大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第陸話

 宴の始まる半刻前に、惟之は馴染みの料亭へ姿をみせた。

 言わせてもらえばこの店は身内のようなもので、女将以下、よくおいでなさいました、と言って出迎えてくれる。

 そして惟之はというと、これが帝國陸軍の将官かと疑われるような素朴な木綿の和服姿である。羽織袴こそ身につけているが、どこかの田舎親父が一張羅を奮発して、帝都に遊覧でもしに来たかのような風体で、どこから見ても只の一庶民である。馴染みの店でもなければ、門前払いは必須であろう。

 昼に参謀本部より使いを出してあるから、既に宴会の話は通っている。すぐに上座敷に通されると、すっかり支度ができあがっていた。

 そのうちに、部下たちが徒党を組んでやってくる。和胤も同期の少佐たちと連れ立って、座敷の一角に座を占めた。まぶしいほどに美しい芸妓の居並ぶ場所だけに、仕事の付き合いとはいえ、和胤を含めた部下連中は、それぞれ程度の差はあるが、洒落た格好をして来ている。

 そんな中、惟之はひとり身軽な格好で上座にちんまりと座っていて、場違いなほどに浮いている。しかし居並ぶ芸妓たちは、そんな飾らない惟之がどうも好きらしい。時折ちらりと、親しみのこもった眼差しを向けている。

 「んー、揃ったな。まァ、面倒な挨拶は抜きじゃ。皆知っちょるとおもうが、今日おれのところに新しいカミさんが来た。川上閣下のとこに居った山口和胤少佐じゃが、同期もかなり居るから顔馴染みだろう。多いに歓迎してやれ」

 七時を回るなり、上座からざっと見渡して惟之は挨拶ともつかぬことを喋った。杯を手に取るとかるく掲げて、

 「遠慮せず、好きなだけ飲んで食って騒げ」

 それがいつもの、宴会のはじまりである。

 惟之はお気に入りの芸妓をふたりほど傍に呼んで、絹に包まれた美妓のやわらかな腕に凭れたり、寄り添って甘えたりしつつ、杯を交わし始めた。

 芸妓たちと散々、謡いをうたったりして程よく酔いが回ったころ、幾人か部下を引っ張り込んだお座敷遊びを始めた。花拳では、なかなか当たりの杯が出ない芸妓を慰めてやったりもし、おまわりさんではじゃんけんの分が悪く、部下や芸妓に杯を積まれてしまう始末。

 「いかん、ごっぽう酔うた。不甲斐ないが降参の白旗をあげるぞ、今日はおれの負けじゃ」

 おどけた仕草でころん、と座敷に転がると、惟之はそのまま、贔屓の芸妓の膝を枕にして宴席を何気なしに見渡した。いつもながら、無礼講といいつつも傍若無人ではなく、家族か親戚が集うかのような、そんな和やかな宴である。三味線の音を聴きながら、この座に副官・山口少佐の姿がないことに気がついた。

 「おおィ、おれの嫁はどこに行った」

 大きな地声で言いながら、もう芸妓の膝を離れて立ち上がり、座中を横切ってゆく。かなり酔っていることも手伝って、少しばかりふらつきながら、誰彼に副官の消息を訊いて回る。が、誰もがくびを傾げるばかりで埒があかない。賑やかな席を壊すまいと、座敷を出る前に皆に向かって、

 「こりゃァ、けしからん。任務放棄ちゅうても差し支えない。連れ戻して浴びるほど飲ませてやらんとなあ」

 そう言って磊落に笑い飛ばすと、銚子を一本手に提げ、後ろ手に襖を閉めて廊下を歩き出した。賑やかな場から居なくなるということは、ひっそりと人気のないところにいるに違いない。出てくるときはあんなことを言ってはみたが、惟之とて、こっそり宴会を抜け出したくなる気持ちというものが、わからないでもない。だから副官を叱るつもりは毛頭なかった。

 歩いてゆくと案の定、渡り廊下のむこう、静けさの広がる坪庭に面した廊下のかどに、山口少佐がひとり腰をおろしているのがその先に見える。叱るつもりは全くなかったが、酔いもあって妙な悪戯心が沸いてきた。そのまま廊下を歩かずに、使われていない座敷をこっそり横切って、副官が陣取っている廊下の真後ろの部屋までやってきた。

 少し手前の部屋で、一度襖を細く開けて暫く様子を窺った。どうにも、名状しがたい一種の拒絶感というようなものがその背に漂っている。しかしここは、副官の心情を慮るよりも悪戯心が上回った。廊下の端に銚子をそっと置き、忍び寄ると、いきなり後ろから副官におぶさるようにして抱きついた。
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| 変わらぬ青空のしたで・1―10話 | 10:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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