大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  綿津見の波の色は・第弐拾陸話

 ―何だ、いつもは一緒に眠ってくれるのに…もうイイや、独り占めしちゃおう。

 絹地のふとんにくるまって、嵩利は半刻ほど目を覚ましていた。こうしてふてくされて、甘え切れなかったことに未練がのこっていて、どことなくちくちく疼く気持ちを抱いていたが、たっぷりと鷲頭に愛されたあとだけに、疲労が否応なしに睡魔を連れてくる。うとうとと眠りに落ちていった。

 「千早くん、眠ったのか?それともまだ拗ねて―」

 それから更に一刻が過ぎて、徳利を七本はあけたあと、鷲頭はそっと襖を開けて奥の間を覗く。別に後ろめたいおもいがあるわけでもなく、からかうわけでもなく、いつもと同じように声をかける。しかし返事はない。

 枕もとの間接照明が、乳白色の硝子笠に透けてやさしい光を投げかけていた。その灯りに副官の寝顔が浮かんでいるのが視界にはいる。

 拗ねていた証拠に蓑虫のようにふとんを独占しているが、傍らに膝をついて、そっと取り外して隣へ潜りこむ。横臥している副官のからだを、うしろから抱きしめつつ、温もりを確かめるように耳朶やうなじへ口づける。

 「―うぅ…ん、や…ぁ、艦長…」

 半ば夢に落ちていたのか、副官は眠たげな声で身じろぎながら抗議をする。まだ怒っているらしく、思いのほか強い力で腕を押し退けてきた。鷲頭は苦笑しながらも、無理に抱きしめようとせず、そのまま隣へ仰向けになる。程なくして、すうっと眠りに落ちていった。


 「ン…?」

 明け方まえに、嵩利はうっすら目を覚ました。

 と言っても昨晩の鷲頭からの過度な愛され方が祟ってか、神経が高揚しており、思ったよりあまり眠れず、うとうとしたくらいしか、睡眠の感覚がない。ゆうべは、ひとりで床に入って、鷲頭がいる向こうの間を隔てる襖に背を向け、拗ねているあいだに眠ってしまっていた。

 しかし布団をふんだんに占領していたはずなのに、きちんと包みなおされているし、床のなかでほぼ、いつもの構図になっている。ひとつ違うのは、嵩利が眠りながらも鷲頭の手を嫌がったからか、からだを抱き寄せられていないことだった。

 くるりと寝返りをうつと、ちょうど鷲頭の腕にあたまがぶつかる。胸のした辺りで手を重ねるようにして置いていて、いつもながら寝相が良い。

 そうした状況に気づくと、ほんの少し居心地わるくなり、嵩利はそろそろと身じろぐ。抜けきらぬ気怠さと眠気に漂うなかで、すぐ傍に上官のぬくもりがあるのは嬉しくおもったし、やはり甘えたくなる。ああしてふてくされてしまった時間を、取り戻すかのようにして、嵩利は行動にうつした。

 抱きしめてくる上官の腕を寝惚けながら拒んだのも忘れて、あたまをつけている腕をとって引き寄せ、ちゃっかり腕枕を決め込むと、憚らずくっついて甘い眠りに落ちる。今日も休日であるから、朝寝をしても鷲頭はとやかく言うことはない。大概、嵩利のしたいように過ごさせてくれる。


 しかし、眠っているとばかりおもっていた鷲頭は、もう目を覚ましていた。瞑目していたが、意識ははっきり浮かんでいる。昨晩の興奮が抜けきらず、どこか浅いねむりに漂った末の覚醒であった。それでもふしぎと眠気はなく、休日の特権である二度寝を決め込むつもりはなかった。

 つらつらと昨晩の秘め事をおもい返すにつれ、副官の艶姿に中てられ、血の滾る若者の如き真似をしたのが恥ずかしかったが、どこか擽るようなものがあるのも否めなかった。いままで自身を節操のある人間と自負してきたが、昨晩はまるで抑制がきかなかった。

 まったく我ながら情けない、と考えていたところに、それまで寝姿を崩さなかった副官が、遠慮がちに寝返りをうちつつ身を寄せてきた。鷲頭の腕へ手を伸ばしてくるのを、どうやら腕枕を求めているのだな、と察し、したいようにさせてやる。次いで、寝衣の衿を掴むようにして抱きついてくるのには、ふとんのなかでしなやかなからだを抱きしめたくなったが、それは止した。狸寝入りをしていたと、また拗ねられては困るからだ。


 と、北方へ行っているあいだ、鷲頭は千早大尉と概ね休日をこのようにして過ごしていたが、休日の前夜などは副官が傍にいないことも時々あった。

 あつい信頼を寄せられながらも、どこか近寄りがたい艦長とちがい、快活な副官はガンルームの他の士官から、よく食事などに誘われる。水交社へ行って飲んだり食べたりすることがほとんどで、鷲頭は副官が出かけるからといって、司令部をあとにする際、別に早く帰ってこいなどという言葉は口にしたことはない。

 平素どおり、そうか、と頷くだけでそういうとき、鷲頭はいつもの、隠れ家のようにしている日本家屋へ引っ込んで、静かに読書に耽ったり、足のさきがあたたまるまで酒の杯を傾けたりしている。そうしていると決まって夜十時前には、副官が訪ねてくる。

 今日もそれは変わらないかに思えたのだが、すこし違っていた。
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| 綿津見の波の色は・21―30話 | 22:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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