大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第伍拾参話

 第一艦隊、旗艦三笠と共に洋上へ去る嵩利を桟橋から見送り、横須賀鎮守府の白亜の官舎へ、鷲頭は心持ち重い足取りで向かった。まず司令長官へ挨拶をせねば、と執務室へ向かう廊下の途中で呼び止められる。

 「何て顔をしているんだ、鷲頭くん。ぼくのところへ挨拶しに来るのが、そんなに嫌かネ」

 まるで拗ねたこどものような口ぶりに、鷲頭は内心で安堵しつつも、顔色ひとつ変えずに振り向いた。いつもの温顔に笑みを湛えて、城内がそこに立っていた。

 相変わらずの天真爛漫ぶりは健在なようで、執務室へ鷲頭を招じ入れても、頓着せずに手ずから茶を淹れて持ってくる。もっとも、副官に頼もうにも未だ着任していなかったのだが。

 「鷲頭くんが居るから、横鎮の長官でもぼくはのんびりしていられそうだ。…きみは雑事に構わんでいいから、久しぶりの陸での務めに励むといいよ」

 などと、すっかり寛ぎながら、傍で聞けばまるきり無責任、かつ丸投げ同然に言って寄越す。むろん額面どおりに受け取りはしなかったが、城内の行動は度を過ごすことも多々ある。そこを諌めることは忘れなかった。

 「言われずとも、無論そのつもりでいますが、のんびりするのも、程々になさってください」

 「相変わらずだねえ。千早くんが家族になって、少しは丸くなったかと思っていたのに」

 「かれとのことは、全く私生活の事情です。軍務について丸くなるつもりは、毛一筋ほどもありません」

 「ほほゥ、さらりと惚気るとはやるねぇ。一応、そのくらいの丸さは出たんだネ」

 相変わらずのらりくらりとしていて、鷲頭の剃刀発言さえも悠々と避けつつ、切り返す。惚気たと言われて鷲頭は狼狽し、一瞬言葉に詰まった。

 咄嗟に俯いて、優美なつくりをした純白のカップを掌中で弄ぶ。ごく稀に見せる、鷲頭のこういった態度が、城内には眩しく、微笑ましく映る。

 「本当に…何の心配もいらないよ。余計なことに煩わされる理由もない。きみたちには幸せになって欲しいからネ」

 そう言いながら城内の脳裏に、鷲頭と嵩利が覗き見るに到底相応しからぬ“闇”が、ちらりと閃く。相手が汚い手段を用いて卑怯に立ち回るなら、こちらもそのように立ち回るだけだ。

 ―まったく、あんなくだらないことに、血道をあげるとは呆れたものだ―

 城内は大切な者たちのためなら、自身がどのような立場に身を置いても、どのように振舞っても、まったく平然とできる男であった。そんな顔は勿論、鷲頭をはじめとする友人たちには、一切見せない。

 「明日は第二艦隊が寄港するがネ、準備は整っているから、今日はもう官邸でゆっくり過ごすといい。海上にいた疲れをとりなさい」

 「いえ、それは―」

 「いいんだ。頼れる秘書官、副官が着任するのも明日になることだし、今夜は一席設けようかネ」

 にこやかに言いながらも、言葉を継がせない。鷲頭は珍しく城内に圧されて、それではお言葉に甘えさせて頂きます、と言って引き退がっていった。

 官邸には、城内の縁故にあたる淑やかな令嬢と婦人が待っていた。鷲頭は何処へ行っても手の掛からぬ将官ではあるが、最低限の身辺の世話くらいは、という配慮からだった。彼女たちに丁寧に挨拶をしてから、さして無い荷を解く。

 やたらと部屋数があるのには閉口したが、一番奥まった静かな一室を私室とし、あとは居間と幾つかの部屋のみ使うことにする。軍服を脱いで、和服に袴をつけると、漸く人心地つけたように感じつつ、文机に硯と筆を用意して、嵩利への手紙を黙々としたためてゆく。
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| 綿津見の波の色は・51―60話 | 21:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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