大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第拾弐話

 しなだれかかる上官の小柄なからだを、和胤はそっと包むようにして肩と腰とに腕を回して抱きとめる。不覚にも一瞬、この上官が可愛いとおもってしまったついでに、ここは一つ悪乗りしてやれ、と和胤は勢いにまかせて腹をくくった。

 「惚れられたとあっては、その言葉に応えぬというわけにはいきますまい。男が廃りますからね、幾らでもお慰めいたしますよ。では閣下、失礼して―」

 まるで女に向けるような甘い慰めの言葉を、それに見合った表情とともに、言ってのける。このやりとりに、部下連中はにやにやと笑っているだけであったが、まごついていた美妓らは一斉に、きゃあ、だの、あれえ、だのといった黄色い悲鳴をあげた。

 和胤は周囲の反応に吹き出しそうになるのを堪えて、少し腰をおとすと、軽々と上官を抱き上げてしまう。

 副官に抱き上げられて衆目の的になっても、惟之は安心しきったように体のちからを抜いている。今頃になって鬼ごっこのツケ―酔いが回ってきた所為ではない。寛いでいるといっていい。宴席で憂いもなく、大人げなくはしゃぎまわったのが久しぶりで、楽しかったのである。

 やがて副官に抱き上げられたまま座敷を辞し、暫しの距離を進むうち、堪えきれなくなった惟之は肩を震わせてくっくっと笑いを漏らした。和胤もつられて、喉の奥で抑えた笑い声をたてる。

 「いやぁ、傑作じゃ。しかし、あの投げ技。ありゃァ見事じゃった。これでおぬしの株は一気に上がったぞ。五条橋のうえで弁慶を翻弄する牛若見たり、ちゅうところか。あの妓たち、目を丸くしておぬしに見惚れちょった」

 お互いに漸く笑いを引っ込めると、人目のつかない廊下で和胤は上官をおろした。

 「牛若とは、また言い過ぎです。ああでもしなければおれまでふとん蒸しにされるところでしたからね。いつもあんな風に騒がれるのでしたら、三度に一度くらいはみて見ぬふりをしますよ。あれでは身が持ちません」

 副官の抗議ともつかぬ言葉を聞き、心外とばかりに目を丸くしてかれの顔を見上げる。

 「今頃あの妓らは、居なくなった爺なんぞより、颯爽と去っていった牛若の話題で持ちきりじゃ。聞けばおぬし、あまり宴席は好かんちゅうて、料亭には碌に顔を出さんそうじゃないか。こりゃ、ええ契機になるっちゃ。あの妓らはやさしい女子衆じゃ、ちっとは懇意にしといても悪くないぞ」

 「そこを突かれると、痛いところであります。しかし閣下のそのお気遣いはありがたくあります。では、お帰りの手配をして参りますので、暫くお待ちいただけますか」

 照れたように頭を掻くと、和胤はやおら真面目な顔つきになり、そう言うと帳場のほうへ廊下を歩き出した。このまま副官を帰してやるつもりでいる惟之は、帳場へ向かおうとする副官についてゆき、門の見えるところまで来ると呼び止めた。

 「待て、山口。送れとは言ったが、あれは只の方便じゃ。おぬしも適当なところで退散したかろう、席にはこのまま戻らんでええよ」

 そう言って示した料亭の門の表には、杉家御用達の俥が待っている。意気な法被姿の俥夫が、黒塗りの笠をとってぺこりと辞儀をした。

 「ほれ、永田町行きの荷物はあの俥に乗るちゅう寸法じゃ。おぬしの任務は完了じゃ。大いに恃んじょるけぇ、明日から宜しくな」

 にこにこと笑いながら言い、雪駄をつっかけて俥の方へあるいてゆく。上官の用意の周到さに、和胤は内心舌をまいた。まさか副官が宴席の苦手なことも、頭に入れているとはおもわなかった。

 席におさまり、帰路に着かんと車夫に声をかける前に、それじゃあな、と惟之は上機嫌で副官へ別れを告げる。
→【2章・1話】 →目次へ戻る

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| 変わらぬ青空のしたで・11―20話 | 14:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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