大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第伍拾話

 「何しろ大事な話だからよ、こうやって堅苦しい格好で来ちまったわけだが」

 と、那智が切り出した。養子縁組のはなしであった。

 席についた中将ふたりを、嵩利は緊張した面持ちでみつめた。鷲頭は軍服こそ身に着けていないが、相変わらず泰然としている。隣に座す嵩利がそわそわと落ち着かなさそうにしてい、また手を膝のうえで閉じたり開いたりしている。鷲頭は座卓のしたで、その手をぎゅっと握り、落ち着かせる。

 「千早少佐にゃ、まだ話してなかったが…。鷲頭には何しろ敵が多くてよ。以前、会合に出ておおかた察してはいるだろうが…。鷲頭の養子に入るってェことは、面倒臭ェ派閥争いに、少なからず巻き込まれるってこった」

 それでもいいってンなら、これを持っていきな、と那智は書類の入った封筒を鞄から取り出して座卓へ置き、嵩利へ受け取るよう促す。

 「保証人と後見人は、おれと藤原がなる。籍を離れるとなりゃ、親御さんと相談しねェとな。あとは、お前ェさんが決めな」

 「はい、ありがとうございます」

 真摯な顔つきで言って頭をさげ、それを受け取り、膝へ置く。いつの間にそこまで話が進んでいたのか、あとで内容を確かめてみると、殆ど書類が揃っている。

 堅苦しい話はそれ以上なく、酒肴で藤原と那智をもてなして、かれらは夕刻前に辞していった。那智は近くに宿をとっているらしく、今度はそこへ訪ねて来い、と言う。

 二人を見送ったあと、嵩利は座卓について、受け取った書類に躊躇いもなく筆をはしらせていく。実はもう両親には、鷲頭の養子へゆくことを、諒解する旨の手紙を送っており、後は嵩利の判断で進めなさい、と返事を貰っていたのだ。

 縁側で杯を傾けつつ、鷲頭は筆記に専念している嵩利の横顔を見つめた。本当によいかどうかなど、今更訊かない。万年筆が紙面を滑る微かな音がとまり、嵩利が鷲頭へ顔をむける。

 「書き終わったなら、預かろう」

 「はい、お願いします」

 微笑を浮かべ、嵩利は書き終えたものを封筒へ入れ、きちんと封をした。それを座卓へ置いて見つめ、安堵とも、憂いともつかぬため息を漏らす。鷲頭のもとに養子へ行っても、千早家との縁が消えてなくなるわけでもない。今まで通り、父母には両親として接することに変わりはない。それでも、僅かに寂しいという気持ちが湧いてくる。

 「明日は、那智中将のご厄介になるとするか」

 「よいのですか?」

 縁側から腰をあげつつ言って、嵩利が目を丸くするのを見ると、ちらりと楽しげなものを眼に浮かべた。

 「あの人がああ言っているときは、遠慮せずに甘えるのが最も良いのだ」

 その耳へ笑声で囁きながら、首筋へくちづけて吸う。耳朶を軽く噛むと、忽ち嵩利のからだが震える。襟もとを割って肌へ掌を滑らせ、指さきで擽る。鷲頭の施す愛撫が粘りつくようなものに変わると、嵩利は抗って身を捩る。

 「春美さ…ん、やめ…っ」

 再び首筋を吸われ、か細く声をあげる。明日はふたりきりで過ごすわけではない。このようにあからさまに愛された証を刻まれてしまっては、身の置き処がない。その分別がつかぬような鷲頭でもあるまい。

 「何、魔除けだと思えばよい」

 からかうような響きをもって囁き、ままならぬ嵩利の抵抗を弄ぶようにして退ける。相手が那智であろうと、誰であろうと、戯れにでも嵩利へ指ひとつとして触れさせたくない、その抑止にする為であった。

 「春美さん、そんなこと言ってないで、放して…ッ」

 まるでこどもじみた振る舞いをみせる。鷲頭がこのような稚気をみせたのは初めてで、嵩利はこの行為の意図を知り、羞恥の頂点に達する。

 「それならば、明日は軍服を着てゆけ。それで済むことだろう」

 事もなげに言って、嵩利を畳のうえへ押し倒す。

 勿論、その行為に耽るつもりは毛頭ない。終始含むような笑みを絡めて、褐色の肌を探ってゆく。児戯に等しい鷲頭の愛撫を、嵩利は羞じいりながらも受け止めた。こんな風にして愛情を示してくれたことは今までなく、この上もない、甘やかな歓喜に満たされていたからだ。
→【6章・1話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・41―50話 | 14:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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