大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第伍拾漆話

 艦での生活が長かった所為か、どんなにくたびれていても、“総員起し”の時間には目覚めてしまう。嵩利は寝台から抜け出して、明日の登庁に備えて支度をしておく。といっても軍服と身の回り品を揃えるだけで、すぐに済んでしまう。

 食事をとったあとは、鷲頭からの手紙をまた初めから読み返し、満たされた言葉を胸に抱きつつ、ひとつため息を吐いて、腰をおろした長椅子へ、足を投げ出して寄り掛かる。

 言うなればもう家族なのだし、別にこれから横須賀まで会いに行っても、不自然なことではない。だが、動く気になれなかった。やはりこの妙な異動発令には、何かがあるに違いない。

 「守本だが、鷲頭、居るか?」

 物思いに耽っていられたのは僅かなことで、コツコツと扉を敲く音と共に、誰何する声がきこえた。守本が軍務局長の秘書官なのを、今更ながらに思い出して、嵩利は安堵をおぼえる。頭に掛かりそうになっていた靄が振り払われたようで、いつものように返事をする。

 「久しぶりだな、守本。そうそう、土産があるんだよ。餞別に色々持たせてくれたから、明日持っていこうと思っていたんだ。酒がいいか?それとも甘いものか?」

 如何にも艦隊勤務から戻ったばかりといった、荷の片付いていない部屋の様子や、どことなく潮の香すら漂っているような嵩利の雰囲気を、守本は懐かしそうな笑みを浮かべて眺めた。

 「それなら甘いものがいいな。いま冷たい茶を貰ってくるから、一緒に食おう。しかし、もう夏も終わりだって言うのに、陸は今日も暑くなるぞ」

 「そうしよう。それにしても、こんな時間に森本が訪ねてくると思わなかったな」

 「それについては色々あるらしくてな、よくはわからんが。おれは次官から仰せつかって、今日から貴様の護衛だそうだ。外出しても構わんそうだが、ユニホームは脱いでゆけとさ」

 「何だって…?」

 「そうだよなあ、貴様も驚くよなあ。…一先ず、飲んで食って、落ち着いてから話すとしよう」

 「ああ…、そうだな。茶のついでに器も頼むよ」

 食堂へ行って器と茶を調達して戻り、嵩利が出してきた土産をみて、守本は眼を剥いた。

 「甘いものって、オイ、それ虎屋の羊羹か!よく持たせてくれたな」

 「これは、艦長からの餞別なんだ」

 「そうか。大原艦長、お公家だものな」

 「うん」

 虎屋といえば御所御用達の老舗和菓子舗である。おいそれと口にできる代物ではないのだ。それを切り分けて味わいながら、守本が語り始めた話に、嵩利は耳を傾ける。

 海軍省に半年以上居て、あちこちから聞く積もりのない話が耳に入ってくる。軍務局長の秘書官という立場になってから、守本にも、軍備について対立している派閥があることがわかった。だが、その中にちらほらと鷲頭参謀長の名があることに、密かな危惧を抱いていた。

 鷲頭のもとへ養嗣子に行った嵩利の為にも、かれと親しいということは極力伏せておいた。どこからつけ入られるかわからないから、用心しておくに越したことはない。それは、守本も嵩利と思想を同じくしてい、そのような争いごとに、関わりたくないというのがあった。

 「そうだったのか…。守本も、ぼくのことを守ってくれていたんだな。ありがとう」

 言ってみれば海上勤務に出ていて、ある意味暢気にしていられたのも、こうして親しい人々が影ながら支えてくれているお蔭なのだ。

 「あのような、ややこしくて物騒な問題は、貴様には一番似合わん。それに、赤煉瓦もな。…上層部にどんな思惑があるのか知らんが、早く海へ戻れるといいな」

 羊羹を頬張ったあと、茶を飲み干して、守本は変に真面目くさった表情で言う。
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| 綿津見の波の色は・51―60話 | 00:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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