大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  綿津見の波の色は・第参拾壱話

 襖も障子もしめきって、いまはただふたりきりで居るこの部屋で、嵩利は鷲頭の膝へあがって、うしろから緩く腕を回されて抱かれながら、ひとつひとつ、書き記した紙片をとりあげてゆく上官の武骨な手を目で追っていた。

 これこれといった症状もあり得るから、もうすこし体を労われとか、酒を飲まぬ日を一日でもいいからつくれとか、面と向かって言えぬ事柄を、几帳面な字で喧しく書きつけてある。

 口許に笑みを湛えながら、鷲頭はあたたかな気持ちを以って一枚一枚、読んでゆく。あとはきれいに畳んで、懐から取り出した手帳にはさむ。それは公務中も肌身離さず、持っているものだった。

 「ようわかった。もう、これからは遠慮せんでええ、我儘でも小言でも、何でも言うてくれ」

 と、あたまを撫でられながら穏やかな声音で言われ、嵩利はだまったまま、こくりと頷いた。からだを横向きにずらして膝立ちになり、ひろい肩へ両腕を投げかけて甘えるように抱きつく。そのそばで、上官が今朝方まで熱を出していた身だということを、思い返す。

 「ああ、いけない。こんなことしてちゃァ、だめだ。また熱が上がったら大変…。艦長、いま床をなおしますから、おやすみになってください」

 離れがたいのをぐっと堪えて、これから夕飯をどこで調達してこようか、などと無理に別のことへ思考を巡らせつつ、嵩利は腕をといて身を離すついでに、鷲頭の額へ己が額をぴたりとくっつけてみる。すこしばかり熱いように感じた。やはり一晩では治るものではないな、と浮かぬ顔をする。

 「まだ、安静になさっていたほうがよさそうです」

 膝をついたまま、上官の顔を覗きこんで言うと、すかさずその手に、そっと頬を包まれる。まっすぐな眼差しでつくづくと見つめられ、嵩利の胸の鼓動が増してゆく。

 「そうか。だが熱があるのは、私ではないかもしれんぞ。赤い顔をしているのは、きみのほうだ」

 「違います、これは、その…」

 「放っておいていいのなら、私は遠慮なく、休ませてもらうが」

 「…っ!」

 すべてお見通しである。羞恥に耐え切れず、さッと下を向いてしまう。こんなとき、接吻のひとつでもいいから、心から溢れそうなほどに詰まった、上官への想いを示したいとおもっても、どうしてもできない。まして強請るなど以ての外である。だが、高ぶる気持ちに、我慢は限界に達していた。

 「嵩利」

 低く甘く、鼓膜にひびくその声は、嵩利の理性を揺さぶる力をもっていた。気持ちが高まり、切なさに涙が滲んでくるに及んで、嵩利はちいさく頭を振った。

 ―嘘だ、接吻だけなんて嫌だ。抱きしめて、もう離れたくないんだ。今じゃなきゃ、嫌―

 愛しい者の名を呼んだあと、鷲頭はじっとかれを見つめていた。

 意を決して面をあげたときの嵩利の表情を、鷲頭は生涯忘れまい、とそうおもった。上気した頬と潤んだ瞳―しかし揺れてはいない―、かたちのよい唇はかるく結ばれて、それは凛々しくさえあった。

 しなやかな手が伸びて、頬を撫でて包む嵩利の指さきが、すこし震えている。熱を帯びた眼差しは伏せがちな瞼に隠れながらも、鷲頭から離れない。唇が、まず頬を啄ばんで、次にやわらかく唇を吸った。かれから施される接吻は、これが二度目である。

 幾度かそうして啄ばまれたあと、ゆっくりと舌を割り入れられ、深いものへと変わる。歯列をなぞり、舌を絡めては撫で、また絡めとる。じっくり口腔を愛撫してゆく。鷲頭は一切を任せて、副官からの深いくちづけにそっと応えてゆく。

 大切に大切に、鷲頭を扱う嵩利。

 逐一丁寧な舌遣いに、鷲頭の身は疼いた。その疼きは快感によるものではない。この心地よさは違う。愛を得た本当の温もりとでも言えばよいのか、これまでは一方的に快楽を与えて、漬け込んで、嵩利の理性を奪い取って、かれが淫れてゆく様を味わって悦に入っていたに過ぎない。

 「嵩…利」

 息を継ぐ合間に、鷲頭は再びかれの名を、満ち足りた吐息とともにくちに乗せた。長い長い接吻を終えて、向き合った。いま初めて見つめ合うかのような気持ちを得て、鷲頭から微笑みかけられ、己の想いがきちんと伝わったのだと、嵩利はそれで知る。

 「あの…」

 「何だ」

 潤んだ眼で鷲頭を見上げたまま、嵩利はそこで言葉につまる。胸に這わせた手をそろりと動かし、袷の襟へ滑りこませた。ネル生地の肌襦袢のうえから、誘うように指を蠢かせて、胸板を擽ってみせる。きゅっ、と切なげに眉を顰めたあと、鷲頭の耳へ唇を寄せ、尖った耳の縁を食むようにしてくちづける。

 「抱いて…ください」

 春美さん、お願い。と消え入りそうな声で囁かれ、鷲頭は疼いている体内で血が滾るのを、もう苦くおもうことはなかった。嵩利を横抱きにして、奥の襖の向こうへ連れてゆく。
→【13話】 →目次へ戻る

web拍手 by FC2

| 綿津見の波の色は・31―40話 | 15:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/160-3ea97219

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。