大日本帝國軍の愛と友情の日々

逓信省の検閲済でありますが、男色趣味満載ですので、苦手な方は華麗なターンでご退却下さい!所謂BL小説サイトです。右側に注意書きがございます。必ずご一読ください

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  作品一覧・目次

綿津見の波の色は


一章:告白 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】

二章:夏祭 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】

三章:厳冬 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】

四章:秘密 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】

五章:薫風 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】         

六章:暗雲 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】
        【19】 【20】 【21】 【22】 【23】 【24】 【25】 【26】
        【27】 【28】 【29】 【30】 【31】 【32】 【33】 【34】
        【35】 【36】 【37】 【38】 【39】

七章:静穏 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】
        【19】 【20】 【21】 【22】 【23】 【24】

八章:金蘭 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 

九章:激動 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】
        【19】 【20】

十章:長門 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
        【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】
        【19】 【20】 【21】 【22】 【23】 【24】 【25】 【26】
        【27】 【28】 【29】 【30】 【31】 【32】 【33】 【34】
        【35】 【36】 【37】 【38】 【39】

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  作品一覧・目次

変わらぬ青空のしたで


一章:梅の香 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
          【11】 【12】

二章:雪の日 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
          【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】 【18】
          【19】 【20】 【21】 【22】 【23】 【24】 【25】 【26】
          【27】 【28】 【29】 【30】 【31】 【32】 【33】 【34】 【35】

三章:桜の宴 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】

四章:七の夕 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
          【11】 【12】

五章:心の旅 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】
          【11】 【12】 【13】 【14】 【15】 【16】 【17】
          【18】        

六章:魔の手 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】
          
閑話:狼の罠 【1】 【2】 【3】

終章:桜の契・序 【1】


或いは終わりと始まり


終章:桜の契・完 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 【9】 【10】 【11】

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  綿津見の波の色は・第佰捌拾玖話

殆ど一睡もせぬままに、縁側に腰をおろして東雲の空を見上げている。そうして、嵩利はつらつらと昨晩の情景を思い返し、先程抜け出してきた閨のあるほうへちらと眼を遣り、直ぐに庭へ移す。

―まったく、どうかしていた。あんな真似を…。

箍の飛んだ嵩利は、あのまま一刻ほどの間、長椅子のなかに鷲頭を押し込めて、もみくちゃにして喰らい尽くしたのである。専ら公務、来賓を招くような洋館の、その天井にまで艶かしく喘ぐ鷲頭の声が響くのを、うっとりして聴き入った。

その後には、組み敷いたその背で皺だらけになった夏軍装の上衣、情事の舞台にした調度品幾つかが残された。然も長椅子には、緩く曲線を描く優美な肘掛けの滑らかなはずの部分に、爪で引っ掻いた疵がいくつもついてしまっている。

それらを確かめに戻ったのは、深更になってからだ。やらかしてしまった、と嵩利は酷く後悔しながら、どのように鷲頭へ話を切り出そうかと、洋館にひとり呆然と佇んだ。

鷲頭はと言うと、元々公務で疲れ切っていたところに、烈しく燃え上がるような愛の行為に身を委ねた結果、和館に戻って湯をつかったところで限界に至り、満ち足りた表情で幸せな眠りにおちたのである。

曙光がさす前のひと時、嵩利は縁側から立って奥へ入ってゆき、洋館から回収してきた鷲頭の夏軍衣に火熨斗をあてて、綺麗にしておくことから日常を取り戻すことに決めた。


「おはよう」

耳に届いたのは、いつもの穏やかな声だった。枕元に支度しておいた新しい軍装に袖を通してい、見慣れたいつもの端正な姿をした鷲頭がそこに居た。嵩利は居間で茶の支度をしているところで、顔をあげて鷲頭を認め、挨拶を返す。

「おはようございます」

すんなりと普段どおりの抑揚で言葉が出てきたのも、鷲頭の落ち着いた様子を目にしたお蔭かもしれない。嵩利はくだくだしくせずに、長椅子の件を伝えることに決めた。

「調度品の長椅子に少し疵をつけました」

「そのことなら心配せずともよい。丁度、週明けに内装や家具職人が立ち入ることになっている。疵や不備は手直ししてゆく筈だ」

頷いて何でもないことのように言い、座卓を挟んだ目の前に腰をおろすのを、嵩利は感服しつつ認めた。あれだけの行為に耽ったというのに、昨夜の艶の名残をひとひらも匂わせていない。

己が休暇に入ったこともあって、翌日も―即ち今日が平日だというのもすっかり思考から飛んでいたから、内心どうなることかと気を揉んでいたのだが、流石は鷲頭である。その心配は無用だったようだ。

「そうでしたか…」

ふっと肩の力を抜いて俯き、小さく安堵のため息を漏らす嵩利を、微笑ましく思いつつ見詰めながら、鷲頭は黙って茶を啜った。

“昨夜は時も場所も弁えず云々”などと、もう以前のように口喧しく叱言を繰り出すこともしないでいる。そんなことをせずとも、夜が明ければこうしてしおらしい顔をみせているのだから、それで良いとおもっている。

「そろそろ、出る」

「随分、お早いのですね」

「うむ…、今日は午前中に大事な用件が入っているのでな」

言いながら座を立った鷲頭は、送ろうとする嵩利を目顔でとどめて座らせる。寂しそうに、つくねんと座りなおした伴侶の傍らに膝を落とし、両の頬を掌で包み込むと、つくづく顔を窺った。

「何という表情をしているのだ…。私は昨晩この上もなく、満ち足りた眠りに就いたというのに。…恐らく一睡もしておらぬのだろう?」

僅かに憂いを含ませて、眉を寄せて言う鷲頭から、ちらと甘いにおいが漂う。それだけで、嵩利はどきりとした。武骨な手指が慰めるように頬を撫で、次いで腕と胸とに頭を抱き留められ、喉元に滑り込んだ指が顎先を捉える。

鷲頭が呉れたのは、軽く啄ばむくちづけを一度きり。

「さあ…、何の憂慮も要らぬ。後でもよいから、きみもゆっくり眠るのだぞ」

翌朝になろうとも、以前に鎧っていた厳しさの殻はやはり戻っては来なかったが、鷲頭の抱く深く大きな愛情に何の隔たりもなく包まれるのを感じて、嵩利は逆上せあがるのを隠せなかった。

「では、行ってくる」

「…はい…」

肌を重ねて抱いて貰ったわけでもないのに、何という心持ちにさせるのだろう、と居間を出てゆく鷲頭のかたちの良い背を見送った。
→【38話】 →目次へ戻る

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| 綿津見の波の色は・最新話 | 21:57 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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