大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第玖拾漆話

 あの一件以来ようやく落ち着きをみせ、深い仲になって四年と半ばが経つなか、振り返って初心に帰ったとでも言うのか、惟之も和胤も、深沈とした様子さえ仄めいている。

 ふたりをよく知っている者たちは、これでもう安心だろう、と胸を撫で下ろした。周囲もそれとなく、暗黙の了解、ということで、冗談でもふたりの間に割って入ろうとする者は、全く居なくなった。惟之のいう、“危険人物たち”も、その例に漏れないが、大城ほど露骨に接してくる者は他には居ず、その心配は完全になくなったと言っていい。

 障害―というよりも内心の揺れ―がなくなったことで、ふたりの秘められた時は、ますます濃密さが増していった。和胤にとって、惟之は惟之でしかなく、かれが参謀総長の地位に座っていようとも、もはやそれに固執することもなく、また階級を意識して萎縮することもなくなっている。ありのままの惟之を愛しているということを、当たり前のように示している。

 それは何より嬉しいことだが、あの倒錯した官能に浸ることも、止めようとしなかった。どうにも味をしめてしまったらしく、まだどこか抵抗のある惟之を引きずりこんで、憚らぬ背徳的な行為に耽ることも多くなっている。

 深沈とした気配を纏うようになったことは、いわばこういった官能の海へ浸りきっている、誰も知らぬ顔が潜んでいることを隠すためのものである。そのうち、何食わぬ顔で過ごすことのほうが、仮面めいて見えてくる始末だが、公務は見事なまでにこなしている。この“差分”が刺激にさえなっていることは、確かだ。

 話はかわるが、ふたりの間に、これだけは絶対にしないという条約を結ぼうという動きが生まれた。

 惟之は公務に熱心なあまり、私生活を顧みないことが間々ある。これは今現在でも変わらない。性分なのだろうが、和胤はこれを何とかして欲しいと言い続けてきた。

 以前のくだらぬ諍いの原因ともなった事項だし、やはりこの件は頑として譲らなかった。もっともな意見であるうえ、和胤は今まで我が侭らしい我が侭を言ったことのないだけに、惟之は文字通りあたまをかかえて、この件について悩みぬいた。

 その結果、譲歩案として和胤から出したものが、“何があっても、公務をけして自邸に持ち込まぬこと”であった。これは何も、惟之を独占したいだけではなく、その身を案じてのものでもある。

 こういったことを絡めるあたり、和胤を狡いやつだとおもわないでもない。そう文句をつけられ、もうすこし交渉の余地はないんか、と頬を膨らませる惟之のことばを黙殺した。

 和胤にはこれ以上の譲歩はない。この条約を認めさせるため、実力行使に移すことを、ひっそりと画策していたのだった。


 ―そんなある日。

 和胤が陰ながらその機会を探っているとも知らずに、川上から預かってきた重要な案件の書類を、惟之は自邸に持ち帰っていた。しかも、今日は和胤と逢う約束をしている日である。それでも惟之のあたまでは、まだ条約は締結されていないわけで、いつもの調子で居間の卓のうえに広げていると、そこに和胤が退庁して訪ねてきた。

 「おゥ、ちと遅かったのう」

 顔をあげてみると、和胤はあごを引いて冷ややかな眼で睨みつけている。三白眼に圧されて、惟之は眉をさげたついでに、たのむ、これは大事なんじゃ、と両手を合わせて拝むように言う。その仕草に呆れて溜め息をつき、台所へ引っ込むと、茶を淹れて持ってくる。そっと急須から湯呑みへ注いで置き、終始だまったまま、携えてきた鞄を傍らに長椅子へ腰をおろした。

 「ん…、今日の茶は何ぞ、いつもと違うのう。味は変わらんが、ほんのり花みとーな香がしようる」

 「ええ。ちと、ひと工夫しました」

 「そうか、こういう茶もあるんじゃのう」

 無邪気に言って、程よい温さのそれを、惟之は立て続けに二杯飲み干した。それから傍らの文箱をあけて、筆と硯を取り出して墨を磨ってゆき、程よい頃合いになった―ここまでたっぷり四半刻は経っている―。

 いざ書面へ向かおうとしたとき、異変を感じた。じんわりとからだが、熱を帯びているような感覚からはじまって、そこはかとないむず痒さがあちこちに生じる。拍動が高まりつつあるなか、背筋から奇妙な震えがはしって―

 「いかがされました、閣下?」

 そっと背後に忍び寄っていた和胤は、惟之の耳元へ冷ややかに囁きかけた。身をかがめて伸ばした手はその膝へ置き、ゆるゆると腿を撫でてゆく。

 「あ…っ」

 内腿を撫でる手つきが、軍袴のうえからだというのに生々しすぎた。それに、触れられてもいないのに、股間が熱い。嬲る如き愛撫は上体にも及ぶ。腹や胸をさぐる粘りつくような手指のうごきに耐え切れず、椅子のうえでからだを跳ねさせ、手にとった筆を書面へ取り落とした。もう一度手に取ろうにも、指さきが震えて儘ならない。

 「その書面へいつも通りに、杉閣下の署名と花押を記せなければ、先日の条約は厳守していただきますよ」

 「その呼び方はよさんか、和胤」

 「こうして居るときは、閣下は自分の専有であります故…どのように振る舞ってもいい筈ですから、止めません。それに、もう十分譲歩はしました。どんな手段を取っても、これだけは諾かせます」

 湯呑みをとりあげ、残った茶をくちに含むと、惟之の唇を塞いで、ゆっくりと口移しに飲みこませた。次いでそのまま深く唇を交わしてしまう。ながく、蕩けるような接吻が止み、甘い花のような残り香が、惟之の吐息からふわりと漂って、疼いて熱いからだは浅ましく震えていた。いずれにしてもこの反応は尋常ではない。それを与えた張本人は、涼しい顔でなおも促す。

 「さあ、閣下。ご署名を」

 確かに、ふたりきりで居るときは対等である。どのようなことでもゆるすと、惟之自身が言ったのだから。然るに、和胤がどんな手段を用いるか、もっと用心すべきだったのだ。今更ながら、媚薬を盛られたことに気づいて歯噛みをするが、もう遅い。震える手を伸ばして、なんとか筆を掴み取るが、硯の墨へひたすのも危うい。

 十中八九、書面を台無しにしてしまうに違いない。墨を含んだ筆先を、とんでもない場所へ落とすだろうというのは、明白だった。それでも負けず嫌いの惟之は、何とか力を振り絞って、指さきへ精神を集中させて、一気呵成、署名を記した。

 「おれがこがいなことで、屈するとおもったら大間違いじゃ」

 一旦筆を置いて、へっ、と鼻を鳴らして傍らに立つ和胤を睨みつけた。だが和胤も負けていない。

 「憎らしいひとですね、閣下は…。言ったはずです、これだけは譲らんと。おれの我が侭は何でも諾いてくださるのでは、なかったのですか?」

 「おぬしのやり方が狡いけぇ、何をされても今回は諾かんことにいま決めたんじゃ」

 「では自分も、たとえ何をしてでも今回は諾かせます。いま決めました」

 足元に置いた鞄へ手を突っ込み、忍ばせてきていたものを取り出した。それは絹で糾った柔らかな縄で、たちまち惟之を椅子へ縛りつける。足首と腰とを、椅子の脚と背凭れに括りつけられ、何が始まるのか、すこしぞっとしないでもなかった。何もかもたちまちにして、和胤の支配下に置かれていく。

 かれは実に用意周到で、その気になれば、惟之の魂の一片さえも残らず掌握して、意のままに弄ぶこともできるのではないか、と惟之は時々おもう。

 この状態で軍服を暴かれ、直に肌を探られて、更に媚薬を飲まされた身に堪えぬはずもなく。

 それでも、はしたなく声をあげることは、惟之の意地がゆるさず、快楽に責めさいなまれながらも、ここまでひと声もあげなかった。和胤としても、媚薬に酔った惟之の嬌声を聴くのは、今この場では相応しくなかった。拷問に似たそれを施そうというのに、甘い囀りは邪魔になるだけだ。耳もとへちいさく、失礼しますと囁きかけ、縒った手ぬぐいで猿轡をかませてしまう。

 軍袴の前をくつろげて、昂ぶった惟之の一物を握りこんだかとおもうと、湿した細い革紐で棹の根もとへ拘束を施す。そうしてから、じっくりと雁首や裏筋といった敏感な部分へ指を這わせて、煽ってゆく。

 「革は乾くにつれて締まるのはご存知ですね。加えて閣下のからだについては、自分が何よりもよく心得ております…。閣下が諾くと頷くまで、この拘束は解きませんので、そのおつもりで」

 あくまでも、条約を飲ませるための行為であることを重ねて言うが、これは倒錯した官能を味わうための口実に過ぎない。

 和胤の嗜好は徐々に、程度の差こそあれ、惟之をこうして“攻め落とす”ことに傾きつつあり、普段でさえ、縛りあげたり、寸止めを計ってみたり、は当たり前になっているのだ。このように真っ当な理由があれば、なお攻め甲斐があって良い。

 媚薬を用いたのは初めてだが、それでも強情な惟之は簡単に屈しないだろうということも、予想済みであった。両手は敢えて自由にさせているが、一指たりとも筆へ触れさせるつもりもなければ、書面に花押を記すのを許すつもりもない。
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緒方の呟き:和胤が、一寸ヤンデレっぽい変態さんな一面があってもいいんじゃないかと、リクエスト風味に言われたので書いてみた回。玖拾漆~捌話はちょっと引かれるかもしれませんね(汗

| 変わらぬ青空のしたで・91―100話 | 14:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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