大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  或いは終わりと始まり・第捌話

 正装で美々しく飾られていると、普段はお世辞にも偉丈夫とはいえぬ小柄な惟之でも、目をみはるほどの威容となるのだが、いま腕におさまっている惟之はいつもと同じか、それ以上にあやうい。ぎゅっと抱きすくめたら、その途端にこわれそうなそんな気すらして、何度もあたまを撫でるにとどめていた。

 日々軍務に追われているのは同じだが、もちろん参謀総長だけあってその重さは和胤の比ではない。しかしそれにしても、このあやうさは前にも増しているように感じる。

 激務の反動から、つい手を伸ばしがちになる酒と煙草も、少量ならよいと新垣軍医長からお墨付きを貰っているにもかかわらず、和胤はそれを許さなかった。すこしでも必ずからだを害するからと、口煩い女房よろしく、有無を言わさずに取りあげてしまった。

 これにはかなり恨み言をいわれたが、和胤はその代わりに、好きなときに甘えてくださいと言って、惟之を宥めてきた。以前と違って和胤の前では弱音を隠さずさらけ出しているから、それなら遠慮なく甘えるぞ、と言って実際惟之はそうしている。

 だが、あたかも自分の余命が長くないようなことばを、時折端々に覗かせるに至っては、和胤も気が気でない。例の軽口だから、また冗談を言って困らせるつもりだな、と真面目に取り合わないでいることもできたが、心のどこかで、また、こうして触れていると、不安が滲み出てくる。だからあのことばが果たして、どこまでが本音でどこまでが冗談なのか分からず、堪らなく怖くなる。

 実を言えばこれが、今回のひどい悪戯にも、大して腹が立たぬ大きな理由であった。

 「ああ、もう…おれァいつ死んでもええっちゃ」

 と、安堵の息をつきながら、惟之はそんなことばを口にする。そのくらい安心したということを言ったつもりだったが、ぐっと抱きすくめられて驚いた。

 「そがいなこと、二度と言わんでつかーさい。もう、冗談でも聞きとうありません。惟之さんはこれから穏やかに、ここで家族と過ごして貰わにゃなりませんのに」

 抱きすくめられながら、和胤のことばが心底から言われているものだというのは、わかっていた。だがあれらはほんの冗談であり、少なくとも惟之は、千代と和胤の子をこの腕に抱くまでは死にたくはない。

 「おいおい、本気にしちょったんか。ありゃァ、腹立ち紛れの冗談じゃ。これからおぬしらが居ってくれるちゅうに、そうあっさりと逝きゃァせんよ」

 多忙な中でも家族が増えたおかげで、規則正しい生活を送れているし、無理に和胤から酒と煙草を取り上げられているのが、結果的に体をたすけていることもわかっている。惟之は確かに窶れるようなおもいをしているが、言うほどには参っていない。

 「じゃけど、徒におぬしを困らせちょったわけじゃーないけぇ、そこは怒ってくれるなよ?」

 およそ陸軍中将らしくない、栗鼠のような仕草でくびを傾げてみせる惟之を、和胤は窘めるように睨みつけた。惟之ときたら、先ほどまで深刻な表情をしていたのに、もう嬉しそうに微笑を浮かべているのだ。担いだわけではなかろうが、和胤は少し腹がおさまらず、両掌で惟之の頬を包むと、指さきで軽くつねってやる。

 それにしてもわからないのは、惟之の正装であった。千代と結婚しろと言われて、もちろん和胤は頷いたが、まさか今日、式をあげるわけではあるまい。訊いてみると、けろりとした顔で、

 「いくらおれでも、そがいに横暴なことはせん。結納じゃ、結納。善はいそげちゅうじゃろ、おぬしも正装を召してこい。川上さんの邸へゆくぞ」

 と言って、あとはにこにこしている。

 横暴なことはせぬと言っているわりには、仲人からなにから、すっかり取り決めてあるらしい。和胤は苦笑するしかなかった。
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