大日本帝國軍の愛と友情の日々

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  綿津見の波の色は・第伍拾肆話

 水面下の、およそ直視に耐えぬ醜い勢力との攻防を、鷲頭は見る機会もなく、伝え聞くこともなく、友人たちに護られていることを知ることもなく、横須賀鎮守府に於いて、参謀長としての責務を果たしていた。

 まめに筆を取り、羞かし気もなく嵩利へ手紙を送ることもしてい、その割に較べたら、かれからの返信は意外に少ない。このようなやり取りは、これまでしたことがないのだから、戸惑っているのだろう。

 三笠を旗艦とする第一艦隊は、いまは伊勢沖の作業地にてその任務に就いていた。“金枝玉葉の御身”をお迎えしての航海など、心身が引き締まるようなおもいをしていた。そのなかで嵩利は接待役に引き抜かれ、陪席を仰せ付けられ、思いのほか神経を磨り減らしていた。

 日の務めを終え、士官私室へ戻って鷲頭からの手紙をひらくのが、心の慰めになっている。


 ―先だって、君からの十二信目を拝見した。最も、返信を認めようと筆を取ったのは今だ。初めに読んでから幾日も経っていた故、今日は何度、君の手紙を読み返したか分らぬ。

 君の写真は机上に在って、早くも私を懐かしげに見て居るようだ。此方は桜も散り、藤がたわわに咲いているが、未だ寒暖は安定せぬ。君は洋上に居る故、きつい北東の潮風にやられぬ様、充分気をつけ給え。

 それから、随分と書を好む様になったようで何より。他に読み度い書籍があれば、遠慮せずに言ってくれ。次の便で送って上げよう。

 此れは郷愁を誘うことになり兼ねないが、伝えておく。鎌倉、江ノ島の明媚なる風景を、射影機に収め度い由、知人の写真家から便りを受け取った故、案内をしに近々、其の方面へ足を運ぶ積もりで居る。勿論君の御両親にも息災を伝えに行くから、安心し給え。

 出来れば幾葉か譲って貰い、君へ送って上げたいものだ。私はまた、君とあの海辺を歩く日を楽しみにしながら、彼の地を訪れようと思う。

 佐官になり、無理な酒宴などに付き合わされることも多々あるだろうが、君は左程酒精に強くないのだから、早々に切り上げて部屋へ引っ込んでしまいなさい。誰かさんが、酔い潰れる様な真似をしてよいのは、何処が唯一であるか等、言うまでもないことだ。

 呉々も身体を大事にし、気をつけ給え。

 五月十九日夜 春美より―


 と、概ねこのような文面の便りを落手する。何の臆面もなく、ちりばめてある気遣いと愛情の言葉が、嵩利の心をいたく擽る。それこそ、何度読み返しているかわからない。

 想いはこもごも溢れてくるのに、その癖に返信をどう認めようかと、悩んでいつも筆を取るのが遅くなる。弱音など吐きたくはないし、かといって強がるような真似もしたくない。

 そうやって返信の言葉を探すことも、充分心の潤いになっていたから、鷲頭には申し訳ないと思いつつも、遅筆を決め込んでいる。

 健康については毎回毎回、言葉を変えながらも気遣ってくれているから、嵩利は砲術長の西川少佐と一緒になって、運動不足になりがちな士官たち―自身も含めて―のために、新しい体操を考えて実施したり、後甲板で柔道ができるよう、うまく畳を敷設したりと、相変わらず細々としたところにも気を配っていた。

 乗組が三分の一程入れ替わったといっても、艦隊の雰囲気は以前と殆ど変わらない。一年とそろそろ半年になる海上での務めは、嵩利の器量を少しずつではあるが、確実に大きくしている。
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| 綿津見の波の色は・51―60話 | 00:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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