何とか」

 「逸話だって?一体、何のことだよ」

 「休みになれば釣りばかりしていて、その癖に成績は良くて不思議だったと。何人か同期から話を聞いたことがある。だが、何故そうだったのか、おれは今ならわかるよ。今でも貴様を誤解している奴がいたら、行って説いてやれるくらいは、な」

 人が行き交う、光の満ちた雑踏を抜けたとき、守本は目を細めながら嵩利を見る。照れたような、誇らしいような、それらが混ざってなんとも言えぬ表情をしていて、ほんの一瞬、どきりとする。

 「さて、そろそろ帰るか。軍務局長の秘書官と先任副官が揃って朝寝坊なぞしたら、洒落にならんからな」

 もうこんな時間だぞ、と懐中時計を見せられる。軍務を離れて、それも友人とこういった時間を過ごしたのは随分久しぶりで、愉しい時が経つのは早かった。

 「守本、今日は色々とありがとう」

 「いつか貴様には助けて貰っただろう、礼を言う必要はないよ。では、また明日な」

 夜の闇が濃くなる前に、官舎へ帰り着き、それぞれの部屋へ戻る。すぐには眠れず、嵩利は棚にある本を手にとって、寝台へうつ伏せになりながらそれを開く。と、俄かに鷲頭のことが頭に浮かんでくる。

 ―慌しくて、ひと目も会えずに帝都へ来たけど…、今どうしているのかな―

 そう考えはじめると、文字を追っても、頭に入ってこなくなる。諦めて、ぱたんと本を閉じて寝台脇の小机に置き、明日退庁したら手紙を書くか、夜にでも横須賀の官邸に電話のひとつくらい掛けてもいいだろう、と思いを巡らせながら、枕に顔を埋める。
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| 綿津見の波の色は・51―60話 | 22:04 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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