大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


web拍手 by FC2

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

  変わらぬ青空のしたで・第漆話

 「わ…ッ」

 背後から突然のしかかる圧力に前のめりになりかけ、和胤は胡坐をかいている膝のうえについていた手に力を込め、腕で体をささえた。驚いたのはいうまでもない。まさか、上官みずから捜しにくるとは、おもっていなかった。

 「杉閣下…?」

 「こりゃ、こんなところで何ィしちょる。祝言の席で新妻に逃げられた新郎の気分だぞ、いきなりいなくなりおって。この馬鹿者」

 妙な言い回しだが、何となくわからなくもない。和胤は正直に白状した。

 「あまりに華やかな宴席は、どうにも苦手でして…」

 しかし上官は、いまひとつ信じかねているのか、背中のうえで不満げに鼻を鳴らして寄越す。そのまま子泣き爺のように、和胤の背に更に体を預ける。それで、上官の重みをほとんど背負うかたちになったが、この程度の重さなら苦にならない。

 「初回の宴を抜け出すようでは、困り者じゃな。おれとはうまくやれそうにない、か?今日一日見ておって、おれは…おぬしをいたく気に入ったがな」

 酔いに任せて、惟之はまるで拗ねたこどものような口ぶりで言い放った。そんな上官を宥めるように、首に回されている腕に触れて、幾度かそっと叩く。

 「誓って言いますが、そういった意味で抜け出したわけではありませんよ。今日の一件で閣下のもとでしたら、職務に存分励めると確信できましたし」

 その言葉に、惟之は自身の不安のもとが晴れてくるのを感じた。

 「おれとて馬鹿じゃない。おぬしがどんな噂を仕入れて、おれんところへ来たか想像はついていたっちゃ。てっきり逃げ出すのかと思うたが、いまそれをきいてごっぽう安心したぞ…」

 いつもやるように、自身の流儀に則った、放胆極まりない仕事のさせかたであったが、内心は違ったのだろう。やはり入れ替わりたちかわり、副官が一年のうちに二度換わることもあった。そのような状況でこの度の異動である。当の上官もさすがに不安だったらしい。

 「しかしひとの噂ほど、当てにならないものはないと考えてきましたが、今日を迎えて、それが揺らぎました。杉閣下は噂どおりのひとでありましたから」

 相変わらずその背に、体を預けたままのかっこうでいたが、次いだ副官のことばに惟之は目を丸くした。

 「なんじゃと、おんどりゃァ。やしい真似しよって、おれをかしらう気かっ」

 両腕に少し強く力を込めて、副官のくびを締めつける。酔っていると、惟之のくちからは遠慮なしに郷里ことばがぽんぽん飛び出てくる。普段は微塵も出さないから、周囲にはあまり知られていないが、和胤も長州の出である。だからこの言われようにも、すぐに反応をみせた。

 「違いますよ。閣下があまりにも裏表がないと、その噂を信じていいのなら、その通りであってほしいと。自分はそういう願いを抱いて今朝、任務に就いたわけであります」

 たぶん、本気で怒っているわけではない。上官の腕は相変わらず和胤のくびを締め上げているが、外そうと手をかけて掴みあげてみると、すんなりと解ける。

 「ともあれ今後はしっかりと、この目で、閣下をみていきますから」

 解いた腕を掴みなおし、体を捻るようにして背から上官をおろした。手を離そうとするも、立っている姿をみると、足元がおぼつかない様子だ。かれのまわりに居た美妓たちの顔を思い出し、和胤はふと神妙な顔になる。

 「長く座敷を空けさせて、あの妓たちに恨まれるのはご免蒙りたいところであります。席に戻りましょうか」

 と言った。そんな副官に対して、惟之は笑みを返した。

 「なあに、あの妓らは懐の深い女子ばかりじゃ。そのくらいで気を揉んだりせんよ。まだ座敷には戻らん、情けないが酔いが相当体に来ちょる。歩くのも難儀じゃけぇ、おれはすこしここで酔いを醒ますよ」

 ぺたん、と廊下に胡坐をかき、座りこんでしまった上官をおいてゆくわけにもいかず、和胤も連れてその隣に座り直した。
→【8話】 →目次へ戻る

web拍手 by FC2

| 変わらぬ青空のしたで・1―10話 | 10:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://landofrisingsun.blog66.fc2.com/tb.php/11-de7f977c

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。