大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  変わらぬ青空のしたで・第肆拾参話

 ちょうど和胤たちが佐倉の花街へ足を向けた宵の口、東京・市ヶ谷の杉邸では、約束どおり川上が訪れていた。

 料理人が腕によりをかけた洋食に、惟之は川上とそろって舌鼓をうちつつ堪能したあと。食後の珈琲を楽しむ段になって、惟之は漸く口をひらき、本領を発揮した。川上はよくうごく惟之の丸い眼を見つめつつ、聞き手に終始した。その殆どが和胤のことばかりで、ときには含羞みを覗かせつつ、語ってゆく。

 「しっかし、山口クンのことばっかい話しちょいなぁ。うわさどおり、音にきこえた仲ちゆうことじゃいなえ」

 微笑ましいことだ、と言わんばかりの川上のことばに、惟之はさっと頬に熱がのぼるのを感じた。

 「何じゃ、その音にきこえた仲、ちゅうのは」

 「おや、知りんやったか」

 「当たり前じゃ、知るわけなかろうが」

 まったく、しょうのない人だ。と、その反応をみて、川上は内心で呟く。参謀本部内での又聞きのうわさですら、惟之と和胤の親密さはまるで、兄弟のようだと囁かれているというのに、惟之にはそんな話など、耳にもはいっていないのだ。そもそも、惟之が和胤をどこまで想っているのか、考えたこともないにちがいない。

 「おはんの邸へ、山口クンは通い詰めどころか、泊まりこみしとるちゆうこつ聞いておりもす」

 「おれの我が侭を諾いて、そうしちょるんじゃ。今回の療養を含めて一連のことがあってからちゅうもの、山口にはいかい世話になったっちゃ。あいつはおれの血縁でもないちゅうに、我が侭を言ってもいやな顔ひとつせんでなあ…。実は礼をしようにも、どうすればええか悩んじょるのよ。あんたは山口をながく手許に置いておいたんじゃけぇ、何ぞ喜びそうなことは知らんのか」

 何につけてもあけっぴろげな惟之だが、肝心なときに照れきって行動がとれないことは、間々ある。中佐のころ、同時に参謀本部へ配属になったときからのつきあいだけに、川上には惟之の悩みぶりが手に取るようにわかる。

 「そぉですなあ、山口クンは…何か遣ったり貰ったりちゆうようなことで、喜ぶ男ではありもさんなあ。おはんな、何かしてやりたいちおもうことねのじゃいや?」

 それを知っていて、敢えて行動を促すようなことを言ってみる。惟之は真剣な表情のまま、珈琲をちびりと啜り、暫くことばをとぎらせた。

 「…それは、あいつに困っちょることや何かあって、それがおれに何とかしてやれるちゅうなら、すぐに飛んでいってやるが…。そうそうあることじゃーないけぇのう。でなけりゃァ、おれの出来る範囲であいつの願いごとを叶えてやるしか、報いる方法が思いつかん」

 さらりと惟之は言ったが、これはこれでまた凄い発言でもある。いつもの冗談かとおもえば、真剣な表情を崩さないでいる。二言はない男だけに、川上は本気であることを訊き返しはしなかった。

 「左様でごわすか」

 それだけ言って、深く頷くに止めた。これ以上背中を押す必要はない。
→【32話】 →目次へ戻る 

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| 変わらぬ青空のしたで・41―50話 | 23:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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