大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第玖拾弐話

 帰り途は、杉家御用達の俥屋を呼んでおいた。二人乗りの俥のなかで惟之はぎゅっ、と和胤の手を握ったまま離さない。自邸に帰るまで、その手を絶えずやさしく撫で続けながら、惟之の憂いに沈んだ横顔へちらりと眼をおとす。

 邸の門前で、川上に見送られるとき見せていた空元気は、すっかり鳴りを潜めている。

 もう涙はみせていなかったが、やはりどこか悲しげである。夕刻まえに帰りついた邸は、庭先でさえしんとしていて、まるでふたりの心を労るかのように、静けさが包んでくれている。そんな気持ちになった。俥からおりて門前に立ち、押し開けるうごきにも精彩を欠いている。和胤はおもわずその背へ声をかけた。

 「惟之さん、大丈夫ですか」

 庭の敷石をとぼとぼ進んでいた足をとめ、ふりかえる。なぜそんな意地悪なことを訊くのだ、と言いたげに、恨めしげな眼で惟之は和胤を睨みつけた。

 「おれが大丈夫なのか、そうでないのか、わかるのはおぬしだけじゃろうが」

 「そう…ですね…」

 ばつが悪そうな顔で言って、和胤はやおら真面目な顔つきになると、さっと惟之の手をとって歩き出す。強く引かれるままにあとをついていって、ふたりで惟之の部屋まであがる。切なくも、頼もしく和胤の背を見つめ、向きあっても視線を絡めるだけで、惟之は何も言わない。

 身を寄せるだけで抱きつこうとしないのは、和胤にすべてを託すことの表れである。その意を酌んだ和胤は、ぴたりと寄り添いながら肩を抱いて歩みを促し、惟之を寝台の縁へ座らせる。

 「今日は、どうしたいですか」

 「うん…、これがええな…」

 同じように隣へ腰掛けた和胤の膝へあがり、向かい合って跨る。“抱き地蔵”といえば、甘えたいときには欠かせない体位である。

 「わかりました。でも、背中に爪痕が残らんように、頼みます」

 快楽が過ぎると、惟之は必ずと言っていいほど仔猫のように爪をたてて、背にしがみついてくる。見つめあって互いにくすっ、と笑って、そのまま緩く抱き合う。

 「おぬしも、ひとのこと言えんじゃろ。毎度毎度、喰い散らかしおって―」

 「いつも小骨まで綺麗に喰うちょります。ほら、こうして…」

 黒紋付の袖から覗く手をとらえ、袖を捲りあげながら腕の柔らかな部分へひと口、何かつまみ食いでもするかのように、噛みついた。但し、ほんの軽く、やんわりとである。

 「ん…っ」

 温かな腕のなかで、惟之はからだを震わせるが、それはもういつもの甘さに包まれている安らかさと、心地よさゆえの反応だった。

 端然とした侵し難い和装であるのに、ひとたび―文字通り紐解けば―その重ねた衣は群雲のごとく、千々にみだれてゆく。雲のむこうに霞む月を愛でるように、隙だらけの絹地を掻き分けつつ、あちこちから手を差し入れて、肌へ指を這わせ、唇と舌で触れる。

 抵抗というよりも、時折は羞恥をみせていた惟之も、和胤の愛撫に身をまかせているうちに、段々と呼吸の間隔が変わってゆく。上下する肩のゆったりとしたうごきにつれて、黒紋付がずれ落ちる。そこからうなじや、華奢な肩先が覗くさまは艶かしくさえある。

 愛撫の合間に、ちいさく声をあげて鳴くのを見計らい、寝かしつけるように横臥させる。次いで袴紐を解いて床へ落とし、端折った裾が広がって緞帳のように脚をかくすのを許さず、絹地を掴みあげて暴いた。

 下帯を取り去ってしまうと、勃起なかばにして熱を秘めた一物が露わになる。指さきで雁首を挟んで捏ねるなり、惟之の肩がぴくりと跳ねる。掌中へおさめて、焦らすように裏筋を指の腹で擽ってゆく。

 「う、ぁ…ん…」

 くねらせたからだから、黒白の絹が滑りおちて、無防備に晒された脇腹へすかさず噛みついた。しなやかな筋肉の弾みを味わうように幾度も、緩急をつけて歯をたてる。その肉を、本当に一片喰らってしまうのではと思えるほど、和胤の唇と舌の動きは貪欲であった。じゅる、と唾液を含んで舌舐めずる音をたて、噛みついた脇腹から胸まで、存分に“喰らった”。

 この獣じみた愛撫こそ、憚らぬ和胤の愛情の表れであり、沸々と昂まる欲望のしるしでもある。喰われた痕が体中にくっきりと残されてゆくに従い、惟之も熱に浮かされて、和胤の為すがまま、与えられるその旨酒に酔う。

 やがて和胤は、臀を揉みしだいていた手をとめ、唇を寄せると後孔を舌先でつついて解しはじめた。何か別の生き物が這いまわっているように執拗で、熱い濡れた感触に侵食され続け、そこが慣れて疼いてくると、舌が孔へ潜りこんでくる。

 「いや…じゃ…焦らさんで…」

 しっかりと抑えこまれた腰を、じれったそうに捻り、溶けそうな声で強請ってくる惟之が愛らしい。

 「慣らしちょるだけでしょう、もう…感じやすいちゅうのも、困りものですのう」

 「意地悪じゃの…」

 和胤は身を起こしながら、熟れた果実のような惟之の半裸を、目をほそめて見つめた。からだのしたに黒羽根のように広がっている絹地を、袖と一緒にぎゅっと握り締めて、切なげなまなざしを向けている。

 「間をとる、ちゅうのも大切ですよ…」

 それをさらりと流し目で受けとめ、袴紐と下帯を解きながら、自身の一物を晒す。触れずとも既に屹立している。惟之の淫れるすがたは、和胤の欲望を呼び覚ますのに、充てて余りある。いちど惟之をうつ伏させ、腰を浮かせたかっこうで仕上げにかかる。舌を這わせて、たっぷりと濡らした指を後孔へあてがい、ゆるゆると沈めて馴染ませてゆく。ひとつふたつと、内壁を拡げながら挿しいれて、潤滑にうごくようになるまで時間はかからなかった。

 和胤の膝へあがって跨り、ゆっくりと腰をおろしながら、屹立した一物を後孔へ導いて沈めてゆく。しっかりと抱きあって、腰遣いは和胤にまかせた。内壁を満たす棹がより深く挿しこまれ、熔かすように掻き混ぜられ、惟之の吐息は、憚らぬ悩ましげな喘ぎに変じた。いつものように、背に爪をたててしがみついてくる。

 ふと、鼻先に白檀の香りが漂った。和胤のにおいだ。ここには、嫌なことはひとつもない。苦痛、苦悩、悲しみ、怒り―そんなものなどひとつもない。あるのは、嘘偽りのない愛情だけだ。

 「あっ、あっ…ぁあっ、もう…堪え切れん…」

 「う…っ、惟之…さん…、おれも…っ」

ずるり、と体内から棹を引き抜き、向かい合って互いに絡ませた一物は、体液にまみれて淫靡な艶を放っている。和胤は濡れた手で、ふたつの棹をひとまとめに扱きあげ、雁首を包みこんで撫でたとき、ほぼ同時に吐精を果たした。

 射精の快感に抗わず、背を震わせたあと、くたりとからだを投げかけるようにして和胤へ抱きつく。快楽の余韻に酔いながらも、惟之はこみあげる切なさに堪えきれず、泣いていた。ぽろぽろ涙を零しながら、和胤の耳元へちいさく囁きかけ、“すまん”と謝った。

 和胤から変わりない愛情を心身に注がれて、惟之はいま、それを受けとめきれなかった。

 ちくりと胸を刺したのは、後ろめたさだった。大城の手に落ちたといっても、確かにあれは、ほんの僅かなできごとだった。唇を奪われたわけでも、からだをすべて暴かれて陵辱されたわけでもない。しかし、いかに抵抗できぬ状況だったとはいえ、和胤以外の男に目をつけられ、あまつさえ襲われかけた。

 それを許してしまったのは、ほかでもない、惟之自身だ。大城はその油断と心の隙を、見逃すことなく突いてきた。じぶんを許せないのだという、惟之の気持ちを和胤はよくわかっている。かれの性格を含めれば、生来からくる自己犠牲も、それに絡んでいるのはまちがいない。だから、余計に始末が悪い。

 どのようなことでも、例え自身が傷ついても、それを外へ向けずに内へ内へ閉じ込めて、心へしまいこむ。美徳でもあるが、悪徳でもある。大城とのことは惟之だけの問題ではなく、また、惟之だけが悪いのではない。

 「それで、謝ってどうにかなるとでも、おもっちょるんですか。そうやって、また勝手にひとりで背負って、飲みこんでええ問題じゃありませんよ、これは」

 わざと、冷たく突き放すように言う。和胤にも、あのとき惟之を護りきれなかった悔しさと、大城に対する怒りがある。確かにそれらは川上へ“預けた”が、完全に拭い去ることなどできない。

 だが、それを理由に惟之に対し、和胤は引け目を覚えて距離を置くような、そんなことをするべきではない。互いの愛が確かならば、途中辛くとも、共に乗り越えてゆくべきなのだ。

 惟之への愛は、微塵も揺らいでいない。いつもと変わらず、否、それ以上に大切にしたいと、和胤は今もそうおもって、その想いを伝えたい一心で惟之を抱いた。

 「う…、そうじゃな。おぬしも苦しいちゅうのに、おれは…また悪い癖が出てしもうた」

 「本当に解っちょるのか、怪しいものですのう」

 低く言って、狼のまなざしで、じっと睨みつける。途端に惟之は狼狽し、膝のうえでちいさくなってかしこまる。

 「そがいに、いつまでも黙っちょるなら、取る手段はひとつしかありませんよ」

 「ひゃ…っ」

 いきなり脇腹を掴まれ、頓狂な声をあげてしまう。さては擽られるのかと、慌ててからだを捻ると、寝台へ押し倒される。仰け反った喉元へかるく噛みつかれ、耳もとでくすくすと悪戯っぽい笑い声がして、そこでやっと、からかわれたことに気づく。

 「ほんに、不器用なんじゃけぇ。そういうところも可愛ええちゅうのは困りますのう」

 「こらァ!」

 いつものやりとりで、惟之のなかにあった鬱屈が塵のように吹き飛んでいった。確かに今日のことで、互いに傷つきはした。ふたりいっしょなら必ず乗り越えられるはずだ。そう信じられる強さを持っている、惟之も和胤もそう思っている。
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| 変わらぬ青空のしたで・91―100話 | 22:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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