大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  変わらぬ青空のしたで・第玖拾玖話

 条約をとりつけたのはいいが、和胤にはもうひとつ気掛かりなことがあった。

 ちらほらと聞こえてくる、惟之の宴席での振舞いについて、その話の真相を確かめねば、安心して甘い時間には浸れない。人の噂など聞く耳を持たぬ和胤も、こればかりは只の噂、と放っておくわけにはいかない。

 蕩けさせた惟之のからだを覆い隠すように、乱した軍服をきちんと整えて支度に掛かり、再び緩く腕に抱いた惟之の耳へ唇をつけて、和胤は真相を探るべく囁くように問いかけた。

 「それと閣下、このところ随分とお酒が過ぎておられると、方々から話をきくのですが…?」

 言っていることが間違っていないだけに、惟之はぴくりと肩を震わせてからだを強張らせた。和胤に対して嘘は吐けないし、仮に吐いたとしても発覚したあとが恐ろしい。

 参謀総長になってから、宴席や園遊会に招ばれることが、確かに以前よりも増えている。必然的に酒量も増えるし、惟之も相手に合わせて付き合って飲んでしまうところがあるから、“まァ、今日ぐらいはええよ”と、構わずに杯をあけることも多いにある。

 招いた者をはじめ、酒席につらなった連中は、それとなく、惟之の飲みっぷりを内緒にしておいてくれるのだが、どこからかやはり噂は漏れるものである。すっかり主治医となった軍医の新垣から、先日参謀本部へ惟之を訪ねてきた折に、酒量の度を越しておられませんか、と睨まれたばかりであった。

 「…う、それは…その…致し方のないときも、あるちゅうことでな」

 歯切れが悪いということは、非があるのを認めていることに他ならない。そろそろと和胤からからだを離そうとするのを、獲物を捕らえたとばかりに腕へ閉じ込める。

 「なるほど…。かたく交わしたおれとの約束は、どうでもよいと言うわけですか。それでは、お仕置きをしないといけませんね」

 そう囁かれたあと耳朶を強く噛まれて、惟之は真っ赤になって震えた。先刻の愛撫に酔ったばかりの心身は、砂上の楼閣にひとしく、今にも崩れそうになる。これ以上苛まれたら、理性を保つのは難しい。

 「いや、そがいなつもりじゃァないんじゃ」

 「そのつもりでなくても、実際はそうでしょう」

 「う…、それは否と言えんのう…。すまん、悪気はないんじゃ。頼む、これ以上は手を出さんでくれ」

 「珍しく素直ですね、閣下。でも、お仕置きはしますよ、きっちりと」

 部屋を包む夜の闇が、薄くなったり濃くなったり、瓦斯ランプの火がちらつくたびに、壁や天井に張りついている闇の帳が揺れている。部屋へ担ぎこまれてから、惟之はずっとそれを横目に眺めている。

 高手小手に縛りあげられている所為で、すこしでも身じろぐと、横たえさせられている長椅子から転げそうになるため、どうにもできないのだ。しかもまだ媚薬の効果が切れていないうえに、弄りまわされたからだが疼いて熱くて堪らない。

 「何をせる気じゃ、和胤…」

 こうなっては泣いても喚いても、どうなるものではなく、和胤の行為を受け入れるしか、惟之に残された道はない。何やら室内をうろついていたが、やがて戻ってくると、ぞんざいな扱いで惟之を圧しつけるようにうつ伏させた。

 「さあ、何でしょうね」

 そう言って和胤は、筆責めをはじめた。

 縄をうたれたからだは、濃紺の軍服と金色の飾緒に鎧われている。詰襟の合わせひとつ乱れていないその隙間に、筆先を滑りこませてうなじや首すじを擽ってゆく。緊縛に苛まれる羞恥と快楽に酔いつつ、予想外の責めたてに惟之は我慢できず、吐息混じりの喘ぎを間断なく唇から漏らした。

 「あ、ゃ…っ。擽るのはやめてくれ…っ、後生じゃけぇ…これは堪えられん、和胤、やめいっ」

 耳のうしろを筆で擽られて、組み伏せられながらもじたばたと暴れながら喚く。目尻に涙が浮いているのは、くすぐったさに耐え切れなくてのもので、殆ど泣き笑いのような顔をしている。

 「今日は珍しく素直ですから、もう少し擽ったら許してあげますよ。大人しくしていてください」

 「もう少し…っ、ちゅうのはあてにならん…!時間を明確にせえっ」

 「そんなに我が侭を言うと―」

 「あぁっ!」

 俎上の魚よろしく、長椅子のうえの惟之は、縛りあげられたかっこうで抵抗もできない。筆を置いた和胤から直々に擽られ、悩ましい声で鳴きわめいた。

 和胤にしても、最初ほど本気で怒っているわけではない。しおらしく反省している惟之が愛しかったし、もうすこし困らせてやろうと思っただけだった。しかしこうして惟之の艶めいた喘ぎを聞いていると、擽っている手がうずうずしてくる。

 「いつまで擽っちょるかァ。あれだけのことをしておいて、まだ足りんのかおぬしは!」

 「惟之さんは、いくら食っても食い足りません」

 「馬鹿ァ」

 「まあ…それは置いておくとしまして。これは本当に真面目な話です。ええですか?もし今度の検診で、何か異常があったら、また当分療養ですからね。最悪は予備役で退官です。この大事なときに、不摂生でそがいな事態になったら、顰蹙を買うというよりもまず、皆が悲しみますよ。わかってください」

 「う…、その検診は…いつあるんじゃ?」

 「そりゃァ、抜き打ちでしょう」

 その途端に惟之はしゅんとしてしまい、先刻まで跳ね回っていたからだから力が抜けていく。抵抗が止んだのをしおに、そっと縄を解いた。手首をとって見ても、慎重に縛ったそこは、擦り傷や鬱血などは起こしていない。

 「それだけ落ち込むちゅうことは、相当過ごしておられたようですな」

 甘さを含みながらも、じろりと睨みつけると、惟之は申し訳なさと切なさ余ってここぞとばかりに甘えてくる。寄せてきたからだをそっと包み、寝台へ運ぶと緩く抱きあった。

 「もう、こうしちょると…参謀総長なんぞ辞めたくなるわい。我が侭が過ぎるちゅうて怒るじゃろうが、こうして抱きしめてもらえんで幾日も経つと、寂しゅうてかなわんのじゃ」

 沈黙がおりて、ランプの芯が焼ける音だけが時々きこえる。

 ふと惟之が、ぽつりと本音を零して和胤へ抱きつき、胸へ顔を伏せ、息を漏らした。

 逢えぬ分―それが二日、三日だとしても―を満たす密度の濃い愛の行為は、悦びを得ることは出来ても、ともすれば虚しくおもえてしまう。あの倒錯した官能も悪くないが、惟之としては、毎日こうして触れることさえできれば、それが一番なのだ。

 参謀総長の任に就いてから、惟之の寂しがりは一層増したようだ。

 酒が過ぎるのも、そのあらわれかもしれない。だが、毎晩のように逢うというわけにはいかない。いまは和胤も、所属部署でそこそこ重要な立場に居るのだ。悲しいかな、公私含めて常に傍にいてやれることは、非常に難しいと言える。唯一回避できることと言えば、再び惟之の副官に就くことだが―。

 「我が侭なんかじゃありません、ずっと一緒に居たいのは、おれも同じです」

 公務に我が侭を持ち込むのは禁忌なのだ。惟之はそれを絶対に破ることはしないだろうが、このままでは、またあの“憑かれた”ような状態になってしまわないか、和胤にはそれが心配でならなかった。
→【終章・序】 →目次へ戻る


web拍手 by FC2

| 変わらぬ青空のしたで・91―100話 | 13:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/140-3644625a

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。